第261話 老人政治家に国を良くする気などない!
昼休み。
俺らは皆で食堂で昼食をとっていた。
食堂と言っても持ち込みは自由だ。
まず俺と桐葉がテレポートで家に帰り、テーブルに置いておいた全員分のお弁当を三台の電子レンジで温めていく。
温め終わったお弁当を持って食堂へテレポートすれば、みんながもう席を取っておいてくれた。
秋まではテラス席が一番人気だが、今は12月だ。
美稲たちが取ってくれたのは、日当たりが良く美しい中庭を一望できる窓際のテーブル席だった。
とはいえ俺らは11人の大所帯なので、ひとつのテーブルには座れない。
俺らから選挙の話を聞きたい美方、守方、糸恋、は俺、桐葉、美稲と同じテーブルに着いた。
他の詩冴、真理愛、舞恋、茉美は麻弥と同じテーブルに着いて麻弥を愛で始めた。
真のハーレム王は麻弥たんだと思った。
「それで、朝は糸恋のせいで途中までしか聞けませんでしたが、どうやって選挙に勝つ気ですの?」
――そのくらいにしろ美方。糸恋がまた赤面しているじゃないか。守方が電気ショックの準備を始めているぞ。
「ま、さ、か、とは思いますが、対抗馬を全て真理愛さんの力で刑務所送りにすればいいなんて安易な考えではないでしょうね?」
普段、一緒に食事をしないので桐葉の弁当ではない美方は、食堂のオムレツを食べながらジト目を作った。
「そんなわけないだろ」
「ではどうしますの? 残念ですが、老人政治家に国を良くする気はなく、頭にあるのは自分の老後と地位の安定だというのはワタクシも存じています。いくら若者の票を集めたところで、勝てるとは思えませんわ」
「いや、勝つ見込みはある。まず、確認だけど有権者の総数は約1億人。16歳から39歳までの有権者の数はおよそ2000万人。全有権者の2割を占める」
「ですから、残り8割を手中に収める他の、あ、いえ」
美方が口をつぐんで考えるそぶりを見せた。
「気づいたみたいだな。残り8割は与党や野党、数党で奪い合う。しかも40歳以降の投票率は50パーセント未満。実際に投票する人は4000万人もいない」
「ですが、ワタシも調べましたが若年層の投票率は30パーセント未満ですわよ」
「せやなぁ。いくらウチらの宣伝で盛り上がっている言うても、実際に行動を起こしてくれはる人は少ないやろ」
学食で注文したスパゲッティをフォークでくるくるとからめとりながら、糸恋も難しい顔をした。
「それなら心配ないわ。ほら、投票率を上げるために投票した人には500円分の電子ギフトカードがもらえるでしょ?」
美稲の問いかけに、三人はそういえば、と相槌を打ってくれる。
「アビリティリーグのVR観戦チケットに、その電子ギフトカードと交換できる500円チケットを売り出す予定なの。もちろん、観戦できる試合はいま人気の選手を固めたオールスター戦よ」
「桐葉はんと戦えるなら、ウチ、出てもええよ」
食い気味に、糸恋が前のめりになった。
刹那、彼女の特盛りバストがスパゲッティを押し潰しそうになる。
「危ない」
このままでは彼女の制服が汚れてしまうと、俺は全瞬発力を総動員しながら、スローモーションに見える世界の中で両手を突き出した。
俺の死力の甲斐もあり、からくも糸恋の特盛り様は俺の両手の上に着地して、その身を汚す不幸を避けた。
「ふー、危なかった……ん?」
「ハハハ、ハニーはん……」
両手にずっしりとのしかかる桐葉級の重さは推定3000グラム。
人の身には過ぎた重さだ。
そして、ブラとシャツと制服越しでもなおその柔軟性と弾力を損なわない低反発力に、得も言われぬ快楽で手がトロけそうだった。
――た、体育祭以来の!? 糸恋バストぉ!?
俺らは互いに顔を蒸気させながら三秒見つめ合った。
それから、俺はテレポートで糸恋のスパゲッティの位置をズラしてから手を離した。
「あ、危なかったな、制服が汚れるところだったぞ……」
「せ、せやね……」
「って、うちの糸恋に何をしてやがりますのこの淫獣が! やはり貴方は淫獣! 汚らわしいケダモノなのですわ!」
「何姉さん羨ましいの?」
「羨ましくなんてありませんわ!」
「でも姉さんの胸じゃ今のは再現できないよ。パッド使う?」
「貴方は口を閉じなさい!」
「あっ、ハニー、ボクも胸でお弁当潰しちゃう、制服汚れちゃう♪」
「お前らもう自由すぎるだろッ」
俺は勢いよく空手チョップのジャスチャーをした。
でも、守方と桐葉のおかげで気まずい空気がなくなった、と信じたい。
「ん!? いま何か大事なものを見逃した気がするっす!」
「気のせいだから黙って食べなさい」
隣のテーブルでは、詩冴が白いツインテールを昭和ロボのアンテナよろしくピコピコと動かしていた。
――流石詩冴、エロの波動を感じ取ったか。
感心半分、呆れ半分の俺だった。
頭上からRECマークを消した美稲が説明を再開した。(後で動画は消してくれ)
「それで話を戻すけど、ただでさえ若年層を中心に空前の超能力ブームで早百合さんは若年層のカリスマ的存在なのにアビリティリーグまで観戦できるとなれば、多くの人が投票するでしょ」
「ですが議席の6割を保有する日の丸党の牙城を崩せますの? 支持母体による組織票の壁は厚いですわよ」
「うん、だから早百合さんは40歳以降の中高年向けに、政治家優遇制度の撤廃を公約に盛り込むつもりだよ」
普段は品の良い美稲が、勝利を確信した勝負師の顔で言った。
一方で、守方、美方、糸恋は愕然とした。
「「「ぜ、全方位にケンカ売っている」」」
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今後の予定は
12月20日火曜日 第262話 殺しなさいよぉおお!(赤面)
12月26日月曜日 第263話 シサエのおっぱいはいつでもフリーっすよ!
1月 1日お正月 第264話 政治家の待遇ってチート過ぎないか?
です。
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本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。みなさんのおかげで
フォロワー21320人 908万9000PV ♥138720 ★8616
達成です。重ねてありがとうございます。
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★話が分からなくなって読むの辞めるという人が出ないようにあらすじ
1話~42話
舞台は100人に1人の割合で超能力者が生まれるようになった2040年の日本。
超能力者たちは人気者やいじめの対象などそれぞれの道を進んでいた。
主人公の男子高校生、
しかし、総理の失策から日本が経済破綻し、解決のために超能力者が招集されると、主人公も実はテレポーターであることが判明。
主人公は坂東や、学園のアイドルである内峰美稲と共に政府に呼び出される。
そこで明かされる超能力者を使った経済再生プロジェクトで、主人公はテレポート能力で超能力ヒロインたちを現地へ送る任務に就く。
物質再構築能力者の
動物操作能力者の
警察班の
ボッチから一転、リア充ライフに近づく中、世界唯一のテレポーターである主人公には護衛として戦闘班最強の
ハチの能力を恐れられた過去から、愛を知らず誰にも心を開かない桐葉だが、自身のセクシーボディに魅了される主人公を気に入りハニー呼びで恋人認定してくる。
しかしそれは表向きで、本当はただ体目当ての人なら扱いやすいと思ったから。
決して主人公に心を開いたわけではなかった。
けれど主人公のおかげで桐葉は他のヒロインたちと友達になる。同じ超能力者なら信用できるようになり、主人公には本物の恋愛感情を向けるようになる。
さらにただのタクシー役だった主人公だが、アポートに目覚めると地下資源を召喚できるようになり経済再生の主役に躍り出る。
主人公への妬みで学園の生徒が絡んでくるが、それも軽く撃退。
恋も友情も仕事も全てが順風満帆の主人公たち。
そんなある日、経済再生では役立たずの坂東の魔の手が美稲に襲い掛かるも、主人公のテレポート必殺技、自販機落としが炸裂して撃破。
美稲は主人公に深く感謝する。
その後、最近はクラスメイトからのすり寄りが鬱陶しいが、主人公たち超能力者たちは専用の学園に転校することになり、主人公は腐った人間関係すべてに終止符を打つのだった。
※主人公の名前は覚えなくてよい。どうせハニーとしか呼ばれないから。
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