第37話  後始末その2

名前:ショウマ

種族:人間


冒険者LV:18


体力:60

魔力:3052


攻撃力:39

魔法攻撃力:2234

防御力:31

魔法防御力:931

行動速度:54


職業

 魔術師 ランク4

 従魔師 ランク3


スキル

 魔術

  火属性 ランク5

  水属性 ランク4

  風属性 ランク3

    


 従魔術

  魔獣従術 ランク3

  植物従術 ランク1

  昆虫従術 ランク2

  死霊従術 ランク1 


 EXスキル:従魔にした相手を美少女にする(特殊/固有)


装備

 『賢者の杖』

 

持ち物

 『巨大猛毒蟇蛙の喉』×11 

 『巨大猛毒蟇蛙の胃袋』×11

 『蝙蝠の牙』×2

 『梟の嘴』×5

 『梟の羽』×2

 『汚れた剣』×2

 『汚れた盾』×1

 『汚れた弓』×1

 『アリの外骨殻』×8

 『アリの牙』×36

 『ハチの針』×9

 『石像の魔道核』×2

 『石巨人の魔道核』

 『霊魂のローブ』




ステータスチェックを続けるショウマ。

うーん

これ一発喰らったら死ぬんじゃね みたいな

いい加減ショウマ自身の体力と防御力は何とかならないものか。

本気で体力の実が欲しい。


「鉄鎧着込むべき?」


どうせ遠距離で魔法使うのだ。

身軽さはいらないし。

ダメだ。

戦闘の前に移動に差し支える。

重い鎧着込んで迷宮を歩く。

イヤだよ

そんなこと出来ない

出来るコトと出来ないコトがこの世には有るよね


うん?

なんだか鏡が反応してる。


ショウマのステータス。

魔術 火属性 ランク5

その部分が点滅してるのだ。


「火属性ランク5がどうかした?」


独りでつぶやきつつ鏡面に触れるショウマ。

すると機械的な声が聞こえる。


「魔術 火属性が最高ランクに達しました。

 新しい属性の習得が可能です」


おおおおお

何これ、何これ


「現在 習得可能な魔術属性は『雷属性』『海属性』です」




「キタ!キタキタ! 雷属性キター!」


これこれ

“迷う霊魂”が使ってたヤツ

だいたい雷属性ってカッコイイヤツ


「雷属性、習得するよ」

言おうとして少し躊躇うショウマ。

でも待てよ

今『雷属性』、『海属性』って言ってた


「どちらか一つしか選べないの?」



「現在 習得可能な魔術属性は『雷属性』『海属性』です」


「どちらかご選択ください」



むー

『海属性』

『海属性』って何だ?


「みみっくちゃん」


「うー、確かな情報では無いですよ。『雷属性』は相当なレア魔術属性です。使える人は珍しいけどいる事はいるみたいですね。

 魔術師じゃなくて、魔獣“発電鯰(ナマズ)”が使ってくるって言います」

 

「『海属性』、『海属性』はその名前では聞いた事無いんですが…」


「ひょっとすると… 母なる海の女神教団は神聖魔法を使います。治療です。

 体力の回復、毒消し、ウソかホントか病気の回復も出来ると言います。

 彼らは母なる海の女神の神聖魔法と言ってますが、もしかして『海属性』と関係あるかもしれないですよ」


「じゃあ、回復魔法ってコト?」


必要じゃん

重要じゃん

 

「ひょっとするとですよ。だから言いましたですよ。確かな情報じゃないって」


「その女神教団以外に回復魔法使える人いないの?」


そういや冒険者に白魔術師風なの見た気がする

白が中心で青のラインが入った衣装

あれかな


「そうです。青い服装は母なる海の女神教団の証ですね。青で塗られた鎧を纏っていたのが教団戦士、一緒にいた青いラインが入った白いローブの人が神官ですね」


青い鎧の戦士?

