第2話『黄金の鉄槌』

 ――両雄が会敵したのは、突然であり、必然であった。 


 「うわあああ! 王国は終わりだあああ!」

 「あの虹の怪物は、どう抗っても絶望だけだぁ!」

 「俺たち、人間じゃ、ドラゴンには勝てない……勝てっこない」

 「デーモンキラー級討伐者のエリート部隊も一撃だ! たった一撃で! クソ!」


 正に、ピースメーカー王国は。その時、間違いなく風前の灯火であった。


 「フん。もう反抗の手段も意思も無いか、そろそろ終わらせるか」


 それを見て詰まらなそうに呟いた虹色の天神竜レインボーヘブンズ・ドラゴン


 そう。

 終わりの時である。


 ドラゴンが超越者として振舞える時間。

 それが唐突に終わらせられたのだ。


 眩い黄金の光によって――




 「――AAAランク魔法マギア暁の天使王の鉄槌ルシファーズハンマー




 ――それは、光。 

 極光とも呼ぶべき光。


 それは、数多の光を一点に収束した極光。

 その光を束ねた黄金に輝く鉄槌。 


 それが、振り落とされた。

 天から竜に向かって、瞬く間に到達した。


 「グぎゃ」

 

 その時、聞こえた無様な音。

 あまりに無様。


 一体ダレが声を上げたのか。

 一瞬の出来事で、その場にいた誰もが、わからなかった。


 そう、それを上げたのは竜王だった。

 彼自身も分からなかった。


 ――しかし。次の瞬間。誰もが、理解も認知も出来た。 


 「グぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

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