24日目「優柔不断な主人公ってどう思う!?」

「優柔不断な主人公ってどう思う!?」


僕のベッドの上に転がり、僕の枕を抱き枕にしながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言って悶え出した。


数学を解いていた僕は、気になって振り返る。


最近、ちょっとずつバリエーションが変わってきたなぁと思う。

それと紗奈が悶えることが多くなっているから、振り返ってしまう。

「どう思う、とは?

まあ、あまり良くはないかな。」

「その前に!!颯太は私のことどう思ってる!?」

何故か紗奈はお怒りモードだ。

何か怒らせたっけ?


「好きだよ?」

首を傾げる。


「私のことをどうしたい!?」

「食べたいよ?」


僕がそう言った途端に真っ赤になって、紗奈は力尽きる。


言わせておいて、何故そうなる?


紗奈は僕の枕に赤い顔を押し付けて、目だけで僕を見て手招き。


僕は椅子から上がり、紗奈の隣に。

紗奈は僕の腰に手を回し、しがみ付く。


なので、僕はヨシヨシと紗奈の頭を撫でた。


その間に、空いている手でネット小説を読む。


「リアルタイム的に主人公たちの感情を追っていけるのは、ネット小説の良さの一つなのかもね。」


「、、、リアルでウジウジ、うだうだする恋愛はヤダ。」

まあ、僕もやだな。

ただまあ、恋愛物は時にドロドロした物も多いから。


「でも、スパッと好きです。ハッピー!だと物語すぐ終わらない?」


「人はそれをハッピーエンドという。そこからイチャイチャして2人で成長していくの!そんな話が良い!」


「、、、でも、ラブコメの大多数が優柔不断な主人公じゃないと難しくない?カ◯ヨ◯でも人気だよ?」


「そうなのよ!最初は良いのよ。そのじれじれが!!

こう、アレよ、いつか来るハッピーエンドに向けて、ブワーっとこう、ブワーっと。


でもその内、飽きるというか、早よ言えや!?と思って来たり、、、。」


飽きるって、、、ラブコメしてる当人は必死なんだから、多分。


紗奈は興奮冷めやらぬらしく、話は続く。


「それでライバルになる他の優しく陽気な女友達やら、後輩の子や、ギャルやら出て来て、え!?この優柔不断男、そんなに魅力的!?って、、、。これはハーレムについての話が絡むから、また今度話しましょ?」


あー、その気になるところは分かる。


「決断すると話が終わるから、優柔不断な内面ばかりが見えてしまう。それが見え過ぎると、主人公の魅力が感じられなくなって、なんでこんな主人公が好きなんだ?と感情移入出来なくなるってことかな?」


うーん、なるほど。


結局のところ、その悩んでいるところや決断をせずに、色んな子とデートを繰り返すシーンを見てしまうと、そんな気持ちが湧いて出て来やすい。


しかしながら、物事の全てがすぐに答えが出る訳でもなければ、明らかに間違った答えを出してしまうこともあるのが人生だ。


その中で、より後悔の少ない選択を選びたいと思う。


「そうだね、普段は幾ら間違っていても良い。ただ大切なことだけは、絶対に間違えないように、しっかりと決断したいと僕は思うよ。


、、、紗奈、僕と結婚して欲しい。」

僕は紗奈の頭を撫でながら、僕の気持ちを伝える。


紗奈は僕にさらにギュッとしがみ付きながら、何度も頷く。

「結婚する。絶対する。」


そう言った紗奈が愛しくて、僕は自然と笑みを浮かべた。

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