標本

どうして心は揺れるのだろう


静かに標本になっていたはずなのに

とめられたピンの痛みなど

とうに感じなくなっていたはずなのに


羽など色褪せ朽ちかけて

今更、飛べもせぬものを


標本箱の中から眺める

空はどうしてあんなにも

澄んで綺麗に見えるのだろう


わたしは朽ちゆく蝶

昔、

空を飛べていたことに気づいてしまった


哀しい標本

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