第70話 やっちまったPart2

「師匠ー。お風呂沸いたよ」

「おー。早速入るか。」

 ちょっと待て。

「なんでトウカまで服を脱ぐ」

「えっ、一緒に入るからだよ。背中流してあげるね」

「いらん」

「えー。だってライカが言ってたよ。弟子は師匠の背を流さないといけないって。ライカがいない時はきちんと私がする様にって」

 いや、まあ、それは俺があいつの小さな頃に教えたことなんだけど。それは弟子が同性の場合であってだな。

「ほら、入って入って」

 こら、押すんじゃない。


 半ば押し切られる形で風呂の中に入れられた訳だが、何だこの風呂は。光っているぞ。

「ほら、早くここに座ってよ。洗えないよ」

「お、おう。すまんな」

「いえいえ、これも弟子の務めですから」


 そうして、俺の背中をトウカが流してくれることになったのだが……。

「おい、どうして胸を押し付けてくる」

「えっ、男性を洗う時ってこうやっておっぱいで洗うんでしょ。こっちでは違うの?」

 なんだその文化は。トウカのいた異世界っていうのは何という羨まけしからん事をしているんだ。

「こっちでは布を使ってゴシゴシと背中を擦るんだ」

「ほえー。そうなんだ。でもこっちの方が気持ちいいでしょ」

 はい。気持ちええです。

「こっちも元気いっぱいみたいだし」

 止めろ。そこは触るんじゃない。駄目だって。

 いやーーーーー。



「トウカ、すまん。自分が抑えられなかった。師として恥ずかしい限りだ」

 俺の横には裸でぐったりとしたトウカが横になっていた。

「なんで謝るの? 私が望んでたんだから。そりゃ最初は痛かったけど、2回目からは最高でした。ねえ、もっかいしよ。そしたらノーカンね」

 やっちまったー。我慢できんかったー。

 でも、仕方無くないか。半年間何もして無かったんだ。もう限界だったんだよー。そんな時に求められたら、断れんて。


 外が明るくなってきた。もう朝かよ。結局またベッドで寝ることは叶わずという事か。

 結局朝までしてしまった。俺の馬鹿。

 生物は死の危機を感じると子孫を残すために性的欲求が強くなるらしいが、昨日のはまさにそれなのか。

「ねえ、ねえ、師匠。エッチって想像よりもずっと気持ちよかった。またしてね」 

 俺は無言を貫いた。だが、次も断れる気がしない。結局、俺はいつもこんな感じだ。嫌々始めても、好きだから最後までいってしまう。駄目な男だな。せめて責任くらいは取らんとな。

「トウカ、国に戻ったら俺の嫁になってくれるか」

「いっぱいエッチしてくれるならいいよ。どうせすることも無いし。ライカ達とバトルの楽しいし。子供産んでみたいし。やっと言ってくれた。私だけ除け者にされて寂しかったんだから」

 うーん。五人目か。俺もつかな? 俺もう40超えてるんだけど……。でもアイシャ以外、皆20代だからな。元気すぎなんだよな。

 まあ、なるようになるか。後で考えよう。


「腹減ったなぁ」

「師匠、お腹すいたの? だったら言ってくれればよかったのに。じゃあ、行きましょ」

 そう言って、外に出ようとするトウカ。

「おい。服」

「あっ、忘れてた」

 ここにも裸族がいたぞ。

 

「どうやって出るんだ?」

「本当ならお金を払う必要があるんだけど、持ってないからね。ぶち破るしかないかな」

「それだったらお前の得意技だな」

「師匠もでしょ。私のは師匠に教わっただけよ」

 いや、最初から割と脳筋だったぞ。


 カチャ。

「あれ、今、鍵開かなかった?」

 開いたな。まるで俺たちの行動を見られているかの様に抜群のタイミングで鍵が開いた。

「誰かさんは壊されたら困る様だな」

「誰かに監視されてるっとこと?」

 悪趣味な奴だ。まあ、覗かれるのには慣れてるからな。全く気にならんぞ。


「まあ、良いじゃないか。ただで良いってことだろ」

「そうね。じゃあ、師匠。ご飯を食べに行こう」

「何処に行くんだ?」

「折角こっちの世界にいるんだったら『寿司』が食べたくて」

「スシって言うのはシャリっていう米の塊の上に生魚の切り身がのっている奴だよな」

「師匠、よく知ってんね」

「ああ、俺の国にスシ屋があるからな」

 レイ君が頑張って作ってたからな。何でスシが態々回っているのかさっぱり理解できないが、レイ君曰く、『回っていない寿司は只の寿司だ』って意味の分からんことを言っていた。

「寿司屋があんの? 何で? あっ、桜か! うーん。どうしよう。こっちでしか食べられない物ってなんだろ?」

 トウカが悩みだしてしまった。腹が減ってるから正直、何でもいいんだけど。

「決めた。マックにしよう」

 どうやらお店が決まった様なので、一安心だ。さっさと食って。この意味不明な所を調べて、皆の所に帰らないといけない。

 一日でも早く戻れるように気合を入れなければな。

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