第86話冬馬君と清水さんはのんびり過ごす

 文化祭の準備も順調に進んでいく中……。


 季節も変わり、少しずつ肌寒くなってきた……。


 そう……いよいよ11月に入ったのである。


 ということは……。


「もう、三ヶ月になるのか……」


「そうだね……あっという間だったなぁ……」


 休日の日曜日、俺たちは公園のベンチに座りまったりしている。

 付き合ってから三ヶ月記念日という名目ではあったのだが……。


「俺……記念日とかよくわからないだが、こんなので良かったのか?」


「うん!私も、そんなに何ヶ月記念日とかは気にしないから。1周年記念日とかはしたいとは思うけど……」


「そっか……」


「あれ?も、もしかして……考えてくれてた……?」


「いや……まあ、一応は」


 本を買いまくり、デートプランを立ててはいた。

 綾に何がしたい?と聞いて、何が返ってきても良いように。

 そして綾に聞いたところ……『公園とかでのんびりしたいです』と……。

 いや、まあ、良いんですけどね。


「ご、こめんね!」


「いや、聞くのも野蛮だと思って聞かなかった俺が悪いさ。それに綾が喜んでくれるなら、俺はそれで良い」


「冬馬君……えへへ……」


「それと……ネックレスしてくれてるんだな……」


「え?う、うん……いつ付けて良いかわからなかったけど……最近はアレだったじゃない?だから、今日かなって思って……」


「うん、よく似合ってる」


「あ、ありがとぅ……ふふ、良いね。こういう時間……」


「まあ、そうだな。体育祭だったり、森川の問題とかあったからなぁ。ようやく、静かに過ごせそうだな」


「あ、あの!膝枕はいかがですか……?」


「で、では遠慮なく……」


 ミニスカートである、綾の生脚に頭を乗せる。

 相変わらず……素晴らしい感触だな。


「髪……伸びてきたね?」


 綾の手が、優しく俺の髪を撫でる……。


「ん?ああ、そうだな。あれからも1ヶ月経ったか……あぁー……綾的にはどうなんだ?このまま伸ばすか、それとも……」


「う〜ん……迷います……どんな冬馬君もかっこいいけど……短髪はイヤかも?」


「なんか理由があるのか?」


「え?え、えっと……こうやって撫でられないから……」


「なるほど、それはたしかに。じゃあ、まだ切らなくて良いか」


「冬馬君は、どんな髪型が好きかな……?」


「綾ならなんでも似合うと思うが……長い方が好きだな。ただ、麻里奈が言っていたが……結構大変なんだよな?」


「うーん、まあ……乾かしたりするのは時間かかるし、パサつきやすくなったりはするかなぁ」


「綾が短くしたいなら、構わないからな?どんな綾だろうと可愛いさ。たとえ、坊主頭でもな」


「ププッ!しないから!今、想像しちゃった……でも……ありがとう。ただ、このままでいいかな。一応自慢の髪だし……肩辺りまで切ったら、ここまで伸ばすの1年はかかっちゃうしね」


「そうか……今年は、もう何も起きないでほしいものだな……」


「ふふ、そうだね。楽しいことだったら起きてもいいけど」


「それならいいな。ていうか、脚寒くないか?……もしかして、俺のためか?」


「う、うん……冬馬君が脚綺麗だって言うから。それに膝枕なら生脚かなって……」


「そ、そうか……ありがとな。ただ、無理だけはしないでくれよ?ジーンズはジーンズで似合ってるし」


「うん!嬉しい!……あっ、そういえば……」


「ん?なにかあったのか?」


「愛子がね〜浜中君とデートしたって!」


「おおっ!聞いてないぞ!いつだ!?」


「昨日だって。ふふ、浜中君がガチガチに緊張してたって」


「そりゃ、そうだろ。好きな子とデートするんだからな」


 ……そっか。

 剛真、誘ったんだな。

 勇気がいったろうに……よし!明日辺り道場に顔だしてみるか!

 からかいついでに……。


「と、冬馬君も……そうだったの……?」


「うん?……まあ、そうだな。ガチガチだったよ、震えてな。前の日は寝れないし、何着て行こうとか迷うし」


「……えへへ〜、一緒だぁ……嬉しい。私も、そうだったんだよ……?何着てこうか、最後まで決まんなくて……あれ!?なんで笑ってるの!?」


「ククク……ハハ!すまんすまん!」


「むぅ……何故ですか……今のは良い空気になるところじゃないのですか……」


「はい?」


「う、ううん!でも、なんで?」


「あぁー……まあ、アレだ。初めてのデートで迎えにいった時……その、外まで丸聞こえだったんだよ」


「ふえっ?どういうこと?」


「綾が、服が決まんないよー!とか、可愛いって思われたいもん!とか……」


「………えぇーー!?は、恥ずかしぃ……!」


「まあ、俺はお陰で緊張解れたけどな。何より、そのセリフが可愛すぎてな。俺は悶えてしまったよ」


「はぅ……も、もう〜」


 綾は両手で顔を押さえ、照れている……。

 ……うん、もう我慢ならん。


 俺は起き上がりながら、周囲を見回す。

 よし、今なら人がいない。


 綾の両手を、同じく両手で掴み、隠された綾の顔を見る。


「あっ……やぁ……見ないで……」


「断る」


「イ、イジワル……」


 俺はそのまま綾にキスをする……。


「んっ……」


 どうして、キスってこんなに甘いのだろうか?

 何回しても、したりなほどに気持ちいいし。

 ただ流石に外なので、フレンチキスで終わりにしておく。


「あぅぅ……!な、なんか逆にヤラシイ……と、冬馬君、段々と上手になってるし……」


「そりゃ、そうだろ。可愛い彼女に気持ちいいと思って欲しいしな」


「むぅ……私も頑張らなきゃ……!」


「まあ、気にしなくても……ハァァーー」


「ど、どうしたの?」


「いやー……俺って、静かに過ごせない運命なのかね?ていうか、こっち来るし。何考えてんだ?」


「え?え?……あれって、名倉先生と……加奈……?え?なんで?どうして?」


 綾は大混乱の様子だ。

 ……まあ、そうなるわな。

 何故なら、その2人が並んでこちらに来ているからだ。


 ハァァーー……俺の平穏な日々はいつ来るのでしょうか?


 だれか、教えてくれませんかね……。

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