春という季節

初夏を思わせるような陽気

汗ばむほどだけど

黄砂が飛来しているから

窓が開けられない

洗濯物も部屋干しで

どうにも閉塞感


今日は病院の日

マスクして眼鏡かけて

いつもの鞄を抱えて出かける

外に出ても閉塞感は消えない

行き先が違えば気持ちも違うかもだけど

いつもの検査も診察も気が重い


いつから、春という季節は

こんなに切なくなってしまったのか

希望に満ちたはずの再生の季節は

額縁の中に描かれた絵のようで

今あまりにも多くのものを

抱えすぎた春は痛々しい


マスクをしても眼鏡をかけても

鼻はムズムズするし目はシバシバする

この息苦しさには

いつまでたっても慣れない

黄砂から花粉からウイルスから

身を守るため仕方ないのだけれど


こんな春ではなくて

わたしの知っている、あの春に会いたい


いつかまた会えることを信じて

わたしは

満開から散り始めた桜吹雪の下を歩く


三月が終わろうとしている

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