はい、よろこんで

 鴻上をいじめていた生徒は一か月の謹慎処分となった、俺は一週間の自宅謹慎ですんだ


「暇だな......」


 二日目だが、家で出来ることは大体してしまった、出ていた課題も終わったからやる事何もないしさ、てかもう四時か


「ただいまー」

「は?何で家に来てんの?しかも勝手に入ってるし」


 勝手に鍵を開けて入ってきたのは鴻上だった、分かってたけどさ


「合鍵持ってますし」

「持ってたね犯罪合鍵」

「結局必要になるのでいいじゃないですか」

「まだ、分からないだろ」

「そうですね......それに、こんなのですから、私なんて嫌ですよね」


 鴻上にしては珍しく弱気だ、俺が自宅謹慎になったのが自分のせいだと思ってるんだろうな


「どうした、いつものグイグイ来るのはどうした」

「いえ......私のせいでこうなってしまったので」

「確かに、こうなった原因は鴻上にある」

「そうですよね......」

「だから、自業自得とでも思ってろ」

「でも......」

「なら、罪滅ぼしで俺の話相手になってくれ」

「そんなことでいいんですか?」

「二日目にして課題も全部終わって、今日一日暇だったからな」

「でも」

「でももストもない、まだ監禁は続いてるんだろ?なら場所が変わってもいいだろ?」

「そうなんですけど......」

「どうせ、お前も休めって言われてるだろ」

「......はい」

「なら、俺の家にいてもいいだろ」

「もっと、ほかの言葉で聞きたいです」

「は?」

「遥君は私に居てほしいんですよね?なら頼み方ってありますよね?」


 こいつ、俺が下手に出てるの分かって強く出ている、本当に調子のいい奴だな


「暇だから俺の家に居てほしい」

「えー?なんですかー?」

「こいつ」

「早くしないと私帰っちゃいますよー」

「はよ帰れ」

「残念でしたねー私タダでは帰らない女の子なんです」

「近くに居てほしいから、その......一週間だけ俺の家に住んでほしい......」

「はい、よろこんで」


 この顔だ本当に嬉しそうで幸せそうに笑って、この笑顔が好きなんだ。俺だけにその笑顔見せてくれ


「それじゃあ、私帰りますね」

「帰るのか?」

「はい、着替えもないですし」

「そうか......」

「そんな悲しそうな顔しないでください、すぐに帰ってきますから」

「分かった」

「夜ご飯なにか食べたいものありますか?私作ります」

「それじゃあ生姜焼き」

「はい、材料買ってきますね、お留守番たのみましたよ」


 そう言い残して鴻上は帰っていった


「てか、お留守番って俺の家じゃん」


 なんだろう、この空っぽな感じ鴻上が出て行ってから十分、まだ帰ってこないのか......


「ちょっと寝るか......」




 何時間寝ただろうか、いい匂いがする


「いま、なんじ?」

「あ、おはようございます?夜なのでこんばんは?」

「ん?なんでいるの?」

「もうすぐごはん食べれるので早く起きてくださいね」

「ん」


 質問に答えてくれなかった......


「はい、生姜焼きとサラダです」

「ん?」

「なんでって顔も可愛いですねー」

「お茶飲みたい」

「はい」

「ん」

「目は覚めましたか?」

「起きた」

「寝起きですけど食べれそうですか?」

「腹減ってるから食べれる」

「それじゃあ、いただきます」

「いただきます」

「はいどーぞ、あーん」

「ん」

「どこを見てもミズゴロウ級の可愛さですねぇ」


 鴻上の中では俺はミズゴロウらしい初めて知った。いや普通はしらないか


「どうですか?」

「おいしい、何で好物知ってるの?」

「さっき自分で言ってましたよ?」

「そうなの?」

「なんだか今日はいつもより口調が可愛いですね」

「よくわからない」

「んーじゃ私の事どう思ってますか?」

「すき」

「はへ?」

「ごはん美味しいし、いい匂いがするから」

「ええ!?」

「今もいい匂いする」

「いや、これは、そのすごいですね」


 いま、遥君が抱き着いてるしかもこんなに可愛いモードで!!こんな幸せあっていいんですか⁉これって私も抱きしめていいんですかね⁉いいですよね⁉


「わ、私も遥君の匂い好きで」

「ごはん食べる」

「そんなぁ......」

「早くてべよ?」

「は、はい」


 あーもう全部可愛いですね、早く私の物にしたいです、絶対に幸せになりましょうね......


「お風呂入る」

「湯舟貯めますか?」

「んーんシャワーでいい」

「わかりました、準備しますね」

「うん」


「一緒に入るの?」

「え、ええ......二人なら水道代とか浮きますし」

「分かった」


 え?今日は何なんですか⁉いつもより大胆ですし!!あーもう本当に襲って食べたくなるじゃないですか


「はやく洗って?」

「......⁉は。はい!!それじゃ頭からしますね、目瞑ってくださいね」

「んッ」

「どうですか?気持ちいいですか?」

「気持ちいい」

「お湯かけますね」

「ん、ちょっと熱い」

「はい、温度下げますね」

「ちょうどいい」

「体は自分でしてください」

「分かってる」

「私も髪を洗います」

「分かった、すぐに出る」

「はい......お願いします」

「早く出てね?暇だから」


「ハウッ今日の遥君可愛すぎです」



「ん?ン⁉え?は?おい、今さっきまでのはなんだ?」

「あれ?遥君戻ったんですね、少し残念です」

「え?戻った?なにから」

「んー?可愛かったころから?」

「まるで親みたい、いやなんでもない」

「えっと、私どこで寝ればいいですか?」

「俺と一緒の布団」

「もしかしてまだ眠いですか?」

「多分」

「なら、早く寝ましょうか」


 今日はなんだか幸せだった

 今日はすごく幸せでした


 このままがずっと続けばいいのに。

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