第17話 連携
洞窟を進んでいくと、火に照らされたモンスターの群れが影の中から出てきた。
「な、ビエル。こいつは一体なんだよ」
「こいつらは、闇にすまう住人グールだ。ライカンよりも賢く、闇に隠れて襲ってくるぞ。だから君が、彼らの隠れる場所を消してくれるかな。」
「なるほど、分かったよ!
僕は、グールがいた場所を広範囲に数発撃った。すると、炎の光に照らされたグールが、10匹ほど目を手で隠して出てきた。
「さっすがアシエル !
ビエルは、照らされたグール達に向け火の矢を10本放った。放たれた矢は、精確に1匹づつ頭部に刺さり一網打尽にした。
「ふ〜アシエル がいたから楽勝だったよ。ネウスと2人の時は、両方僕がやっていたからね」
「申し訳ない。見えないとこで素早いモンスターとなると、私が使う水の魔法は不向きでな」
「いえいえ!僕が活躍できる場所なので、任せてください!」
「ではお言葉に甘えて、頼みますぞ。何かあれば、私がサポートしますので安心して戦ってください」
「おい!私もいるからな!さ、早く進むぞ。さっきの光で、モンスターに集まられると厄介な事になるからな」
さらに洞窟を進んでいくと、開けた場所に出た。モンスターの姿もなく、とても静かだ。まるで何者かが待ち伏せをしているように……
「ん〜まずいね。何かに、見られている気がするよ。アシエル 武器を抜いておいた方がいいよ」
「やっぱりいるよね、僕もここは嫌な予感がするよ」
僕たちが警戒しながら歩いていると、後方から火の玉が飛んできた。火の光で一瞬、目が眩んでしまった。さっき僕たちが使った方法でやられるとは。
「
ネウスが、瞬時に僕たちを囲むように水の壁を作った。火の玉は水の壁に当たり、二つの魔法は消しとんだ。
「さっすがネウス、今のは少し危なかったね。きっとインプだな、彼らは潜むのが上手くて火の魔法を使ってくるよ」
「火の魔法か……なら僕が前衛に行きます。お2人はサポートお願いします」
「僕も、そう思ったところだよ。でも気をつけるんだよ、ランクはDだけどその中でも上位のモンスターだからね」
「はい!まずは……
僕は、左手の銃で周囲を照らしていく。
「見つけた!
ビエルは、隠れていたインプに向け火の矢を1本ずつ放っていくが、インプも火の玉で相殺していく。
「ありがとうビエル!
僕は右手の銃をインプに向け、5発の氷弾を撃った。しかし、インプの体は意外に小さく右足にしか当たらなかった。
「ごめんなさい、外しました!」
「いえ十分ですよ
ネウスは、動けなくなったインプを水の牢で閉じ込めた。インプも抵抗し、魔法を唱えようとしている。もちろん水の中で、火の魔法は発動することができなく、そのまま溺れ死んだ。
「さすがネウス〜。アシエル はもっと精度を上げないといけないな」
「いえ、アシエル殿の魔法があってこそですよ。そもそも、重火器の精度は反動があるせいで、良くはないですからね」
「だいぶ、慣れてはきたんだけどね、まだ小さい標的に対しては、上手くコントロールできないんだよ」
「ま、これから慣れていけばいいさ。それにここは暗いし、良いトレーニングになると思うよ」
「その通りですぞ。まだ1ヶ月も立っていないのに、ここまで使いこなせるアシエル 殿はよくやっていると思いますよ」
「ありがとう、僕もっと頑張るよ!」
「うん!それじゃ先に進もうか」
インプと闘ってから1時間ほど歩いているが、モンスターの気配がなくなり襲ってくる事はなかった。僕らを警戒して離れているのか、この奥にモンスターも近づくことができない何かがいるのか……
どちらにしても歩みを止める事はなく、さらに奥へ進んでいく。
「ぱったり、モンスター出てこなくなったね。なんか嫌な予感がするよ」
「ん〜どうだろう。インプ自体、この辺りでは強いモンスターだから。他のモンスターも、警戒して襲ってこないだけなんじゃないかな。こんなとこに、ケルベロスが入れるわけないしさ」
「そうですよアシエル 殿。それに、あまり気を張りつめていると精神的に疲れてしまい、いざとゆう時に力を出せませんぞ」
「確かにそれはよくないですね、少しリラックスします」
このまま、何もなければ良いと思ったが。世の中そんな甘くはない、そして、嫌な予感ほど当たる。そして僕は人間になり、始めて本当の恐怖を味わう事になる。
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