私のこと好きですか?

 清風館高校はノリがいいと県内で有名だなので文化祭はもちろん朝礼や生徒総会で生徒が発表などしてもしらけることはない、言うか無かった

 朝礼で告白をした生徒や恋人を募集した生徒なんかいたが結果は無残なものだった


「遥ちゃん準備してきた?」

「してきたって?俺の恰好みたらわかるだろ」


 学校に着いたとたんに国東に連れられタキシードに着替えさせられて、目隠しもしている


「まず、目隠しをはずせ」

「え?そんなことしたら意味ないじゃん」

「は?もうわけわからん」

「んじゃ、背中押すから歩いてね」

「あ、おいちょっと待てや」


 真っ暗で何も見ないけど生徒の視線はめちゃくちゃに感じる


「次右ね、んで階段あるから」

「せめて、どこに向かってるかだけ言わね?」

「体育館」

「それは分かるけど何すんだ、それを教えろ」

「サプライズは秘密だからサプライズなんだよ」

「処刑?」

「半分そう」

「半殺しか」

「ほら、着いたよ。勿論目隠しは取らないでね」


 これから、何をされるか全くわからんない状態で奥のほうに立たされた


「めっちゃ、ざわざわしてねか?」

「一大イベントだからね」

「本当になにされるんだ」

「待てばわかるよ」


 十分たっただろうか扉が開き国東の声がスピーカーからした......スピーカー?


『これより、鷹山遥君と鴻上舞さんの結婚式を行いまーす!!』


「ハァ!?結婚式ってなんだそれ!!聞いてないぞ国東‼」


 驚きが隠せない、頭の中はハテナだけで何も考えられない


『言ってないからね、目隠しはもう外していいよ』


 言われた通り外すと、体育館の床にはバージンロードが敷かれているそれに造花だろうか花も置かれている


「おいおい、これ本当にするのかよ!!てかよく一日でここまで出来たなぁ!?」


『新郎がピーチクパーチク喋ってますけど新婦の入場です』


「新婦?鴻上にも着せたのかよ!!」

「正解でーす!!」


 鴻上の声が聞こえた方を向くとウエディングドレスを着た鴻上が......綺麗だな


『あぁ......勝手に入っちゃ......まぁいいか!』


 ゆっくりと鴻上がこちらに向かって歩いてきている、まるで彼女以外時が止まっている様だ、花弁なんかも舞っているゆっくりと俺の前に来た


「その、どうですか?」

「顔はベールで良く見えてない、てか良くドレスなんかあったな」

「これは国東さんが持ってきたんです」

「後で二人で問い詰めようか」

「そうですね、二人で問い詰めましょう」

「では、ベールを」

「お前は何してんだ国東」

「信仰深いからさ神父役と進行役」

「人がいなかったって言えよ」


 よくもまぁ、まじめな朝礼なのにこんな余興を許可したもんだ、何でこうもまぁ......いいか


「さて、それではベールを」


 俺は鴻上にかかっているベールを上げた、とても綺麗だ間近で見るとよりいっそう綺麗だ。


「次は誓いのキスを」

「そこまでするの?」

「します」

「やります」

「はい」


 本当になんだこれ、その昔小豆袋を戦の状況に見立てた話があったが、今のこれは小豆袋もなければ、もってきたくれる家臣はいない。


「誓いますか?」

「は?」

「新郎あなたは誓いますか?」

「誓わなきゃダメ?ああそうね、誓わないとだめなのね」


 二人の目がガチだ言わなきゃ殺される


「はい、誓います」

「では、新婦あなたは」

「誓います」

「流石お答えが早い」

「ま、鴻上だしな」

「なんですかそれ」

「では、誓いのキスを」

「はい、遥君」

「何でそんなにグイグイくるんだよ!おい!教員も見てるなら少しは止めて欲しいんだけど⁉分かったやるから待って、こういうのって心の準備がいるだろ?だから待って!!」

「はい、分かりました」

「なんだよこれ、君たち面白過ぎないか?」


 国東後でボコしてやろう、なんだかもう飽きれてきた、準備できた


「鴻上いくぞ」

「舞」

「わかった、舞いくぞ」

「はい」


 舞の顔に手を当てる、それで舞の顔がゆっくりと近づいている、唇だよな。やっぱ無理だ頬にしよう。

 その時鴻上の手が俺の顔をつかんだ、おい、待て確実に唇にする気だ、もう無理朝から疲れて動けん受け入れよう


「改めて言います私遥君の事が好きです、だから聞きます遥君は私のこと好きですか?」


 舞の顔は目の前で止まった睫毛の本数すらわかりそうだ


「どうですか?」


 やめろよその目そんな怯えた目をするのはやめてくれ、答えがわかってるのに間違うかもしれない、拒絶されたらとか、この手を振り払われたなんて考えてるんだろ、そんな心配はないのに


「聞く必要あるのか?」

「あります」

「どうしてだ?」

「私重たいので......」

「体重か?気にする必要はないむしろ痩せてるもっと食べないと」

「違います」

「舞が重たいなんて知ってる」

「だから」

「監禁も受け入れたし、俺の家にも泊めてるし、普通ならいきなり結婚式だなんてバカらしくて逃げてる、今ここにちゃんといるのが答えじゃダメなのか?」

「ダメです」

「分かった、好きだ。これでいいか?」

「はい!」


 誓いのキスにしてはロマンチックだ、お互いにファーストキス、んでここに学校一の問題カップルの誕生だ。

 生徒の歓声に国東の笑い声に教員の談笑、自分の心臓の音、舞の心臓の音も聞こえる、感覚が研ぎ澄まされるのと同時に、今まであって胸のつっかえ棒が取れたそんな安心感がきた


「嬉しいなこれ」

「私もうれしいです」


 俺は......舞を独り占めにしたい......彼女は喜ぶだろうか......きっと喜ぶだろうな、でも今はこれで我慢しよう


「好きだ」

「私、遥君に抱きしめられるの好きです」


「それでは新郎新婦の二人に盛大な拍手を」


 こいつはすぐに雰囲気を壊す、今日の事は全部チャラだ、だが後で舞と二人で問い詰めよう、ゆっくりとじっくりと三人で夜が更けるまで話し合おう


「国東」

「なぁにぃ~」

「今日俺の家で遊ばないか?泊りで」

「考えとく、でも結婚初夜を邪魔する程間抜けじゃないんだ」

「私はいいですよ?」

「ほら、新婦もこう言ってるし良いだろ?」

「考えとく」

「夕飯時に来い、絶対に来いいいな?」

「うっす」

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