【詩集】黄昏月幻想

ペーパードライバー

実は運転免許は持っている

若い頃、実家の車を

運転していたこともある

周りで運転していたのは亡父くらいで

亡夫は免許を持っていなかった

それなら車を買ったり

積極的に運転すれば良かったんだろうけど

育児に手を取られて(いやいやイイワケ)

というか、運転に自信が持てなくて

いつの間にか遠ざかってしまった

そうこうしているうちに病を得てしまい

体調や薬の関係で

今では完全なペーパードライバー

もう運転することはあるまい

免許証はすっかり身分証明書代わり

わたしは自信のなさゆえに挑戦せずに

今になって後悔していることが沢山ある

今更、やりたくてもやれなくなった事とか

でもだからこそ

今のわたしにもできることがあれば

やっておきたいと思うようになった

昔に比べたらできることは少ない

行動できることにも限りはある

それは切なくももどかしいけれど

せめてこの先は

自信が持てなくても挑戦していきたい

やりたいことをやってみたい

わたしよ、失敗を恐れるな

人様に迷惑をかけさえしなければ

失うものなんてたかが知れている

失敗や挫折は恥じゃない

すっかり

不自由になってしまった世の中だけど

平穏な生活が戻ってきたら

諦めていた旅もしてみたい

そんな夢をみたりもする

運転はペーパードライバーで

終わるだろうわたしだけれど

心のハンドルは生きている限り

しっかりと握っていたい

離さずに握り続けたい

そんなことを、思う