第15話 相手はランクS?
翌日は30層から攻略開始。魔獣は全てランクA、それが4,5体固まって行くてを塞いでいる。
戦闘の前にクズハに強化魔法を掛けてもらいそれから通路に飛び出したカイは自分の身体の動きが昨日までと違っているのに気がついた。
(いつもより早く、素早く動けている)
固まっているオーガに向かって走りながら
(そうか、クズハだ。進化したんだ)
昨日の宿でクズハの身体が光ったのは進化したんだと納得するカイ。
カイの動きは昨日よりもずっと素早くそして刀の切れ味も増していて、
「これで、終わりだ!」
固まっていたランクAのオーガを魔法で怯ませ、二刀流で次々にその首を跳ねては
倒し通路を奥に進んでいくカイとクズハ。
「クズハ凄いぞ。進化して強化魔法の威力が増してる」
肩に乗っているクズハが尻尾を振り嬉しそうにしているのを見ながら通路を進んでいくと通路の先がちょっとした広場になっていて、広場の奥にはさらに奥に進む通路が見えている。
そしてその広場の中央にはミノタウルスが1体こちらを向いて斧を構えていた。
気配から感じると通常の魔獣よりは強そうだが
「だが、俺の敵ではない!」
カイが広場におりるや、一直線に突っ込んできたのを見てミノタウルスは構えていた斧を向かってくるカイに振り下ろすが、あっさりと斧を交わし、すれ違い様に日本刀でその
腹を切り裂く。
大声を上げてカイの方に振り返ると今度は無茶苦茶に斧を振り回してきた。
力任せの大振りの斧はカイにとっては全く脅威にならず、簡単に交わして相手の懐に入ると、二刀流でミノタウルスの腹を切り裂く。
同じ場所を寸分違わずに刀で斬りつけると傷口が大きく広がり、魔獣の動きがだんだんと緩慢になっていく。
そのタイミングで背後からジャンプするとミノタウルスの首を綺麗に村雨で跳ねた。
「図体がでかいだけで大したことなかったな」
広場の中央で倒れたミノタウルスを見ていると光の粒になって消え、変わりにその場所に宝箱が現れた。
「一応NMだったのか」
手応えの無いNMだったと思い、宝箱を開けると、そこにはミノタウルスの角、黒いバンダナ、斧、金貨が入っていた。
それらをアイテムボックスに収納するとレベルアップしたカーバンクルのクズハを肩にのせて広場の奥の通路に入っていく。
すぐに階段があり、31層に降り立ったカイとクズハは、石板に記録すると一度地上に
戻っていった。
「お前も進化していくんだな。今日は助かったよ」
ダンジョンの近くの宿の部屋で刀を手入れしながらカイの隣に座っているカーバンクルに話しかける。
翌日は午前中はゆっくりして身体を休め、午後になってダンジョンに入っていくカイ。
アイテムボックスから黒いバンダナを取り出して手にとると
「特殊効果がありそうな装備品だ。効果はわからないが付けてみるか」
バンダナをたたんで細くしてから頭に巻きつけてみる。
そうして31層におりると、ここもまた通路ではなくだだっ広い荒野になっている。
所々に大きな岩があり、身を隠せる場所がほとんど見えない。
目に入る風景を一瞥し、クズハの強化魔法を受けたカイは荒野に歩みだしていく。
目の前にいる3体のオークに突っ込んでいく。オークの攻撃をあっさりと交わし、
「早い。素早さがアップするバンダナか?」
自身の身体の動きが一段と素早くなりオークの攻撃が昨日よりも遅く感じるカイ。
さっくりと3体を倒し
「間違い無いな、このバンダナは素早さを上昇させるアイテムだ」
その後もランクAのゴーレム、オーガ、オーク達が3,4体の集団であちこちに配置されている中を刀と魔術で集団を倒しながら進んでいくカイ。
強化魔法で身体能力がさらに上がっており怪力の腕輪で一撃のダメもアップし、バンダナで素早さがアップしたカイはリンクしても問題なく魔獣を倒しながら進み、31層をクリア。
そして翌日は32,33層とクリアしていった。元々の身体能力の高さに加え、装備している新しいアイテムでさらに素早さとパワーがアップしたカイはランクAの集団も何の苦労もなく倒してダンジョンを攻略していく。
次の日、34層に降りた瞬間、今までとは全く違う雰囲気が漂っているのを感じ取ったカイ。両手に刀を持ち、
「ここは今までとは全然違う」
クズハもわかったのか鋭い目で通路の前方を見ている。そうしてクルッと一回りしてカイに強化魔法をかけるとカイの後ろに回った。
通路を歩き出すカイ。すぐに通路の先のT字路の右から強い気配を感じた。
「ランクAより上の気配だ」
すると通路の角から今までのオークより2回り程大きく、肌の色もずっと濃い大型のオークが斧を持って現れ、カイを見つけると唸り声を上げながら突っ込んできた。
その動きを交わしながら金糸雀でオークの太腿を切り裂く、皮膚が大きく裂けるが
気にすることもなく振り返るオークその顔に火遁の術をぶつけ、怯んだ好きに近接して刀と小太刀を2閃する
オークの左足が綺麗に切れて身体を地面に倒したところで村雨でオークの首を跳ねた。
「こっちだってレベルが上がってるんだよ」
光の粒になって消えていくオークを見ながら呟くと、そのまま通路を進んでいく。
その後も今までのフロアにはいなかった上位種の魔獣が次々と現れてはカイに襲ってくるがそれらを刀と魔術で倒しながら進み、35層に降りる階段を見つけた。
階段を降りたところで記録すると、無造作に35層のフロアを進み出す。
同じ様に上位の魔獣が単体で通路を塞ぐ様に立っているが遠距離から魔術、そして刀というコビネーションで倒して35層をクリア。
36層からは複数体が固まっているがそれでもカイの脅威とはならずに襲ってくる魔獣を
次々と倒して進み、37層に降りたところでこの日の攻略を終えた。
宿の酒場にもどると、そこにいた冒険者達から
「今帰りかい?」
「何層までクリアしてるんだ?」
と聞かれて、
「36層までクリアしてきた」
そう言うと歓声があがる。カイが空いているテーブルに座り、食事を注文すると
「凄ぇな、ソロで36層までいけるのか」
「いや、カイだからだろ」
カイの強さはキアナの街でも、このダンジョンの宿でもすっかり有名になっていて、
「それで、相手の強さはどうだい?ランクAクラスか?」
「いや、34層あたりからランクAの上のクラスの魔獣がいる感じだ」
「ランクAより上?ってことはランクSクラスか」
「それでカイ、ランクSを倒しまくってるってことだよな?」
テーブルに出された料理を食べながら、
「ランクSっていうのか?ランクAよりは上の魔獣で雰囲気がランクAとは違うからすぐわかるよ」
「じゃあランクSだな、間違いない」
「ランクSか…地上では滅多に見ないクラスだよな」
「ソロじゃ普通は無理だろう?カイだから攻略してるんだな」
周囲が好きなことを話ししているのを聞きながら食事を取るカイ。
「ランクSが出てきたってことはそろそろ最下層が近づいてるんじゃないか?」
そう言われて手に持っているフォークを止めて
「俺もそう思っている。おそらくもうすぐ最下層だろう」
「このダンジョンも初めてクリアされるのか」
「頑張れよ、カイ」
「無理すんなよ」
皆口は悪いが心配してくれているのがわかったので片手を上げて答えるカイ。これもカイの強さを周囲が認めているからで、
「あのシノビは半端なく強い」
という認識が冒険者の間には既に浸透していたのた。
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