やってみないと分からない
自分が怪盗忍者からブルーム試作1号機を守る。そう宣言した
「31日。うん、その日なら空いてるよ♪」
「集合、何時? 早いほうがいいわよね」
「え?」
「リッカくん、まさか1人で行く気?」
「だとしたら今度こそ怒るわよ?」
「あ、いや……」
正直なところ、ただ自分が行くと決めただけで『1人で行くか/複数人で行くか』ということまで頭が回っていなかった。だが自分の願いに他者を巻きこむ発想は自分にはない。
なので誰もなにも言いださなければ1人で行っていたはずで、それこそが『1人で抱えこんだ』『水臭い』態度ということか。さっき叱られたばかりだ。
「一緒に行こうか」
「うん♡」「トーゼン!」
「いや、ちょっと待て‼」
「行ってどうする気だ! できることなんてないぞ⁉」
それはまだ考えていない。
「……怪盗忍者が予告状を出したら必ず警察が警備に当たって、そこにはパトアークも配置されるはずだから。お願いしてそれに乗せてもらって、怪盗忍者をやっつける……とか?」
「乗せてもらえるわけないだろ!」
「いや、まぁ僕もそれはそう思うけど。ダメ元で試してみることさえせず1号機が盗まれるのを黙って見てるなんてできないよ」
そこに
「そうだよ、
「
「負けても死にゃしないわよ。怪盗忍者、不殺主義者だし」
「
「うっ」
「ありがとう。確かに、認識が甘かったと思う。トキワが言ってくれたから気づけた。肝に銘じて、戦うよ」
「戦うな! お前のロボットに乗って戦いたい気持ちは分かる、しかし本当に戦うのは駄目だ。リスクを軽視していないか? 『自分は死ぬわけない』と」
「そんな楽観はできないよ」
人間、死ぬ時は死ぬものだ。
それは昔より痛感している。
「人はどうせ、いつか死ぬ。なら僕はロボットに乗って戦って、
「怖く、ないのか?」
「……怖くない、わけじゃないんだ。VR感覚でショック死する危険を知った時、怖かった。でもそれ以上に、アーカディアンを辞めさせられるかもってほうが怖かった」
「それがキツイのは、分かるが」
「2年前だって、何度も死ぬかと思って本当に怖かった。なのに『もうこりごりだ』って思えてない。またあの戦場に戻りたいと思ってる……どうかしてるよね」
「リッカ……」
「そう、分かってても……僕のVR感覚は実機に乗って戦えない現状への不満が溜まるほど強くなってるみたいなんだ」
「なに?」
「この前はロボットアニメの主人公みたいな怪盗忍者にヒロインみたく救われた屈辱で、過去最高に不満が爆発して。そしたら、初めてVR感覚で気絶までした」
「……!」
「もう限界なんだ。このままじゃVR感覚でショック死する前に発狂して死んじゃう。ロボットアニメの主人公みたいに行動できそうな場面で、そうしない人生はもう……耐えられない」
「……」
沈黙した
「
「
「わたしも魔法少女になれたら『魔法少女として戦って死ぬのは女子の本懐』って思うよ。そういうヒーローに、本気で憧れてるわたしを、
「アタシはそんな覚悟ないけど。友達の覚悟は尊重するわ。でも死なれちゃたまんないから、誰も死なないようサポートする……もちろん自分込みで」
「
「わぁい!」「さんきゅ、
「ありがとう、トキワ!」
「俺も、あの地獄に戻りたい。今度こそは自分が実機に乗って、あの時のお前のように戦いたい。危険と分かっているのに、そう思わずにはいられない」
「トキワ……」
「俺たちは昔っから同じロボット狂だろう? 分かっていたさ、とめられないのは。だが『やってみないと分からない』だろ?」
「あはは」
「俺も行きたいが、あいにく31日は用事がある。だからリッカ、俺がいなくても必ず自分を、
「分かった。誓うよ」
「ああ──
「任せなさい!
「むー。
それを見ながら
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