第一章 龍は旅をする

第1話 見知らぬ場所


「ここは何処だ...一体何が...」


彼はふと地面に視点を向けた…

無線機が落ちているではないか。


自分のポーチに目を向けるが無線機は持って

いる...落とした訳では無さそうだ。

落ちていた無線機を取り、周波数を合わせて無線を点けた...


「こちらアルカード平原西駐屯地指揮官、

ドラグノル・ハルマー、応答願う...」


...ザザッ ザザザッ


「こちらドラグノル・ハルマー、誰か居ない

のか?」


...ザザザッ ザザッ


…応答...無しか? 転移魔法でも使われて

電波が届かない場所に飛ばされたか...ん?


ふと遠くに見えた山で、考えは否定された...


…なんだ?あの火山は?


山頂から噴き出ている巨大な虹色の結晶で、

彼は確信した。


「これは...転移魔法でも来れないだろ...」


...彼は今の状況が普通では無いと悟った。


*



「さて...状況を整理しようか?」


…確か俺は戦っていたはず...何故戦っていた

のかは覚えていないが...


「戦い終わった後たしか俺は...うーん...?」


…えっとあれ?...俺はどうしたんだ?

うーん...思い出せない...まぁいいか...


「とりあえず身を守る物を確認しよう...

さて...今装備している物は...」ゴソゴソ...


…胸部にナイフがあるな...刃渡りは20cmある

普通のサバイバルナイフだ、マガジンポーチ

には何も入っていないようだが...


「ベルト部分のポーチには無線機とMREレーションがあるな...これだけ?」


周りを見てみるとバッグパックがあったが、

中身が散乱してしまっているようだ...


「まじかよ...かき集めるか...」


数十分後...


「こんなもんか?銃器や消耗品があったのは

有り難い、予備マガジンも大量にあるな...」


…銃はM9とガバメント、どちらもハンドガン

だが無いよりはマシだろう...


*



数分後...


銃の状態を見終えて彼は立ち上がる...


「...ここに居てもどうにもならないな...

開けた場所に着くまで移動しようかな?」


荷物を持ち、歩き出す彼は考え事をする...


「ここは一体なんなんだ?見えた火山から

するに...あの場所でも無いな?まぁでも...」


…あっちと縁を切るのに丁度いいかもなぁ...


───“グモモモモモ…


「ん?うぉ!?何だいきなり...」


背後からいきなり突進した何かを回避し、

姿を確認する。


…小さいな...何だこの青いの...

雑魚スライムでももう少し大きいぞ?


───“グモモモモモ…!


スライムらしきモンスターは、

こちらに向き直りまた突進してきた。


「攻撃してくるか...まぁ、向かってくるなら

狙いを外す事はないが...」


M9をホルスターから取り出し慎重に狙いを定める...


パァン!パパァン!


───“グモモモモモ!!


…まじで?三発撃ってもまだ倒せないのか...

だが先程よりかは動きが鈍くなっている。


「げ...またこっちに向かってくるぞ...」


…しかしこれで終わりだ!


パァン!パァン!...ピキピキ...パッカーン!


命中した直後、スライムらしきモンスターは粉々に弾け飛んだ。


「倒したか...9mmだとパワー不足か?」


弾け飛んだ残骸は、遠くに見えた火口から

噴き出でていた結晶に似ていた。


…弾数は二つ合わせて300発くらいか?


「結構...幸先悪いぞこれは...」


ARアサルトライフルでも落ちててくれよ...



*


一方その頃、彼に近づくもう1つの影があった...



ガサガサ...ガサガサ...ぴょん...


ピロピロピロピロ...


『無線を傍受、追跡を開始しまス』

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