第18話 暗闇の中の光

 

 洞窟を歩いていると、徐々に明るくなっている。


 「もうすぐ、最深部かな〜。楽しみにしてなよアシエル」


 あぁ〜ビエルがとても笑顔だ。いつも痛い目にあってきたから僕はお尻に力をいえ、気を引き締める。


 不思議なことが起こっている、最深部に近づくにつれ奥から青い光が漏れているのが見えてくる。


 「さぁアシエル 。これが僕らハンターのご褒美だ」


 ビエルがそう言い、狭い通路を抜け明かりが漏れる広場に出るとそこには小さな宇宙があった。

 比喩でもなんでもない、暗闇に光る星々。そして空から滲み出てくる、青く光る謎の水。その水は、1滴ずつまっすぐ下に落ちていき小さく光る青の水たまりを作っていた。


 「こ、これは……」


 僕は生まれて初めて言葉を失った。こんなジメジメして暗くてモンスターがいる洞窟にこんなに美しい景色があるとは思ってもいなかった。


 「すごいだろ〜。この現象が起きる原因は、解明はされてはいないんだけど。学者さん達が言うには。モンスターの血や、遺体が少しずつこの大地に還元されていき、凝縮されできた土がこの景色を作っているんだとさ」


 「本当に綺麗です、こんな景色ここ数千年見たことない」


 「数千年?アハハ、何言ってるんだよアシエル 。まるで数千年も生きたような感想じゃないか」


 「へ?あ、いやそれぐらい綺麗ってことだよ!」


 危ない、あまりにも綺麗で危うく自分が人外だということを忘れていた。ビエルにネウスには絶対に言うなと口止めされていたんだ。


 「わかりますよらアシエル 殿。この景色は、ずっと見ていたいです。こんな醜い世界にも、こんなにも綺麗な世界もあるということですよ。だが、探そうとしなければ一生見る事はない、闇の中にある小さな光です。それはきっと、人間も一緒だと私は思っています。だからアシエル 殿。もし、闇に飲まれてしまっても、光を探すことを忘れてはいけませんぞ」


 「はい……」


 ネウスは、僕の心を見透かすような瞳で見てくる。きっとこの人は、僕に深く聞いてくる事はないだろう。でも、誰よりも理解してくれているような気がした。


 「ネウスはここにくると、毎回同じことを言うんだよね」


 「これ、ビエルよせっかくの雰囲気が台無しではないか」


 うん、きっと理解してくれているだろう……


 この後も僕たちは無言で星を眺めていた、この景色に心を奪われ……いや違うめんどくさいのだ。また、暗い洞窟をモンスターとも戦い、何時間もかけ戻るのが果てしなくめんどくさいのだ。だから「戻ろうか」このたった一言がみんな言えないでいる。


 「……」


 「……」


 「……」


 誰も話そうとしない。この状態がさらに1時間続き、ようやくビエルが口を開いた。


 「おい!もう良いだろ、早く戻るぞ!お腹も空いたし」


 「そうだな、ビエルが言うなら戻ろうか」


 「そうですな」


 「おい!僕を、戻るためのきっかけにするな!全く、だらけすぎているぞ!」


 「はぁ〜。魔法で、一瞬にして外に出れる魔法があればな……何回でもここにくるのに」


 「600年ほど昔ですが。過去に、使えたものはいたそうですよ。しかし、その時代の人間は魔法が使えず、伝承をすること無く今は伝説になっています」


 「そうだったんだ……」


 そう言えば、なんでこの時代の人間は魔法を使えるようになったんだろう。当たり前のように、みんな使っていたから気にならなかったけど……

 まぁそれは。戻ってから詳しく聞こうとしよう。とりあえずここから出ないと。

 僕たちは、この景色を目に焼き付け出ようとしたら1人の男が入ってきた。


 「お前ら、ここで何をしている。ここは、私の縄張りだぞ下等な人間が」

 

 ビエルは、すぐに弓を構え警戒している。


 「君は、一体何者だ?人間のようにも見えるけど」


 「人間だと、笑わせるなお前らみたいなこの星の害虫と一緒にするな 姿を表せモンストレイン


 な!この魔法は、まずい!


 「おい!みんなすぐに逃げるぞ!」


 「どうしたんだ君、そんなに焦って」


 「良いから、早くいくぞ!!炎弾フラマ・バレット


 ダメだ、ここじゃ明るすぎて目眩しにもならない。


 「天使の怒りエンジェル・フロレム



 男が魔法を唱えると、強い光とともに僕たちは一瞬で後方に飛ばされ、動くことができないほどのダメージを負ってしまった。ビエルは後頭部から血を流し、ネウスの足は向くはずがない方向に向いていた。


 「おいおい、これでお終いか?まだ全然、力を出していないのだが。弱い弱すぎるぞ人間どもが」


 男は、動くことのできない僕たちに、ゆっくりと近づき、背中の純白の羽を大きく広げた……


 

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