第12話 ハンター

 

「いくぞキマイラさん。雨音サナ・ブルビアム


 雨音ーーサナ・ブルビアム  銃のみ使用でき、水の弾を高速で撃つ魔法で、ランクは3だ。高速で撃ち続ける為使用者にもよるが、かなりのエネルギーを使うことになる。


 僕はキマイラさんに向け、何十発も撃ち続けた。高速で放たれた弾は徐々に細かく、雨粒の大きさになっていく。そして、高速で放たれた雨粒はキマイラさんを切り続けていく。まるで雨でも降っているかのような音を出しながら。

 僕が撃ち終わると雨音は止み、キマイラさんの足元には大量の血溜まりができていた。


 「な、なんてことでしょう……我が闘技場ナンバー1のキマイラが血だらけになり立ち尽くしています……こんなことが今まであったでしょうか……」


 騒がしかった、アナウンサーや観客たちも静まり返っていた。キマイラさんも効いたのか動く気配はなかった。でも、ここのルールは戦闘不能になるか、両手をあげ降参するかだ。だがキマイラさんはただ立っているだけで。戦闘不能になったわけではない。このままではただ静寂な時間が過ぎていくだけ……それなら立ち尽くしている今しかチャンスはない!


 「キマイラさん、申し訳ないけど戦闘不能になってもらうよ氷弾グラシス・バレット


 「ぐぁぁぁ!」


 キマイラさんは声を上げると同時に驚くほど綺麗に両手を上げ、頭を下げていた。


 「「「ルール理解しとるんかい!!」」」


 僕の心の声を代弁するように観客から一斉に声が上がった。

 

 「えぇ……キ、キマイラが降参したことにより!!ア……アシエル選手の勝利です!!」


 アナウンサーもアドリブになるとダメダメだな。まぁ、これでハンターになることが出来る。数年無敗のキマイラを倒したんだ、ランクが幾つになるか楽しみだ!

 こうして僕は、ヘトヘトになりながら闘技場を出ると例の大男とビエルたちがいた。


 「まさか倒しちまう奴がいるとはな、驚いたぞ。ビエルの紹介だったから心配していたが、とんだダークホースだったぜ」


 「な、なによそれ!君ひどいことゆうな〜。それよりもアシエル!君は本当にいつも驚かせてくれるな!僕は君が大好きだぞ!」


 「な、ちょっとそんな恥ずかしいこと、大きな声で言わないでくださいよ!これもビエルさんのスパルタのおかげですよ」


 「そうだよ、僕のおかげなのさ!まぁ、最初すぐに手をあげたときは降参したのかと思って、撃つとこだったけどね」


 「そんなわけないじゃないですか〜。かっこよく銃を抜こうとしていたんですよ」


 「お前らそんなこと後で話せ!アシエルと言ったな、まずはおめでとうお前もこれでハンターだ」


 大男から、ハンター証明書なるカードをもらった。特に変わったとこはないが、気になるのはここに書いてある、Eの文字。いやいや流石にこんなに褒められて、Eってことはないでしょ。


 「あの……ここに書いてある、Eの文字はなんですか?」


 「あぁ〜それか。実はな、お前が勝った事によって上の方々お怒りでな。もちろんお前はがんばった!だがな、属性を2つも持っている奴なんていなかったからな。上の方々はお前が、インチキをしていると思っているんだよ」 


 「な!それだけで僕はEランクなんですか!?技術もなにも関係ないじゃないですか!」


 「まぁ、お前が異質すぎるから仕方ない。認められるには功績を挙げるんだな。それじゃ俺は戻るぞ、もし何か困ったことがあればクストスに来い。俺の名前だがフォティアだ、それじゃあな」


 なにちょっと最後かっこつけて帰ってるんだよ。全然納得できてないんだよ、せっかく頑張ったのに……


 「まぁまぁ元気出して、クエストを受けて行けば少しずつランクも上がっていくからさ!何より僕たちも一緒にいるんだ、ランクなんか気にしないで楽しく行こうよ!」


 「うん、ありがとう」


 こうして僕はEランクのハンターになった。このハンター証があればほとんどの街に行くことが出来るそうだ。

また、ビエルが言っていたクエストはランクによって違いがあり、C〜Eは探索がメインになる。探索中に新たな発見や討伐をして、評価によってはランクが上がることがあるそうだ。ま、それも上の方々が決めているらしいけどね。

 

 

  

 「さぁ、アシエル殿がハンターになったお祝いをしなくてわな」


 「おぉそうだな、ネウス!なら僕がいいお店を知っているからそこでお祝いだな!」


 ビエルたちに祝ってもらい、久々に楽しい気持ちを思い出した。今でも彼女の死を思い出すが、今だけはそれも少し忘れることができた。だが、この幸せな日々は長く続かなかった。このたった2ヶ月後に僕はまたあの地獄を思い出す事になる……







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