第67話 遊び
放課後。
おじいちゃんの家に向かって歩いていると、背後から駆け寄る足音が聞こえ、胸の奥をキュンっと締め付ける。
歩きながら振り返ると、奏介が駆け寄り「待ってるって言ったのに、先に帰ってんじゃねぇよ」と軽く不貞腐れていた。
「す… すっかり忘れてた! ごめん!」
苦笑いを浮かべながら言うと、奏介は「これから暇?」と切り出してきた。
「今日はトレーニングもバイトもないけど…」
「じゃあ、遊びに行こうぜ。 着替えたら家に行くよ。 自宅の方な」
「遊びに? 奏介の家じゃなくて?」
私の言葉を聞くなり、奏介は耳元で「家の方がいい?」と、囁くように聞いてくる。
慌てて「外! 外がいい!!」と言うと、奏介はニコッと笑い「迎えに行くな」と言うと、勢いよく駆け出してしまった。
つられるように走っておじいちゃんの家に行き、急いで着替えた後に自宅にダッシュ。
『シャワー浴びたい』と思っても、そんな時間なんかなく、デオドラントシートで汗を拭い、ジーンズとVネックニットに着替えていた。
インターホンの音が聞こえ、1階に駆け降りると、父さんと奏介が玄関の前で話している。
父さんは奏介の話を聞くなり「ああ、あそこにあるのか! 俺も今度行くかな」と言った後、私に「結果教えろな」と言って来る。
「何の?」と聞いたんだけど、奏介に急かされ駅の方へ。
駅前にあるゲームセンターに行くと、反射神経ゲームがあり、奏介は「これで勝負しようぜ!」と切り出してきた。
いくつもあるボタンが青く光ったときに、次々に押していくだけのゲームなんだけど、次にどこが光るかわからず、反射神経を求められ、かなり難しい。
私は192点だったのに、奏介は241という高得点を叩き出し、私に対してどや顔をしていた。
「もう一回!!」
「上等~」
続く2戦目でも、私は203点だったのに対し、奏介は246という高得点を叩き出していた。
その後、パンチングマシーンをやったんだけど、奏介は256という記録を出していたのに、私はたったの21。
奏介はそれを見て「んな訳ないじゃん。 800はあるよ。 俺吹っ飛んだし」と言いながら笑っていた。
キックマシーンもやってみたんだけど、奏介は468だったのに対し、私は19。
奏介はそれを見て「ベルト返上する?」と、真顔で聞いてくるほど。
その後も、ゲームセンターで遊び、奏介に家まで送ってもらったんだけど、母さんは奏介を家に招き入れ、一緒に夕食を食べていた。
ゲームセンターで出た記録の事を言うと、父さんは「ちーのキック力が19? パンチが21? 壊れてんじゃないのか?」と声を上げていた。
話の途中でカズ兄が帰宅し、奏介はカズ兄の後ろに乗せてもらい、帰宅していた。
『なんだかんだで奢ってもらっちゃった… MVPもらったし、今度お礼しないとな…』
シャワーを浴びた後、奏介にお礼のラインをすると、奏介はすぐに返事を送ってくれた。
そのままラインで少し会話をしていたんだけど、胸の奥が優しく暖かくなっていくような感じがし、自然と顔が綻んでいた。
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