第9話:ゴードン侯爵家
数日に渡る喧々諤々の交渉を重ね、両親にも話を通してやっと爵位を手に入れた。
ラゼル公爵家が持っていたラゼル伯爵位を侯爵位に陞爵させるのだが、すでにラゼル侯爵という爵位名があるので、ゴードン侯爵に爵位名を変更したのだ。
当然だが王家に対しては侯爵に相応しい従軍義務を負うことになる。
しかもゴードン侯爵家はラゼル公爵家の従属爵位というよりは、俺個人の爵位となるので、両親を説得しなければいけなかった。
「父上、母上、ラゼル伯爵位に代わる爵位を手に入れますので、お許し願います」
両親を説得するには、ラゼル伯爵位に匹敵する新たな爵位を手に入れる必要があったので、宝石売買で手に入れた富を王妃と国王に与える必要があった。
王妃の独断では、ラゼル伯爵位をゴードン侯爵位に陞爵させるのは難しい。
多くの人間を巻き込んで、原石の献上でラゼル伯爵位はゴードン侯爵位となった。
更に三百人の兵士を三年間養えるだけの献金を四家分する事で、ヘプバーン男爵位・スコット男爵位、ポルワース男爵位・ロロ男爵位を手に入れた。
「リアナ、私は新しい開拓村を築くことになった。
リアナにも手伝ってもらいたのだが、どうだろうか」
「喜んで手伝わせていただきます、兄上様」
王都で聖女と称えられているリアナだが、もっと聖女の評判を買った方がいい。
今の状態では、王都でだけ聖女の名声を得ているだけだ。
できる事なら、国中の民から聖女として称えられるようにしたい。
その為に、ヘプバーン男爵家・スコット男爵家・ポルワース男爵家・ロロ男爵家の領地は、マライーニ王国の四方にある未開地になるように交渉したのだ。
そこを開拓するための移民は、王都の貧民から希望者を募るだけでなく、四方にある王家直轄領はもとより、貴族領からも募集する。
「そうか、それは助かるよ、リアナの回復魔法はケガや病気を癒すことができるから、開拓民の助けになるよ」
「はい、兄上様」
リアナは本当に優しい子だ。
俺の情操教育がなくても、きっと優しい子の育っていたはずだ。
ゲームでは悪意に満ちた取り上げられ方をしていたが、それは罠に嵌めるための歪んだ視点からの一方的な見方だ。
俺が弱い立場の者達を救うために治癒魔法を覚えた方がいいと言ったら、直ぐに覚えてくれたのだから。
リアナを救うためなら、俺はどんなことだってやる。
「ラゼル公爵家の従属爵位」
前:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ラゼル子爵
後:ラゼル侯爵・ラゼル子爵・ヘプバーン男爵・スコット男爵
「キャメロン所有の爵位」
ゴードン侯爵・ポルワース男爵・ロロ男爵
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