第15話 横から見てる奴の気持ちも考えろよ



「「…………」」


 素通りしようとすると悲しそうな表情が二つ並んだ。


 そんな顔するなよ。自業自得だろ。

 放っておくからな。


 不満そうな顔になった幼馴染(馬鹿)が「ヨルンから、俺達は悪くないって説明しといてくれよ」と言う。


 幼馴染(お嬢様)の方も「私達はぜんぜん悪い事なんてしてないわ」との事。


 判断ミスはしたけど、お前らが悪くないってことくらいは分かってる。


 けどな。


 社会に出たら、真正面からぶつかって解決できることの方が少ないんだぞ。


 それに。


 たまにはこうやって理不尽な目に合う事も必要だ。


 だってこいつら、放っておいたら際限なくこういう事しでかす。

 デメリットについてきっちり誰かが教えてやらないと、いつか身を滅ぼすぞ。


 そうなった時に後悔していては遅い。


 世の中、僕みたいな良い奴ばっかじゃないんだから。


「そんな調子で考えなしに首突っ込んでたら、命がいくつあっても足りないだろ。誰かを助けてやったって、そいつが恩にきてくれるかどうか分からないんだぞ」


 けど、そこまで聞いたお嬢様が正論を述べてくる。


「恩を返してくれるとか、返してくれないとかそういう問題じゃないわよ。喧嘩をしてたら止める。誰かが怪我してたら助ける。それが普通でしょ? 見て見ぬふりなんてしてたくない」


 僕だってそれが正しいって事くらいわかってる。

 そうするのがまっとうな人間の行いだって事くらい。


 けど、どんな調子であちこち首を突っ込んでたら、絶対いつか痛い目に合うに決まってるんだ。


 そうなった時、周りの人間はどう思う?

 絶対、後悔するに決まってるだろ。


 心配するだろ。


 なんでこうなる前に止めてやらなかったんだってそう思うの、僕は嫌だからな。


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