第22話 三人で狩
取り敢えず俺は咲ちゃんに協力をする事にして、彩の車の中で絶賛質問攻めにあっている。
肉球でスマホ操作するのが大変だよマジで。
下に置いた状態じゃないと使えないしね。
「それでTB。スマホをさっき取り出したのはどうやったの?」
『これは異次元ボックスって言うスキルで、よくあるラノベのアイテムボックスのもう少し高機能版だね』
「それも魔物から手に入れたスキルなの?」
『うん』
「それって普通にスキルオーブから?」
『違うんだけど、これを手に入れる為には、人間辞めなければいけない条件だから、彩たちには無理だね』
「そうなんだ。他にもスキル持ってるんでしょ?」
『うん。でもそれは秘密』
「まぁ今は良いよ」
『彩ってスキルは何だったの?』
「私は火魔法だね」
『いいね。レベルは?』
「まだ1だよ」
『出来るだけ回数使って早くレベル上げなきゃ。2になるときっと武器に纏わせて使えるようになるから』
「本当に? 凄いね。私MP15しか無いから五回で使えなくなるんだよね」
『そうなんだ。でも十五分待てば満タンになるでしょ?』
「うん」
『恐らく二百回くらい使えばLV2になると思うから、とにかく回数が大事だよ』
「解ったわ。頑張るね。早速ダンジョン行く?」
そう彩が言うと咲ちゃんが「私、今武器が無いんです。刀折れちゃって」と言い出した。
「彩さんと会った時は、麗奈とD.Aに武器を探しに行った時なんですよ。これから先を考えるとダンジョン鋼の刀じゃないと厳しいと思って」
「そうだったんだ。でもね咲ちゃん。ダンジョン鋼の武器はダガーで200万円、刀だと1000万円くらいの値段がするみたいだよ。自衛隊は国が負担してくれるけど、流石に武器を民間の人に渡すわけにはいかないし」
「そんなにするんですね。どうしよう」
そこで俺は助け船を出す事にした。
『咲ちゃん。折れた刀は持ってる?』
「うん、ホテルの部屋に置いてあるよ」
『それを見せて貰えるかな?』
そう伝えて彩の車で咲の宿泊してるホテルまで行くと、リュックの中に入って部屋まで連れて行ってもらった。
咲ちゃんの折れた刀を俺の異次元ボックスの中に放り込むと、折れた刀とダンジョン鋼を合成してみた。
俺は、スマホで出来た刀をカメラに写し、ジャッジボタンを押す。
『ダンジョンスチールソード。魔法やスキルとの融和性が高く、折れにくい』
まぁ成功だな。
『咲ちゃんこれ使って』
「え? もしかしてダンジョン鋼の刀なの? TBが作ってくれたの?」
『うん。異次元ボックスで合成が出来るんだけど。必ず成功する訳じゃないから、あまり期待はしないでね』
実は、昨日の夜結構な回数合成に挑戦して、失敗した場合は素材が無くなってしまうと言う事が解ってた。
まぁ今回はダメ元と思って挑戦したから、成功して良かったよ。
「武器が手に入ったなら早速ダンジョンに潜る? パーティ機能とか実験したいし」
「はい。私も行ってみたいです」
「俺も行きたい」って言葉で言ったら当然「ニャンニャニャン」としか聞こえなかったが、意味は通じたみたいだから別にいいや。
俺はステータスカード見せたくなかったから、二人のカードを俺のカードに重ねて『パーティクリエイト』って念じてみた。
一瞬重ねたカードが光り、それぞれのカードにIDが表示された。
俺のカードIDは00000000001
彩ちゃんは00000000002
咲ちゃんは00000000315
だった。
恐らくこれは取得順だと思う。
PT00000000001、00000000002、00000000315と裏面に表示されてた。
何人まで組めるのかな?
まぁ今は国内に、3人しかスキル所持者居ないし調べようがないけどね。
この辺りも偽装とか見えなく出来るようになればいいのにな。
『俺は狩りをすると魔物のコアを飲み込む必要があるから飲み込んじゃうけど、絶対に人に漏らさないでね。マジで人間じゃなくなる可能性が高いから』
「そこにTBの秘密があるのね?」
「解った内緒にするよ」
◇◆◇◆
偶然と言うのは恐ろしい現象を引き起こす事がある。
この日、海外のダンジョンで偶然の事故により、スライムの魔核を飲み込んでしまった
しかし彼はスキルを覚えるのではなく、スライムへと変異してしまい、他のシーカーによって殺されてしまった。
TB=進が何故この変異をせずに、TBの身体を保ったままだったのかは謎だが、もしかして霊体である進に身体を支配されたTBが、アンデットモンスターとみなされて変異が起こらなかったのかもしれない。
しかし、人間の心を持ちモンスターとの融合を行える唯一の存在TBがこの世界の英雄となる日は近い……かもしれない……知らんけど!
何はともあれTBが『コアを飲み込めばスキル覚えるよ!』なんてことを気軽に口に出さなかったのは、彩と咲にとっては助かったとしか言えない。
◇◆◇◆
俺達は六層まで降りてきて狩りを始めた。
当然、俺と彩が一緒だったから五層をくぐる際に中ボスは出現しなかった。
彩のカーボンポールにダンジョン鋼のダガーを取り付けた武器は、槍と言うよりも薙刀に近いな。
通常の薙刀だと刺突武器としては、威力が不足するのでこの形状はダンジョンで使う武器としては優れてるのかもな? と思った。
『特殊構造体攻略班』としても通常弾丸でほぼ効果が無くなる六層では、基本ダンジョン鋼の物理攻撃武器の使用を推奨されるようになる。
そして俺は、ダガーに風魔法を纏い、六層を縦横無尽に駆け抜けて見せた。
このエンチャントウインドブレードでは、強く意識する事で現状で刃渡りの倍ほどの斬撃効果を生み出す。
二十五センチメートル程の刃渡りのダガーだったから、五十㎝幅の物なら斬り落とせる感じである。
六層のレッドウルフであっても敵ではない。
「TB凄いね。めっちゃ強いじゃん」
「本当だね、進の頃より全然頼りになるね」
そう言いながら、彩と咲も六層の敵を相手に結構な効率で倒してくれている。
でも、一撃と言う訳にはいかないから、これはステータスの差があるのかな?
俺は取り敢えず彩と咲は大丈夫そうなので、コア周辺を切り裂く倒し方で、どんどんとコアを回収して飲み込んでいた。
夕方近くになって、ウルフコアを飲み込んだ時にそれは告げられた。
『ウルフコア三百個と融合【隠密LV1】を獲得しました』
やはり間違いないな。
スキルも狙い通りのスキルで良かったよ。
これだと恐らくアルミラージは四百個。
ポイズンラットは五百個で次のスキルに届きそうだ。
俺は今日の目標も到達したので、彩と咲のもとへと行き「ニャア」って鳴いた。
「そろそろ帰る?」
彩の言葉に頷く。
三人で階段を上りながら咲ちゃんが何気なく言った一言で新たな発見をする事になる。
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