第19話 見放された人間達


 な、なんでこんなとこに天使がいるんだ。まずいビエルも目を覚さないし、ネウスは足を負傷している。

今戦えるのは、1人でランクDのモンスターに苦戦する僕だけ。なのに、天使はランクAのモンスターだ。


 「さぁ、動けるのはお前だけだぞ。どうする、仲間を見殺しにして生き延びるか。それともこいつらと一緒に死ぬか?」


 「なんで、天使が人間を襲っているんだ。お前たちは、人間の守護者だったはずだろ」


 「何を昔のことを、笑わせるな。都合の良い時に我々を求める人間を、何故守らなければいかんのだ。それに貴様ら人間が、この星を汚し破壊し逃げようとしたから、このような事になっているんだぞ。星をまるで道具のように扱い、自分たちのものだと言わんばかりに奪い合いをして、使えなくなれば捨てる。そんな貴様ら人間の守護だと?腐っても、そんなものになんてなりたくはない」


 「過ちを犯す前に、道を正すのも貴様らの仕事だろ。それともなんだ、そんな小さな事は報告するなとラグエル にでもでも言われたのか?」


 「お前、やけに詳しいじゃないか。我々の崇拝者だったのか?」


 「ふざけるな、誰がお前らなんか崇拝するか」


 「お前何か隠しているな?まぁ良い。お前だけは、動けない程度に痛めつけてやろう。そこの2人は殺していくがな」


 「やれるものならやってみろ、クソ天使が。 炎弾フラマ・バレット


 「ふむ、温かいな」


 嘘だろ、素手で防ぐなんて。僕が天使の時でも、あんなに強くなかったぞ。


 「なんだ?これでお終いなのか?」


 「うるさい! 雨音サナ・ブルビアム


 「おぉ、これは流石に当たると痛そうだな。 光壁ルークス・パリエス


 光壁ーールークス・パリエス  この魔法は天使が身を守る時に使いランクは1だ。


 天使が魔法を唱えると目の前に光がベールのように降りてくる。そして僕の放った魔法は光に飲み込まれるように消えていく。


 「な、嘘だろ……そんなのありかよ」


 「たかが下界の魔法なんぞ、我々天使からしたから子供のお遊戯だ。さぁわかっただろ、無駄な抵抗をするんじゃない。 光射キュア・ルクス


 天使の指先からでた光は、僕の両足の骨まで貫いていく。


 「ぐぁぁ。くそ、こんなお遊びみたいな魔法でも、こんなに威力があるのか。はぁ……はぁ……」


 「つまらんな。この程度の力で我々にたてつこうなど、やはり人間は頭の悪い生き物だ」


 ここまでか、もう動くこともできない。足から出てる血のせいで、意識が遠のきそうになる……


 「ビエルだけは……彼女だけは僕が守るんだ……」


 「醜い、なんて醜い生き物なんだ。動かぬ足をひきづり、その人間に覆いかぶさったところで、私の魔法はお前ごと貫くんだぞ」


 「黙れ、お前らに何がわかる。ただ人間を傍観し、助けることができるのに無視をし続け、神がいないからなんだ。だから、人間を見捨てても良い理由にはならないだろ。良いか、必ずお前らの世界は俺が壊してやる。たとえ、ここで死んでも必ず壊してやる」


「お前には聞きたいことがあったが、もう良い死ぬがいい。天使の怒りエンジェル・フロレム


 天使は、さっきよりも強い光を放ってきた。とてもじゃないけど逃げれる範囲じゃない……

 もう無理だ……


 「おいおい、ハンターが簡単に諦めんじゃねえよ。俺らの名前まで価値が下がるだろ 水壁ウォータームールス


 男が僕らの前に水の壁を作ると、光は四方八方に飛び散っている。


 「いいか相手は光だ。拡散してしまえば、こんな魔法ただ明るいだけの魔法だぞ」

 

 「まぁまぁフォルト、教育はいいけど後にしてくれるかな。目の前に天使がいるんだよ?」


 「うるさいぞ、リータス。この天使はハズレだろ下級天使だぞ。まぁいい逃げられる前にやるぞ」


 「はいはいわかったよ。 暴風竜の息吹プロケラ・ドラコ


 暴風竜の息吹ーープロケラ・ドラコ  この魔法は、対象に向け小さなかまいたちの風を無数に放つ。そして風の中に閉じ込めることができ、ランクは4だ。使用するにはかなりのエネルギーを使う。また、コントロールが難しく生半可なものが使えば、仲間も攻撃してしまう危険な魔法だ。

 

 杖を持った男が魔法を唱えると、風のない洞窟に嵐のような風が吹き荒れる。そして、杖を天使に向けると耳鳴りがするほど高い音と共に風が天使を襲い、竜巻のように周囲を囲んでいる。


 「グッ、やるじゃないか。私の体に傷をつける魔法とは」


 「おいおい、油断しすぎだぞ天使が 水竜の一撃アクアドラコ・イクト


 男は魔法を唱えると、竜巻の中に入り直接天使を切りつけた。


 「なんだそれは!そんな武器で私が傷つくとでも思ってグギャ」


 天使についた目に見えぬほどの小さな切り口から、体を引き裂きながら血の濁流が流れ出てきた。

 

 「グァァァなんだこの魔法は!!害虫どもがぁぁ……」


 天使は干からびた姿になり、立ったまま死んでいた。


 「あぁやだね〜言葉のワリー天使は神聖さにかけるぞ」


 「君、大丈夫かい。僕はリータス、あそこで血だらけになっているのがフォルトだよ」


 「はい、僕は大丈夫なので彼女たちを……」


 僕は安心したのか、そのまま意識を失ってしまった。





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