第8話『エリザベートのヤンデレ独占欲』

 (……エリザ幸せです。ゴールド様と二人きり。こんな時間が永遠に続いて欲しい、愛しい。最愛の君と一緒。ずっと。ずっと……)


 妹のカーミラにも勝るとも劣らない程、美少女吸血鬼エリザベートは、ゴールドを想っている。

 静かだが、その思いは、深い。


 (……誰もいらないわ。ゴールド様以外いらないわ。エリザと二人でどこまでも。他の使徒もゴールド様の役に立たないならイラナイ……)


 誰にも明かしたことが無い。エリザベートの気持ち。

 ゴールドと二人っきりな為なのか、その隠された想いが溢れてきた。


 (……そして、ゴールド様以外の天上の魔王ども。コイツらもイラナイ……)


 ――NPCも、この異世界に来て変質していたのだろうか。


 (……もしもサタンパーティを捨てておきながら、ゴールド様を不快にさせるならば、ヤツラは、エリザが……)

 

 その変質具合は、かつての上位者達にも向けられた。

 エリザベートが特別なのか。


 それともNPC全てが、変わってしまったのか。変わり果ててしまったのか。

 それとも。


 元々彼女たちが、ジェネシスで見て、感じて、考えてきたことが表面化しただけなのか。 

 

 ――遊んでいたおもちゃが勝手に動き出した。 


 ――そんな、おもちゃが考えることなど、誰にもわからないのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る