第85話 浦添按司代行
……
「ふん。弱いやつらが威張っちゃってるよ。1人1人は大したことないくせに、群れれば勝てるとでも思っているのか? すぐにわからせてやるよ」
今にも襲い掛かりそうな天邪鬼だったが、後ろから
「痛い! 何するんですか舜天先輩!?」
「馬鹿者が! 3将軍のくせにあれの脅威を
舜天が指し示す琉球軍の上空には、
その真下には
唖然としていると、ナビーがポツリとつぶやいた。
「
「ナビーでも見たことがないのか? この感じだと、すごい技なんだろ?」
「
尚忠王は舜天と天邪鬼に向かって
「琉球の
舜天はまだ納得していない天邪鬼を説得し始めた。
「
「わかりましたよ先輩」
2人はあっという間に消え去ってしまう。
尚忠王は
「首里城防衛戦、琉球の勝利だ!」
『うをおおおおおおおお!』
王と
「みんな無事で良かったさー」
「本当は俺たちだけで止められたら良かったんですが……助かりました」
「
礼をしてくれた尚忠王は、唐突に俺の腕をつかんで頭上にあげると、皆を注目させた。
「聞け! 戦を仕切り、3将軍と直接対峙した
『……』
「では、
『うをおおおおおおおおおおお!』
……俺が
断りたい気持ちはあったが、尚忠王が皆の前で任命してくれた手前、言い出すことができない。
それに、
「
「
兵士たちの歓声の中、不安とプレッシャーで押しつぶされそうになりながら家に帰る。
居間に座って少しボケっとしていると、ナビーが笑いながら話しかけてきた。
「まさか、シバが
「引きこもり言うな! それよりも、俺じゃなくてナビーの方が
「琉球では上に立つものは
その時、戸を開ける音がして振り向くと、
「
「
「
「わざわざ、ありがとうございます……ですが、俺なんかが按司になってもいいのですかね?」
「シバなら大丈夫さー!
「それならいいのですが……でも、護佐丸さんに言われたら、大丈夫な気がしてきました」
だいぶ気が楽になったと思ったが、ナビーが横から不安になることを言ってきた。
「
「え!?」
「ナビー! そういうのは、落ち着いてからにしなさい! シバが動揺しているさー」
今になって気が付いた。
しかし、領主というものはそういうものだ。
「
……ナビーはラノベ原作アニメも好きだったからな。
「オタクとは何のことかは知らないが、ナビーがそう言うのなら大丈夫なのだろうな。まあ、何かあったら
「いつも気にかけて下さってありがとうございます。
「そのつもりさー。では、
護佐丸を見送り、ナビーに琉美のことをきいてみることにした。
「琉美はどこに行ったんだ?」
「なんか、カマドおばーに用があるから遅くなるって言っていたさー。私も少し行きたい場所があるから
「そういえば、
「首里と浦添はいつでも行き来できる距離だから、必要最低限の物だけ持っていこうね。じゃあ、
ナビーは白虎を連れてどこかに行ってしまった。
俺は1人で荷物をまとめながら、1年間お世話になったこの家の大掃除を始めた。
最近は各地の応援で忙しかったのでただ眠るだけの場所になっていたが、この世界で唯一の落ち着ける場所だったので、離れるのは少し寂しい。
……やべっ。元引きこもりの症状じゃないよな?
掃除をしていると
直接話したことがなかった
「シバさん。
「
握手を求めたが手を取ってくれずに鋭い眼光を向けられた。
「琉球の者でないこんなやつに
「
「そうだね。僕が悪かった。シバさん、
「シバさん、
「気にしていないので大丈夫ですよ。俺自身も自分が
「共に戦えば、そんなことを考えもしないのですけどね。まあ、お互い若輩者どうしってことで、
それから
そして、すれ違うように琉美が帰ってきた。
「ただいま。今のって
「うん。
「そうだったんだね……」
琉美の表情がいつもと違って強張っている感じがした。
「琉美? 顔色悪いけど、カマドおばーのところで何かあったのか?」
「ねえシバ……私の事どう思っている?」
……なんだこの質問は? なんて答えるのが正解なのかわからないぞ!
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