第97話 再戦
「ちょっと待てい! なんだそのネーミングセンス!
「そこ褒めちゃうわけ? 私も嫌いではないけどさ」
感情の高ぶりからか、剛の身体から
「ほ、褒めたからって手は引かないからな!」
「そんなことで手を引くとは思っていないですよ。そんなことより、その技をするときって技名を叫ぶんですか? 長すぎて叫びにくいと思うんですけど?」
「さ、叫ぶわけないだろ……」
剛が少しもじもじしている。
「そんなことよりが、そんなことよりすぎるだろ!」
ナビーはツッコミを入れてすぐに、俺にテレパシーで話し始めた。
「シバ、珍しく少しふざけてないか?」
「琉美たちが来るまで、少しでも時間を稼げないかと思って。そういえば、
「
俺は時間を稼ぐために、首里城炎上の事を聞き出すことにした。
「ひとつ教えてください! 剛さんは首里城を燃やしたことを認知していなかったんですか?」
「ああ、そうだよ。この身体に宿る
元の世界で剛が
そして、俺が異世界琉球に渡ると剛に伝えたことで、剛の負の感情がさらに強くなり、それが大舜の魂の糧になったということなのだろう。
しかし、それがわかったところでさらなる疑問が残った。
「でも、何で首里城を燃やすとき、わざわざこの世界の首里城側から現れたんだ?」
黙っていた舜天が口を開いた。
「琉球王国に架空の裏切者をつくるため、我と兄上が仕組んでやったことだ。まあ、おぬしらが疑うことを知らぬのか、思惑は外れたがな」
外れてなんかいない。俺は今日まで裏切者が琉球側にいると思っていた。ただ、騒ぐことをしなかっただけだ。
「それじゃあ、1度剛さんは世界を渡ったってことだよな? いくらお前でも、人の身体を異世界に渡らせることは簡単じゃないだろ?」
あのキジムナーがスマホを送るだけでも大変だったのだ。剛の身体を送るには膨大な力が使われたことになる。
「我の妖力があれば、1度くらいわけないさ。それに、おぬしらが世界をつなげると分かっていたのだから、2度目はそれを利用したまでさ。わざわざ説明せぬとも理解できないのか? 無駄話はこれぐらいだ。剛、始めなさい」
時間稼ぎはここまでの様だ。しかし、知らないままではもやもやしていたであろうことが聞き出せたので、大きな成果になった。
剛が深呼吸をして精神を整えているすきを見て、ステータスを確認することにした。
Lv.77
HP 985/985 SP 789/820
攻撃力 880 守備力 1041 セジ攻撃力 797 セジ守備力 1022 素早さ 998
特殊能力 中二病
身代わり
特技
ヒンプンシールド Lv.10
特殊能力に【
「今、ステータスを確認していたでしょ?」
剛の回し蹴りが腹部めがけてきたが、後退ではかわせないと一瞬で判断し、逆に突進で距離を詰めて蹴りの威力を落としつつ、剛を弾き飛ばす。
しかし、剛が
俺と同じく、ナビーに戦いの基礎を教えてもらったもの同士なので、手の内を知られているのだ。
「
左手に持っていた
しかし、刀は必要なので言い当てられたとおりに刀を構えた。
剛は勝ち誇ったように不敵な笑みを浮かべている。
その時、一瞬の動揺を見ていたナビーに喝を入れられた。
「剛が知っているシバよりも、今のシバが弱いと思っているのか!? 自信もって戦いなさい!」
俺は何を動揺していたのだろうか?
いくら戦い方を知られていても、逆にそのことを利用できるし、今では剛よりも戦いの経験を積んできたので恐れる必要はないはずだ。
「成長した君を痛みつけられて、すごく、すごく嬉しいよ。だけど、僕はじっくりなぶり殺すことはしない。すぐに終わらせる。7段のオーラ。
黒いオーラが剛の周りに
「
俺は刀に炎を纏わせ、臨戦態勢をとった。
すると、剛はすごい速さで飛ぶように襲ってきた。
「花笠シールド!」
俺の前に跳び出たナビーは、手持ちの盾で剛の攻撃をいなしながら、説得し始めた。
「
「わかっているさ。だから、すぐ終わらすよ。8段のオーラでね!」
防戦一方でいなすだけのナビーでも、さらに素早くなった剛の攻撃に余裕がなくなっている。
このレベルの戦いでは、
「ナビー俺がやる!」
俺は戦いを長引かせるため、わざとセジオーラをレベル8に合わせてナビーと入れ替わって戦い始めた。
剛の黒い
しばらく
「もしかして、レベル8を習得しているのか!? クソ……どれだけ僕を苛立たせれば気が済むんだ! うぉおおおおおおおお、10段のオーラーーーー!」
全身の黒いオーラが濃くなりすぎて、姿が見えにくくなっている。
「……
剛が拳を突くたびに、追跡型の黒龍が俺とナビーに襲い掛かってくる。
刀で受け止めるのは良くない気がしたので、逃げ回りながら
すると、俺に向かってくるはずだった黒龍が、連続でナビーを追跡しているのが見えた。
「ヒンプンシールド・
いくらナビーでも対処できないと思い、3枚重ねのヒンプンで黒龍の進行を妨げた。
ナビーが体勢を整えることができたのを確認した時、視界に入っていた剛が消えた。その瞬間、背中に重い蹴りを入れられ吹っ飛ばされた。
「シバーーーー!」
ナビーが空中で俺を受け止めて、一緒に飛ばされながら回復をしてくれている。そうしなければ、戦闘不能になっていたかもしれないほど強い一撃だった。
ナビーが安全に着地をして寝かせてくれた。慣れない激痛に意識が飛びそうだったが、ナビーの呼び声で保つことができた。
「シバ! 大丈夫か!?」
「うん、ありがとう。もう少しでヤバかったけど」
「さすがの私でも、
「もちろ……」
差し出された手を引いて立ち上がろうとした時、ナビーの背後に剛が現れた。
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