第59話 唐揚げに合うもの

「これすごい美味しいじゃん! 何杯でも飲める!」


「うんうん。なんなんだこれ。初めて飲んだけど最高じゃないか! もう一杯くれ!」


 パーティーが始まってから各自が持ち寄った料理を選んで食べていく。その中でヴィークたちのラズベリージュースがかなり好評。


 かなりの量を用意したのにもう残り2割くらい。みんなが気に入ったらしい。頑張った甲斐があるというものだ。


 ただ人気なのはいいのだが、一つ困ったことがあった。


「あっはっは〜ヴィークくーんはろはろ〜。どうかね楽しんでるかね〜」


 そう。酔っ払いである。


「ルーシーさんこんなになるんですね。ってちょっと抱きつかないでください!」


 ラズベリージュースの原液をお酒で割るとめっちゃ美味しい。村長のハロルドがやってみて発見したのだが、ルーシーはかなりハマってしまったようでもうベロベロになってしまったようだ。


「ちょっとルーシーさん! お兄ちゃんにくっついていいのは私かアリスちゃんだけなんですから!」


「おっとぉ、あいんちゃん? やっほー。私の料理はどう?」


「あぁ。これですか」


 アインたちが横目に見たのは野菜(葉っぱ)がこんもりと盛られたお皿。


 なんの加工もされていないこれを果たして料理と言えるのかどうかわからない。ルーシーはさっきこれをヴィークたちに自慢げに話していたのか。


「あぁ! その目は何!? まさか私の料理を馬鹿にしてるの?」


「いえ、馬鹿にしてるわけではないんですけど……」


 みんなが手の凝った料理を持ってきたのにルーシーは葉っぱ(サラダ)だけ。そりゃあ料理は各自自由にもちよるので何を持ってきても問題はないけども。


「その目は馬鹿にしてる目だ! 私だって最初はちゃんとしたの作ろうと思ったけどさ……アインちゃんがから揚げ作るって聞いたからさ」


「どういうことです?」


 アインがから揚げを作ったことと、ルーシーがサラダ(手抜き)を作るのに何か因果関係があるのだろうか。


 よく意味が分からないと言う2人にルーシーはふふんと勝ち誇った感じで言った。


「アインちゃんのから揚げとこの野菜を包んで食べると最高でしょうが!!」


「なっ! なるほど!」


「それは考えていませんでした」


 まさに目から鱗。たしかにこの葉っぱ(サラダ)はそれ単体では魅力は少ない。いや、この場面では魅力はない。


 でもから揚げをこれで挟んで食べるとなると話は別だ。ただの葉っぱが恐るべしから揚げとの最高コンビへとグレードアップ。


「こ、これはめっちゃ美味い!」


 実際にから揚げに野菜を巻いて食べて見るとそれはもう素晴らしいほどに美味しかった。


 ルーシー恐るべし。アインのから揚げに惚れたからこそ考え出したものだろう。


「そうでしょ〜。私、初めて食べた時からこれは合うなって思ってたんだよね。それに……うーん! このラズベリー割りのお酒とも最高なんだよ!」


 またラズベリー割りのお酒をぐびっと飲み干した。ルーシー、大丈夫なのだろうか。

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