第98話 1対1
ナビーの背後に
……やられる!
覚悟をしてただ体に力を入れていたが、何も起こらない。
恐る恐る振り返って確認すると、剛はうずくまって
「うっぐぐぐう……」
覆いかぶさっていた俺を軽く突き放したナビーは、引きつづき
「シバも気を付けなさいよ。自分で習得した力以上の力を使うと、身体がついて行かなくて、この
「え!? レベル以上の事ってできるのか?」
「シバにはこうなってほしくなかったから今まで言ってなかったけど、無理矢理
今の話は聞いてよかったのか、聞かない方が良かったのか。
これから俺は、苦戦した時にこの話を思い出し、レベル以上の事をするかもしれないと思い、自分で自分が怖くなる。
そうしないためにも、剛が苦しんでいる姿を目に焼き付けた。
「まだだ、まだだ、まだだーーーー!」
剛は気合で意識を取り戻し、落ち着き始めた。
「ナビーは離れてサポートしてちょうだい。後は俺がやるから」
「2人でって言いたいけど、このレベルの戦いだと私は
ナビーは俺に守備力を上げる
ここからは、後の事など考えないで戦わないとやられてしまうので、全力で戦うことにした。
「セジオーラ・レベル9!」
落ち着いていたはずの剛は、セジオーラ・レベル9と聞いて再度怒り狂い始めた。
居合の構えで出方をうかがっていると、剛が一直線に殴りかかってきたので、拳めがけて抜刀した。
しばらく
……ついて行ける!
セジオーラ・レベル9とナビーの
「はああああーーーー、
格闘家としての感が働いたのか、俺が反撃をする前に剛は一度後退して、苛立ちながらも息を整えはじめた。
今が勝機とみて、休む間を与えないように
すると、対抗して黒龍を次々ととばしてきたと思ったら、浦添軍を全滅させた
自分1人を守ればいいだけなので、ヒンプンシールドを頭上に設置しようとした時、ナビーのテレパシーが聞こえた。
「
お互いに距離を詰めながら、ナビーに合わせて火災旋風をいくつも自分たちの周りに出していくと、降り注ぐ黒龍を燃える竜巻が次々と消滅させていった。
しかし、一安心する間はなかった。
気を抜かずに警戒していた俺は、ナビーを守るヒンプンシールドを設置しようとした。だが、獣の影と叫び声が聞こえて手を止めた。
「おおおおおおおおおお!」
「2人とも無事みたいだな。遠くからも見えたが、よくあれをしのいだものだ。それとナビー、
「
「
「民を守って全員やられてしまったさー。
「そうか……で、
ナビーが
「護佐丸よ。これは、剛とこ奴らの戦いだ。邪魔するというのなら、我も戦いに参加することになるのだが、それでよいのか?」
少し考えた護佐丸は、自分が加わると不利になることを悟る。
「
指笛を鳴らすと
「ナビー、頼まれていた
「
護佐丸が遠くに行ったのを確認して、
ここからはナビーが全力で戦える。
剛は心なしかナビーを先に狙っていたので、俺は守ることを意識しながら戦っていた。それがなくなるのは本当にありがたい。
「シバ、
「ん?」
「私も戦えるようになったけど、1人で戦いたいんでしょ? 私はもう守らなくてもいいから好きなようにやりなさい」
ナビーは俺の気持ちに感づいていたようだ。
「やっぱり、ナビーには敵わないな。戦いながらずっと思っていたけど、俺が1人でやらないと、剛さんを更生させられないんじゃないかと考えていたんだ。舜天の策略に巻き込まれただけとも言えなくはないから、無事に元の世界に返したいだろ?」
「本当は私の仕事なんだろうけど……シバ、後は
「
今度は俺から剛に斬りかかるがかわされ、最初から攻守交替になった。
相変わらず剛の攻撃は速かったが、それをかわし、いなし、防ぐことを繰り返す。
目が慣れてきてこちらから攻撃を出せるようになると、全力を出せるギリギリの戦いが面白くて仕方なくなっていた。
しかし、このまま長引かせれば剛の身体がどうなるかわからない。
前蹴りを刀で防いだが、少し押し込まれた。
そのすきを見て、剛はナビーに向かって飛んでいくが、今度は全く焦る必要はない。
ナビーは
「
……ナビーは流石だな。
ナビーを狙うことをあきらめた剛は、まっすぐ俺を見据えている。
これでやっと1対1になれた気がした。
意識があるのかないのかはわからないが、剛は腰を入れて構え、息を整えていた。
これが最後の交わりになると何となく感じたので、今できる最強の技をすることにした。
剛の黒いオーラがさらに激しくメラメラし始めた。
そして、無言のまま鋭い正拳を繰り出すと、俺を飲み込まんばかりの黒龍が襲い掛かってきた。
「居合、
黒龍を2枚に
俺は、左手で握っている
「
鞘から出るジェット噴射の力を利用して刀を振り切り、何周も回転しながら剛の本体を斬った。
「手ごたえあり!」
慣れない回転に目を回しながらも確認すると、
ふらふらする視界が戻ってきたとき、ナビーがきて回復をしてくれた。
「シバ、
「
「剛もなかなかの強さだったが、まさか負けてしまうとはな。無念を晴らすためにも、剛が生み出したこの
舜天が剛をわきに抱えた。
「待て! 剛さんを連れて行くな!」
「心配するな。用が済んだら後でこの
地鳴りが近づいてくる。
ナビーとの火災旋風で結構な数の
そのまま3人で戦っても、全滅させる前にセジが切れてしまうのが目に見えるので、覚悟をして刀を握った。
その時、後方からも小さな地鳴りが聞こえた。
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