第21話 しぃ〜ってしたいよね

 未咲「うぅ……トイレといれ……」


 近くのトイレを探しているとき、仲よさそうなふたりを発見。


 ロコ「あぁぁっ、どうしよううみちゃん……おしっこ、おしっこしたいよぉっ……」

 うみ「ちょっ、待て待て! あたしが責任持ってトイレまで連れてくから、もうちょっと我慢……」

 ロコ「むりだよぉっ! ここでしゃがんでしちゃだめ……?」

 うみ「それはだめだろ……! あぁもう、どうすりゃいいんだ?!」


 もじもじぷるぷるしているロコちゃんにときめいて、気づけばわたしは釘付けに。


 ロコ「いまここでできたら、すっごく楽になれるのに……」

 うみ「それでもだめだ! 頼むから歩いてくれ、ロコ……!」

 ロコ「だめ……もう、げんかい……」


 ちょこんと腰を下ろして開放態勢。涙が浮かぶ。


 ロコ「ごめんね、うみちゃん……!」


 冷静な判断ができないうちに、下着を履いたまま決壊。普通の人なら見ていられないけれど、わたしたちは違う。


 うみ「相変わらずすげぇよな、ロコのおしっこって……」

 未咲「そうだね……」

 うみ「のわぁっ! いつからいたんだよ、未咲?!」

 未咲「えっへへ、じつはわたしも我慢してて……」


 ぴらっとめくって、ロコちゃんの前に腰を下ろす。


 未咲「わたしもしていいかな?」

 ロコ「えっ……未咲ちゃん……」

 未咲「最近めっきり冷えてほんと困るよね。ほら、わたしもおもらし多いほうだから……」

 ロコ「でも、未咲ちゃんまでおもらししなくても……」

 未咲「いいのいいの。一緒に気持ちよくなろ?」

 ロコ「でも……」


 しゅぅぅ〜〜っと漏れ出す音に恥ずかしくなったのか、身を縮こませるロコちゃん。


 未咲「もっと出していいんだよ?」

 ロコ「やっ、見ないで、聞かないで……」


 さらに大きくなったような気がした。


 未咲「わたしも出そうかな……」


 ロコちゃんより勢いを感じるそれが、パンツを貫通して地面に落ちていく。


 ロコ「ほんとにしちゃってる……」

 未咲「えへへっ、わたしたち、すっかりだめになっちゃったね……」


 なんとも思ってなさそうな笑い。未咲ちゃんみたいには振る舞えないよ……。


 ロコ「ねぇ、これで最後にしよう……?」

 未咲「ん? 何が?」

 ロコ「外でおしっこするの。わたし、最近ぜんぜん前向いて歩けなくて……」


 例の一件があったからだろうか。


 未咲「そっか。じゃ、わたしもやめるね」

 ロコ「えっ……そんなあっさりと……」

 未咲「もちろん、どうしても我慢できなくなったときは別だよ。あと、気まぐれにしたくなったときとか」

 ロコ「それ、やめたっていうのかなぁ……」

 未咲「しちゃだめってわかってるんだけど、それでもしたくなるときとかってロコちゃんにはない?」

 ロコ「ない、こともないかも……」


 なんと、ロコちゃんにもそんな気持ちがあったなんて。


 ロコ「これまではちゃんと抑えこめてたんだけど、最近おかしくなっちゃって……」


 そこで泣きだしてしまった。


 未咲「そっか、そっか。自分でもわかんなくなっちゃってるんだね」


 とりあえず、同情を示しておく。


 未咲「したいよね、しぃ〜って。でもやっぱり街の人に迷惑がかかるから、やめたほうがいいかも」

 ロコ「未咲ちゃんは、いつもどうやってその気持ちを抑えてるの……?」

 未咲「う〜ん……気合、かな?」

 ロコ「ぷっ……なにそれ……!」


 なぜかはよくわからないけれど、これがロコちゃんにすっかりはまったらしい。


 未咲「あっ、まだ残ってた」

 ロコ「だめっ未咲ちゃんっ……あははっ!」


 これまでになく気持ちよさそうに、最後まで出しきった。


 ロコ「はぁぁ〜っ……なんか、すっきりしたかも……」

 未咲「よかったね、ロコちゃん」

 うみ「こんなところ見せられたら、あたしまでしたくなっちまうぜ……」


 震えあがりながら、トイレがあると思われる方向に足を進めるうみちゃん。


 ロコ「あっ、トイレそっちにあったんだ……」

 未咲「あーっ! もしかしてうみちゃん、わたしたちにわざとおもらししてほしくて、わざと教えなかったんじゃ……」

 うみ「ちっげーよ、いま思い出したんだ!」


 笑うふたり。バカにしやがって……。


 うみ「あたしはお前らと違って、そんなところではしないんだからな!」


 捨て台詞を吐いて、足早に向かっていった。


 未咲「あそこまで言う必要はないよね〜♡」

 ロコ「ね〜♡」


 謎の結束が生まれていた。

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