第23話 反撃 通信機

ヒューン 

風を斬る音がした


上体を横にねじ曲げて さっと 最初の一撃をかわす


俺はすばやく レーヴに「借りるぞ!」言いいながら

彼レーヴ 腰のベルトから通信装置を引き抜く!


身長差もあり 最初はまず 敵の腹めがけて

突き出すように 通信装置を奴の腹に打ち込む!


ドゴッ! 「げふ!」奴の声

うめきながら


身体をくの字に折り曲げた敵の頭に 今度は同じく通信装置で

思いきり殴りつけた!


「レーヴ 大丈夫か?」俺は手を差し出して 彼の腕を引っ張り

助け起こす


「有難うファリ」


「こっちこそ 助かった・・ああ、それから

・・・すまん・・」

俺は通信機をレーヴに差し出す


「え・・?」

今にも泣き出しそうなレーヴの顔・・

「・・・・」

「ええっと・・すまん」

そのレーヴの顔を見ながら そんなに大事な貴重な物だったのかと

思った


レーヴが微笑む 淡い金の色の髪がふわふわと風にゆれてる

レーヴは俺を抱きしめた

「大丈夫・・それよか有難うファリ」


「お・おい!抱きつくな! レーヴ こら!」


抱き着かれるなら 愛らしい妹のリリーシュか  

綺麗な少女のようなナギ・ナジュアリがいいと・・


「リリーシュちゃんかナギの方が良かった?」くすくすっ笑いながらレーヴ



それから

縄で 敵の奴らを縛り付ける


「俺達が逃げるまで 時間稼ぎをしておかないと

他の奴らまで きたらまずいからな」


「そっちは?レーヴ?」

「出来たよ!」


「よし!出来た 行こうか!」

レーヴと二人で奴らを縛り上げる


心中・・こんな手間ひまを かけるより

本当はとどめを刺しておいた方が楽かな・・なんて思ってもみたが・・


何より こんな酷い事をする連中で


12年前に 俺の母親や祖父達も

彼等のような連中に 殺されたのだから


でも、何より

あのレーヴに 奴らの返り血で

血まみれの俺を見られたくはなかったし


「ん? どうしたのファリ? じっとこっちを見て?」

のんびり のほほんとした 無邪気な顔でレーヴは

こっちを見てる


「・・ああ いや なんでもない・・。」

俺は まだ幼く 祖父や母の事

二人の事はよく覚えてない


あの時の母が攫われ 泣き叫ぶ姿は焼き付いてるのだが


親父殿は 時折 酒を飲みながら

二人の事を 思い出しては 涙を浮かべていた


祖母アリアも祖母のせいではないのに

自分を責めていた


そう、奴ら・・それから 奴らに 生贄の儀式をしてまで 

水を欲しがる環境にした


この苛酷な環境・・


強いて言うなら

伝承の中の砂漠の魔人のせいなのだ


もっとも それらは俺達 人間の言い分なのであろうが・・

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