え? まって……それじゃあ二人は何を感じ取ったの?

 部屋に入った瞬間にイヤな感じを察知した新婚夫婦。幽霊が出たことにして、部屋を変えてもらおうとするのですが……。ゾッとするポイントはツアーコンダクターの何気ないセリフです。真相が明るみになってからもう一度読み返すと、印象がガラリと変わります。
 「なんかヤダな」の気持ちと部屋の雰囲気って深く結びついているのですね。「そりゃそうだろ」とツッコまれそうなんですけど、この話の場合はニュアンスがちょっと違うのですよ。
 この話は幽霊が登場しない実話怪談でありながら、書籍の怪談集に収録していそうなレベルの怖さがあります。
 ホラーが苦手なあの人は「終わったあとにネタバレをしてくれてよかった。すぐに知らされていたら、新婚夫婦は敏感になってちゃんと眠れなかっただろう」と安心していました。
 「なにともあれ、問題がないならそれでよし」。たしかにその通りです。