そんなの居たかな


「それはご主人様が女の人しか見てなかったからですよ。

 相変わらずご主人様はえっちです」


「いや、あの服キレイだったから、

 みみっくちゃんやケロ子が着たら似合うかなと思ったんだよ」


みみっくちゃんは疑いのマナザシだ。

まあ男がどんな服装してたか覚えてるワケないよね


「教団の人以外に、回復魔法使う人いないの?」


「体力回復は普通の魔術師は出来ないですよ。冒険者は薬で治すんです。

 回復できるのは母なる海の女神教団の神聖魔法ですよ。

 後はマイナーですけど、大地の神は父さんだよ教団も出来るらしいですね」


「なに?」

「大地の神は父さんだよ教団」


「それ教団の名前なの。

 へたっぴな人が翻訳したの?」

「昔からそういう名前なんですよ。大地の神は父さんだよ教団。誰にも愛される教団を目指してるらしいですよ」


まあ翻訳ミスみたいな教団はいいとして。

という事はだ。


「じゃあ優先は『海属性』?

 ええっ。

 でも『雷属性』欲しいじゃん。

 指先に雷集めてレールガンごっこしたいじゃん」


「雷まき散らしてさー。

 ハチ子の槍持って、

 獣の槍! みたいな。

 必要だよね」


「はいっ。ノケモノの槍、必要ですっ」

分かってないけど同意するケロ子だ。


「ケロ子お姉さま。ご主人様は絶対ろくでもなコト考えてますよ。あの顔はえっちな妄想してるですよ。みみっくちゃんには分かるですよ」

分かってないよ!


「王の思う通りに。それが正しい」

「王の思う通りが正しいと思います」

ハチ子、ハチ美は賛同してるようで、実は何も考えてないよね


うーん

ショウマはみみっくちゃんに目をやる。


「確かな情報じゃないので みみっくちゃんには何とも言えないです。

 でも、ご主人様。忘れてないですか?」

「何を?」


「火属性がランク5になったから、新しい属性取得できるんですよね。

 水属性もランク4、ご主人様のことだからすぐランク5になるんじゃないですか」


なんだなんだ

それもそうだ。


落ち着いてみれば考えるまでも無い。

『雷属性』は攻撃魔法。

“迷う霊魂”も攻撃として使ってた。

攻撃魔法はたくさんある。

もう足りてる。

正直、余ってるくらいだ。

『海属性』に攻撃じゃない可能性が有るなら絶対そっちを取るべきだ。

『雷属性』も欲しいけど、後で取れるならそれで良い。



「海属性、取得するよ」



ショウマのステータスが点滅する。


スキル 魔術の項目。

何も無かった欄に加わる。

新しい文字。


海属性 ランク1



ショウマは心を落ち着ける。

心の中に浮かぶ魔法。

幾つもある中に今まで無かった魔法は?



『癒す水』



「キター!キタキタ!回復魔法キター」


「偉い。みみっくちゃん、正解!」

「という事はご主人様?」


「回復魔法ゲットだぜ。

 えっと、神聖魔法だっけ」


そうだ

『賢者の杖』

この状態で『賢者の杖』を装備したら?


ショウマの中に増えた呪文。

『治癒の滝』『母なる海の女神』『休息の泉』『回復の湖』



「キター!キタキタ! ランク5まで完全クリアー!」

言葉の響きで予想するに、


ランク1 『癒す水』

ランク2 『休息の泉』

ランク3 『治癒の滝』

ランク4 『回復の湖』

ランク5 『母なる海の女神』


だろうか

滝辺りの順番はビミョウ?


「うん、みみっくちゃん。

 母なる海の女神だ。

 予想、大正解みたい」


「なんですか、ご主人様。イヤな予感がするから聞きたくないですよ」


「海属性ランク5の魔法だよ。

 その名も『母なる海の女神』」


「…ええええ……」

「…ええええええ……ええええええええええええ……」

驚いて呆れて疲れて、疲れて驚いて呆れてを繰り返すみみっくちゃんだ。


「…もう驚くことに疲れましたですよ…」


「いいですか。ご主人様。それ使っちゃダメです。使えるって知られてもダメです。

 本気でマズイヤツです」

 

「多分、母なる海の女神教団の神聖魔法 最高峰です。歴史上でも大教皇とか聖女様数人しか使えなかったハズです。

 現在の聖女様、大教皇でも使えないと思いますよ。

 教団の一員じゃないご主人様が使えるとなったらどんなことになるか分かりません」


「どんなことって?」


「暗殺されるか、

 教皇に祭り上げられるか、

 どちらかです」


「教皇、教皇かー。

 イメージ的には悪役っぽい?

