螺旋階段のように

窓を開けたままで

うたた寝していたようで

いつのまにか外は

薄闇に覆われていた

小さく震えて目を覚ます


電話の向こうのあなたの声を

思い出している

この日々に疲れ

溜息を吐くような言葉に

わたしも……なんて言えなかった


わたしとあなたは変わらなくても

世界が哀しいほど変わってしまって

距離を距離として

こんなに意識したことなんて

そういえば無かったのにね



螺旋階段のように

グルグルと回転して

上っているのか降りているのか

もうわからない世界に

翻弄されている


わたしは眩暈を起こしそうで目を瞑る


この螺旋階段が何処まで続くのか

わからないから不安は募る

手すりもない真っ暗な世界の中

わたし達はお互いを

いつまで見失わずにいられるのだろうか


わたしは眩暈を起こしそうで蹲る




ああ、窓を閉めなくてはいけないのに

開けたままの窓から

寂しさが夕闇と一緒に忍び寄ってくる

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