36日目★「嗚呼嗚呼、、、!」

「嗚呼嗚呼、、、!」


僕のベッドの上でうつ伏せになりながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唸り声をあげた。


最近の紗奈の呟きは、振り返らずにいられない物が多いな。

とは言え、ノルマは終わっている。


僕は椅子から立ち上がり紗奈の隣に座り、その頭を撫でた。


「どうした?」

紗奈はガシッと僕の腰に手を回す。


「戦争やだ。徴兵制やだ。颯太行っちゃやだ。」

「うんうん、何処にも行かないよ?」


紗奈はスマホを突き出してくる。

それを僕は読む。


【血弾一煉獄版】


「、、、成る程、弥助さん、、、貴方という人は、、、。」

遅すぎた名機紫電改。


さながら、ガ◯ダムでいうゲル◯グのような存在か、、、。


だが、国力の差は激しくアメリカではガ◯ダムが量産され、もはや日本に打つ手はなかった。


リアルなドッグファイト。

米軍が優位なことがよく分かる。

それでも抵抗する正彦たち。


彼らの敵は、むしろ味方のはずの上司、か?


「こういうさながら、悪人風の存在って最期まで皆を苦しめるよね。」

「こういうやつ嫌い。」

うん、好きな人は居ないと思う。


でも、こういう奴ほど残るんだよなぁ。

政治力みたいなのが高いから。


「どんなものであれ、戦争は悲惨だよな。愛し合った家族も平気で引き裂かれて。」

「やだ。」


ギュッとしがみ付く。


そうだね、と紗奈の頭を優しく撫でる。

暫く、そうしていたが、落ち着いたのか紗奈が顔をあげる。


ゴロゴロと猫のように、僕の胸に顔を押し付け、押し倒す。


そのまま、特に動かず乗ったまま。


「、、、、、、紗奈?」


すぴ〜っと、眠りに落ちている。


「そんなギリギリまで小説読まなくても。」


ため息を吐き、丁寧にベッドに横にさせ、頭に枕を置き布団を掛けてあげる。


もぞもぞ、として紗奈は少しだけ目を開ける。

「起こした?」


僕の腕をぐいぐいと引っ張り布団の中に引きづり込み、そのままふにゅふにゅ言いながら、また、すぴ〜っと寝息を立てた。


、、、まったく。


ちゅっとだけ口付けをして、その日は僕も布団に入り込んだ。


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