 『冒険者・実は顔を隠した教皇です』

 みたいな。

 そんなのもアリかな?」


「暗殺されるかもつってんですよ。みみっくちゃんの言う事もたまには聞いてくださいよ。

 というか暗殺される可能性の方が高いですよ。みみっくちゃん 大教皇がどんな人か知らないですよ。

 でも今まで聞いた事も無い冒険者が

 おれランク5使えるー、おれ今日から教皇、お前降りろー 

 って言って、素直に聞くとは思え無いですよー」


「分かった。

 分かったよ、みみっくちゃん。

 人前じゃ絶対使わない」


といいつつ、チームだけの時ならいいだろうと思ってるショウマだ。






「エンジュ、どうしたの? エンジュ?」


エンジュはカリンの声で我に帰る。

ここは母なる海の女神教団 聖女の塔。

自分の個室。

個室でお茶を飲みながら、カリンと話してた。


そうしたら話しかけられた。

誰に。

あの女性。

教皇さまや神父たちが女神さまの声だと言う。

あの声だ。

本当に女神様だろうか。

エンジュには分からない。


「ランク5の魔法や、早く使ってーな。

 じれったいで、頼むわ」


ずっと語り掛けてくる。

内容は昔から変わらない。

ランク5の魔法を使え。


「カリン」

「なに、エンジュ」


「誰か、覚えたみたい」

「何の話、エンジュ?」


「使えるようになったんだと思う。

 誰かが…ランク5の神聖魔法を…」

「ランク5って、

 ずっとエンジュが使えないって言ってたの?」


「そう。それ」

「だって、ランク5って覚えるのが

 スゴク大変っていってたじゃない」


「うん。

 ランク5の魔法を覚えるためには、

 ランク4の魔法を何度も使わなきゃいけないの」


それもどこでもいいワケじゃない。

ダンジョンで、実戦の中で。


「ランク4の魔法を覚えるには、

 ランク3の魔法を何度も使わなきゃいけない」


普通なら実戦の最中、回復魔法ばかり何度も使うなんて不可能。

だけどエンジュには教団が付いてる。


「ランク3の魔法を覚えるには、

 ランク2の魔法を何度も使わなきゃいけない」


教団戦士たちが戦う。

エンジュは神聖魔法を使う。

普通に考えたら、戦士たちの戦いをエンジュがフォローする構図。

だけど逆だ。

エンジュが神聖魔法を使うために戦士たちが戦う。

教団戦士はケガを怖れない。

いや。

ケガするために戦う。

エンジュが神聖魔法を使うため。


「だから普通の人には、

 ランク5の魔法は覚えられない。

 出来ないハズなの」


「でも誰か覚えたの?」

「そう。しかも、もう使える」


エンジュはまだ使えない。

魔法は覚えた。


『母なる海の女神』


それが魔法の名前。

でも唱えられない。

ランク4の時もそうだった。

多分魔力が足りない。

魔力さえ足りればもう唱えられるハズ。


落ち着いた。

カリンと話してるうちに落ち着いた。


「ありがとう。カリン」

「ええっ。どうしたの」


「誰だろう?

 最初にランク5を使えるのって、

 どんな人だろう」

「ええっ。エンジュ、いいの?」


「うん」


いい。

話したら落ち着いた。

エンジュが先に唱えなきゃいけない。

別にそんな決まりはない。

先にランク5を使える人がいたなら。

それはそれで、きっといいこと。

でもどんな人だろう?

エンジュと同じような人だろうか。

そこは気になるな。


「会ってみたい。その人に」



【次回予告】

魔術師の魔術属性。

魔術の研究が最も進んでいるのは西方神聖王国。

しかしそんな王国の研究者でも全貌は掴めていない。

火属性、水属性、風属性。最も一般的な属性だ。

複数の属性を使える者もいる。二属性が平均的。三属性使える者は珍しいが貴重というほどでも無い。それより稀にいるのだ。別の属性を持つ者が。

雷属性、大地属性、そして…

「アタシ、忍者ってよくわからないですっ。そうすると武闘家かなっ」

次回、ケロ子とみみっくちゃん覚醒の時 

(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る