年齢

勝利だギューちゃん

第1話

時の流れの感じ方は、歳により変わる。


同じ10年でも、違うのだ。

15歳の人にとっての、10年前は5歳。


とてつもなく、長い時間。


80歳の人にとっての、10年前は70歳。

たいした差はない。


わしも、もうその80歳。

人生100年としたら、まだ20年もある。


もう一度、子供の頃の夢を追いかけてみようか?

そう思い、公園のベンチに腰掛ける。


近くでは、スケッチをしている人もいる。


「いつごろから、ペンを握らなくなったかな」

手をみる。


若いころは、この手から多くの絵を描いたものだ。

でも、わしなんぞがプロになれるはずもなく、早々に筆を折ってしまう。


情けない限りでだ。


「それで、いいのか?」

声をするほうに顔を向ける。


子供がいた。


「お前は、絵を描くのが好きだったんだろ?」

「過去形だよ」

「本当にそうか?現在完了形ではないのか?」


子供が、微笑む。


「何かを始めるのに歳は、関係ない。お前の持論だったろ?」

子供の目は真剣だ。


「もう一度、歩いてみろよ。今は、大きな支えがあるだろう?」

しばらく間を置き、答える。


「その通りだよな」

「ああ。ゴールテープを切るまでは、前を向いて進もう。俺も、あんたを見習うよ」


忘れていたことを思い出した。


わしはベンチから、腰をあげる。


思い出してみよう。

あの頃を・・・


心は歳を取らないのだ。

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年齢 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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