第11話 死闘
アナウンスが終わると、扉がゆっくりと開いていく。
あぁ、なぜこんなことに……でもやるしかない。大丈夫だ、僕は天使アシエルだ!!キマイラがなんだ、ただライオンの顔に、蛇の尻尾がついているだけじゃないか。やってやる、やってやるぞ!!
扉が開き終わり、やる気に満ちた僕の目の前には、キマイラさんがいた。
いやいやいやいや、想像の5倍は大きいよ。てか、デカすぎるだろ!!足だけで、2メートルはあるぞ。あぁ、ケルベロスが可愛く見えてくる。誰がこんなもんに、1人で勝てるんだよ!
「さぁーー、両者向かい合いました!!両者やる気にみち、今すぐにでも対峙したいとウズウズしていますが、まずはルール説明です!」
いやいや、足が震えて今すぐにでも逃げ出したいよ。てか、あいつルール聞くわけないだろ。だって、モンスターだぞ!
あぁ、もう本当に嫌になるよ。
「ルールは至って簡単!どちらか、戦闘不能になるか、両手を上に上げ降参したら終了となります!!」
なに、言ってるんだよ。それは、こちらのルールであって、あちら様のルールではありません。
「さぁ!それでは、試合を開始します!!」
アナウンサーが、空に向け空包を打つとキマイラがこちらに向かい走ってきた。僕が思ってる以上に、従順だった。さぁ、僕のやることはただ一つ!!
僕は、両腕を必死に上に上げ降参をした。だって無理なんだもの、勝てるわけがないでしょ。アハハ、キマイラも、急ブレーキして止まっている。相変わらず、しっかり飼われているな。さぁ、こんな茶番はやめだ。
「おぉーーっと!アシエル選手、両手を上に上げ魔法を唱えようとしているぞ!!これにはキマイラも警戒しているぞ!!」
は!?あんたがルール守らないんかい!!ちょ、キマイラさんも、あ!って顔でこっちに走ってきてるじゃないか!あぁ、理解したよ……逃げることができないんだな。もうわかったよ、やってやるよ!!
僕は、ホルスターから2丁の拳銃を取り出し、キマイラに向けた。
「やるしかないんだな。いくぞ
炎弾ーーフラマ・バレット この魔法は、拳銃に火の力を込め、凝縮した炎の弾にすることができる、ランク1の魔法だ。これ以外に、風はウェントス、水は氷となりグラシス。このように、使用者の属性に合わせて使うことが出来る。ただ、この魔法のデメリットは凝縮することにより、1つ1つの弾に使用するエネルギーが多いことだ。
僕が放った弾は、轟音を闘技場に響かせながら何発もキマイラにあった。キマイラは、業火に焼かれ苦しんでいる。苦しんで……
「おぉーーーーとキマイラ選手、業火に焼かれ動けないのか!!!これは、一体どうなるんだ!!!!だが、ご安心ください!我が、闘技場ナンバー1のキマイラは炎なんて餌みたいのものです!!!」
なに言ってるんだ、あのアナウンサー、餌なわけ……。
僕が、キマイラを警戒し見つめていると、尾の蛇がどんどん炎を食べているではないか!……そんなことありなのか。僕じゃなければ、もうすでに敗北確実だぞ!めちゃくちゃな生き物だなほんと。
「なんて生き物だ本当に。だが、僕も異質なんでね
僕が魔法を唱え放つと、水の弾が見る見る氷柱になりキマイラの身体中に刺さっていく。
「な、なんてことだーーーー!アシエル選手は、2つの属性を使い出したぞ!!!これは、長く戦いを見てきた私も初めての光景です!!今日、闘技場にきている方は歴史が塗り替えられる場面を見られるかも知れませんぞ!!!」
や、やめてくれよ、照れるじゃないか。さぁキマイラさんは……うん、全く効いていないね。氷柱とは言っても長さはせいぜい10センチ。あの大きさからしたら、ちょっと血が出る程度なんだよね。さて、どうしたものか……風はまだうまく使えないし。他の魔法はあるけど、使えばかなりエネルギーを取られてしまう。考えなくては……
「ぐぁぁぁあ!!」
「え、ちょキマイラさん??」
なんてことだ、キマイラさんが機嫌を損ねている。なんで、急に怒っているんだ……あら?
よくみると、1本の氷柱がキマイラさんの爪の間に刺さっていらっしゃいます。なんで、わざわざあんなとこに刺さってるんだよ!
「おぉーーと!キマイラが、アシエル選手に向かって行ったぞーーー!!これは出るか!何百人も切り裂いてきた死の一撃が!!!」
はぁ、もう最悪だ。でもこっちに向かってくなら……
「おぉっと、アシエル選手止まってしまったぞ!!このままでは、キマイラの餌食になってしまうだけだぞ!!!」
本当にうるさいアナウンサーだ、びっくりさせてやる。
僕は2丁の拳銃に力を込めていく。この魔法は、僕が唯一使えるランク3の魔法だ。まだ一度も使ったことがないから、成功するかわからないけどこれにかけるしかない。
「いくぞ、キマイラさん。
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