第8話 冒険の始まり


 みんな聞いてくれ、僕の属性は白!すごいでしょ〜。2人が言うには、僕はかなり異質なんだって。

 自分の属性が分かったから、ビエルと一緒にトレーニングしているんだけど。問題なのは全く使えないと言うこと……


 「さぁ、もう一度やってごらんよ」


 「うん、剣に集中して……剣に纏えゲレ・グラディオ


 剣に纏えーーゲレ・グラディオ  この魔法は、剣に自身の属性を纏うことができる。ランクは1で、魔法が使える人間は訓練をしなくても詠唱するだけで使うことができる。


 「ん〜、やっぱり何も起きないね。君が、とてつもなくセンスがないか、そもそも扱うことができない属性なのか。前例がないから判断が難しいよ」


 「アハハ、ビエルさん、毒が漏れていますよ。僕の心が、ダメージを負っています」

 

 僕のトレーニングを見ていたネウスが、助言をしに来てくれた。


 「ビエル殿、やはりまだ扱うことができないのでわ?まずは、基本の属性を扱えるようにするのは、どうでしょうか」


 「うむ〜。それもそうだな!ならまずは、僕が使える火の属性だ!」


 「はい!よろしくお願いします!」


 こうして僕は、ビエルに火の属性、ネウスに水の属性の扱い方を学んだ。この二つの属性は、ランク2の魔法までは苦労することなく使うことができた。風の属性は、扱うことができる人がいないので保留となった。


 トレーニングが終わり、満面の笑みでビエルが僕を見ていた。


 「うん、安心したよ。センスが、無いわけじゃないみたいだね。これなら、試験にも合格できると思うよ」


 「試験?なんの試験ですか」


 「あ、君に言ってなかったね。ハンターになるにはクストスで、試験を受けて合格する必要があるんだよ。そして試験の評価に応じて、A・B・C・D・E までのランクがつけられるんだ。僕たちは、Dランクのハンターで主に探索が仕事だよ」


 「あ、それで僕がいた森にいたんですね」

 

 「そおゆうこと!でも、ケルベロスが徘徊しているとは思わなかったけどね。ケルベロスは、Cランクモンスターとも呼ばれていてね。このモンスターランクは、ハンターランクが一緒か、それ以上じゃないと倒せない基準でもあるんだよ」


 「なるほど。ならAランクのモンスターは何がいるんですか?」


 「Aランクか〜。僕が、みたことあるのはラシエルかな?」


 ラシエル……どこかで聞いたことがあるような。ラシエル……ラシエル……


 「え?ラシエルって、もしかして竜巻の天使ラシエルですか?」


 「そうそう、子供の時に僕の街を吹っ飛ばしてくれたやつさ。いつか、必ず復讐してやるんだ」


 「ちょ、ちょっと待ってください、なぜ天使が、街を破壊しているんですか」


 「なぜって、天使は人類の敵だよ。2300年頃に、天界から降りてきて主要都市を破壊したのは彼らさ。だから『僕は天使だ』って、寝ぼけてても言わない方がいいよ。まぁ、お腹鳴らす天使なんていないけどね」


 「アハハ、本当ですね……」


 なんてことだ、一体天使達は何を考えているんだ。人類の守護者が、破壊をしているなんて……そして危なかった。僕のお腹がなっていなかったら、本当に弓で撃ち抜かれるとこだった。これからは、発言に気をつけないと殺されてしまう。


 「ま、そおゆうことだからまずは、クストスがある街セントルに行こうか。ここからだと歩いて3日ほどかかるから準備しないとね。まずは、君の武器と防具を用意しようか」


 「武器ですか……ちゃんと使ったことがないので、何が得意なのかわからないです」


 「そうだね〜ならお試しで、これ使ってみようか」


 ビエルに渡されたのは、大型の銃剣だった。なぜ重火器、嫌な記憶が蘇る……。ビエルが言うには、近距離と遠距離、両方使えて何よりかなり安いそうだ。弓なんかよりよっぽど強そうだが、魔法を使用するため、弓の方がこの世界では強いらしい。僕の防具は、薄い鎖帷子の上に鉄の鎧と甲冑。ちなみに、ビエルは皮でできた服のみで、かなり軽量で露出が多い。君は、ケルベロスの時に何を学んだんだ、と突っ込みたくなる。そしてネウスは、僧侶みたいな格好をしている。こちらも軽量そうな服だ。なぜ僕だけ、こんなゴテゴテの重量装備なんだ。しかも、これを着て3日も歩き続けるとなると……

 

 「まずは、これを使って自分に得意とする戦闘スタイルを見つけるといいよ。僕は弓と短剣、ネウスは杖を使っているよ」


 「わかりました。少し重いですが、頑張ります!」


 「うん!ならセントルにしゅっぱ〜つ」


 重さについては軽く流せれてしまった。仕方ない、全部準備してもらったんだ文句など言えるはずがない。

 こうしてセントラルに向かったのだが、僕が思っていた冒険とはかなり違っていた。森や、川などの自然に囲まれ、時々モンスターが出てくる。そんな、ファンタジーな世界を思い描いていた。だが現実は、そんな綺麗なものではなかった。






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