③ 調査開幕
第一調査として、わたしは翌日の学校で、ももロックとともに、同じクラスで奥付塾に通っている子に聞き込みすることにした。
ところがこのクラスには奥付塾に通っている子はせいらちゃん以外一人もいないという、さっそくの難問にぶちあたることに!
お昼休みにももロックとふたり、青い顔をしていると、
「もも叶~、ドッジボール一緒にやらない?」
やってきたのは、珠入(たまいり)彩(さ)智(ち)さん。スポーツの得意な女の子だった。
「本野さんもいっしょにどう?」
快く誘ってくれたのは嬉しいんだけど、わたしは運動は苦手だ。それとなく、ももロックが断ってくれる。
「ごめん。彩智。あたしたち今、探偵業の途中で、どんづまり中というか……」
「なに、探偵? おもしろそうじゃん」
ノリのいい彩智さんらしく、話に入ってきてくれた。
「依頼人のプライバシーにかかわるゆえ詳しくは申せぬが、じつは今、奥付塾のある講師について内密に調査中なのだ」
「ふーん」
ももロックが言うと、珠入さんは興味深そうに切れ長の瞳でじっとわたしたちを見て、
「それって、神谷先生のこと?」
あまりにもあっさりこう言った。
「な、なななな」
思わず口をパクパクさせてしまうわたし夢ソン。
「なぜにそれを!」
思わず言外に肯定してしまうももロック。
くしゃっと顔をゆがめて、珠入さんは、
「だってさ、めちゃかっこいいってわりと有名じゃん? あたしの場合、妹が大ファンだから」
新たにでてきた、足掛かりになりそうなワードに、わたしとももロックは同時に身を乗り出す。
「妹さんが、神谷先生のファン?!」
「あ……うん」
勢いに多少気圧されつつも、珠入さんは言った。
「あたしは、スポーツやりたいから塾には入ってないんだけどね。奥付塾の低学年クラスに、妹の奈(な)智(ち)が入ってるの。いつも嬉しそうに話すよ。かみやんとあれを話しただの、これを教えてもらったの」
小2のくせしてイケメン好きでさ、ませてるよね~と苦笑する珠入さんにお礼を言うと、わたしはももロックの目を見てうなずく。
調査を続行だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます