第204話 き、期待なんかしていないぞホントだぞ!

 一時間後。

 朝の準備を終えて登校した俺らは、担任の鶴宮先生が来るまでの間、いつものメンバーで雑談をしていた。


「それでハニーちゃん、詩冴って一緒に暮らしてもいいんすか? あの家、流石にもうキャパオーバーっすよね?」

「あー、それならさっき早百合次官からメッセージが届いたぞ。高級官僚用の官舎マンションの最上階が10人でも住める二階建て仕様になっているから、そこに引っ越しだ」


 俺の返答に、詩冴は頭を抱えた。


「ん? マンションなのに二階建て? それってあれっすか? ドラマやアニメのセレブが住んでいる、マンションの中の一部屋なのに中が一軒家みたいになっていて、リビングが上の階まで吹き抜けで二階の高さにドアが並んでいてそのひとつひとつが部屋になっているあれっすか?」


「そうそう、あんな感じだ。メゾネット式とか言ったかな」


 言って、俺が早百合次官から送られてきた部屋の画像を見せると、女性陣の顔が華やいだ。


 どうやら、高級タワマンクオリティの内装に大満足らしい。

 家にこだわりを持つところは、みんな女の子だなと思う。

 まわりの生徒たちは、


「ついに枝幸も陥落したか」

「いやいや三又が陥落した時点で誰が陥落しても不思議じゃないだろ」

「噂じゃ2組の琴石も攻略済みらしいぞ」

「ラノベの主人公かよ」

「流石はハニー、この男女平等社会でハーレムを作るところにシビれる憧れるぅ」

「枝幸って純白のアルビノ巨乳美少女でコスプレ似合いそうだよな」

「ぐっ、あの淫獣はまたハーレムを増やしましたの。なんて汚らわしい!」

「羨ましいなら姉さんも入れて貰えば?」

「シバき倒しますわよ!」


 とか言っている。

 というかF6と貴美姉弟たちだった。


「ていうか毎晩俺と一緒に寝ている姉さんがそれ言う?」

「なんですって!? じゃあ貴方はワタクシに一人で寂しく寝れと言いますの!?」

「言わないよ。だから毎晩姉さんが寝付いた3秒後にウサちゃんと交代しているじゃないか」

「ワタクシはウサちゃんなんて抱いて寝ていませんわ! フザケたことを言うと名誉棄損で訴えますわよ!」

「まさか、棄損するだけの名誉なんて姉さんにあるわけないじゃないか」

「ファアアアアアアック!」


 ――仲いいなぁ……。


 あれはあれで、理想の姉弟の形なのかもしれない。


「部屋が足りなくても大丈夫。ボクはハニーと同じ部屋でいいから」

「クールな顔で何恐ろしいこと言ってやがる」

「ハニーだって本当は期待しているんでしょ?」


 小悪魔的な笑みで俺の頬をつっつく桐葉。


「き、期待なんかしていないぞ、ほんとだぞ」

「ならニヤけんじゃないわよ」


 茉美が寸止め空手チョップを俺に浴びせてきた。


 ――俺の技を盗るな。


 心の中でささやかな抗議をすると、教室のドアが開いて、担任の鶴宮先生が入ってきた。


「はい皆さん席についてくださーい、これから朝のホームルームを始めます」


 今どき珍しい、MRではない物理眼鏡の位置を直しながら、鶴宮先生が呼びかけると、生徒たちは次々自分の席に戻っていった。


 俺らは、俺を中心に桐葉たちがぐるりと囲むように座っているので、すぐに定位置につけた。


 ヒールをカツカツと鳴らしながら鶴宮先生が教卓の向こう側に立つと、知的な眼差しで俺らを見回した。


「皆さん、おはようございます。ではさっそく今日の連絡事項ですが、生徒会選挙が始まります」






 本作のヒロイン、桐葉(きりは)と

 昨日、電撃文庫発売の【僕らは英雄になれるのだろうか】の蜂道(はちみち)の違い解説。

 桐葉:蜂っぽいことを蜂以上に発揮できる超能力ホーネットの使い手。

 蜂道:生まれ持った魔術適正が蜂で蜂魔術の使い手。


類似点

 どちらも蜂蜜、蜂絹、蜜蝋、プロポリス、ローヤルゼリーを生成できる。

 空を飛び毒針を出せる。料理が得意。


相違点

 桐葉は身体能力を向上させ、さらに全身に蜂の外骨格を形成した最終形態を持ち、 戦闘能力は戦闘機を遥かに凌駕する。

 蜂道は蜂のはねは出せるが外骨格など最終形態は無い。

 魔力を使った肉体強化はできるがこれは蜂とは関係ない。

 回復魔術の使い手なので非戦闘員。

 ビーハイブ、という異空間収納魔術を使える。

 出した蜂蜜は自分の意思で消せるので食べても太らないお菓子を作れる。

 桐葉はセクハラをする側、蜂道はされる側。


結論 どっちも現代ファンタジーだけど……

 ハーレムラブコメ作品の桐葉はゴリゴリの戦闘民族。

 熱血バトル作品の蜂道は回復サポートキャラ。


 何かがおかしい気がするけど、桐葉さんなら仕方がない!

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

次回は、

第205話 生徒会選挙 始まります

第206話 早百合ちゃん 異能大臣に出世する

第207話 美稲の宝石貴金属作り放題能力がバレた

の予定です。

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

 本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。

 みなさんのおかげで

 フォロワー17280人 584万8351PV ♥88869 ★7189

 達成です。重ねてありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る