第7話 逃げるが勝ち


 天使の怒りーーエンジェル・フロレム  この魔法は、下級天使が使える最上級の魔法である。ランクは2と、あまり高くはないが建物の一つぐらいは消滅させることができる魔法だ。しかし下級天使が使うとしばらくの間、動けなくなってしまう。


 

 僕はケルベロスに手をむけ魔法を発動した。これで倒すことができなかったらもうお終いだ、お願いだ効いてくれ。

 

 「クッ、やはり人間の体では時間がかかるか。お願いだ早く発動してくれ!!」


 何かがおかしい、こんなに時間がかかる魔法ではないはずだ。ビエルは目を閉じ、ケルベロスは口を閉じ僕を睨んでいる。きっと警戒をしているんだ……もしやこれは、使えないとゆうことなのか。ここに来て、恐怖心より羞恥心が勝ってきた。早くこの場から逃げ出してしまいたい……そうだ!!


 「待たせたな!ケルベロスよ!!我が魔法をくらえーーーー!!」


 僕は大声で叫んだ、喉が切れるほど大きな声で!!

 ケルベロスは、魔法が来ると思ったのか目を閉じ身を守っている。来た!今がチャンスだ!!


 「ビエル!逃げるよ!!」


 僕は横になっているビエルを抱き抱えた。


 「え?ちょっとどおゆうこと!君が倒すんじゃないの!」


 僕は、必死に逃げた!だって仕方ないでしょ!魔法が使えないんだもん!しかも着ているのはビリビリになった半身が出ている天使の服だ、どうやっても勝てない!

 ビエルは、痛みを忘れびっくりした顔で僕を見つめ、固まっている。そりゃびっくりするよね、なんせケルベロスもびっくりしていたんだもん。まさか逃げるとは思ってもいないはずだ!え?恥ずかしくないのかって?これがびっくりするほど恥ずかしくないんだよ、きっと人間になったからだな。


 「そこよ!そこを左に曲がるとネウトラルと呼ばれる街がある、そこの酒場に行けばきっといるはずだよ」

 

 「わかった!!」



 そして数時間後……


 僕は今どこにいるでしょうか?そう!牢屋に入っています!

 まぁ何から話そうか。まず僕はビエルを抱え、ネウトラルにある酒場に汗だくになりながら入った。そこまではよかったんだよ、2人とも命辛辛逃げ出したわけだし、奇跡の生還だよ本当に。

 問題は、入ってきた時の姿だよ、普通に考えたら、傷だらけの少女を抱えた汗だくの男がいたら、すぐに連想されるのは誘拐犯だよね。まぁこの時はケルベロスに襲われた後だったし、そこまで考えられなかったんだよ。てかビエルもよく見たら、そこまで大きな傷じゃないし、止血してるし走れよ。まぁそおゆうことで、入った瞬間に後ろから誰かに殴られ、ここに入れられたってわけだよ。それにしてもおかしいのはもうここに1日入れられていることだ。捕まったのは仕方ない、僕だって捕まえるから。でも、すぐに誤解は解けるはずなんだが、まだここにいる……なぜ!?しかも空腹とやらのせいで、寝ることもできない。これが生き地獄と言われる状態だな。


 「おい!お前ここから出ていいぞ、ビエルとやらに感謝するんだな」


 「あ、ありがとうございます〜」


 何が出ていいぞだ、僕は何もしてないし、むしろ感謝されてもいいと思う!

 僕がぶつぶつ言いながら外に出ると満面の笑みのビエルと見知らぬ男が1人立っていた。


 「本当にごめんよアシエル!すぐに誤解は解けたんだけど、君の名前以外わからなかったから時間がかかってしまったんだよ」


 「それでですか。てっきり、捨てられたと思って泣きそうでしたよ」

 

 「アハハ!何犬みたいなこと言ってるんだよ。君に助けられたんだ、見捨てるわけないでしょ〜。あ、この人が僕と一緒のハンターのネウスさんだよ。まぁあまり若くはないけど頼りにはなるよ!」


 「若くないって、わざわざ自己紹介で言わなくてもいいですよ。アシエル殿、初めまして私はネウスと言います。ビエルを救ってくださりありがとうございます。いつも勝手に1人で出かけてしまうので本当に助かりました」

 

 「でも、そのおかげで僕は助かりました。ビエルがいなかったら僕はきっと……」


 「まぁいいじゃないか!君お腹が空いただろ?ご飯でも食べようか。話しておかなくちゃいけないこともあるし」


 ビエルに連れられ、小さな古民家に入った。あまりきれいな外装ではなく今にも壊れてしまいそうな机と、椅子が並んでいる。僕が知っている時代とはかなり差があるみたいだ。


 「おばちゃん!今日のご飯は何が出せる〜?お客さんもいるんだ、少し豪勢なのがいいな!」


 「あら、ビエルちゃんとネウスさんじゃないか。わかったよ楽しみにしてな!」




 「さぁどうだったアシエル、ずっとお腹が鳴っていたから格別に美味しかったんじゃないのかな」


 「あぁ、本当に美味しかった。生まれて初めて食事をしました。食事をするだけで、こんなに幸福を感じるのならもっと早く食べるべきだったよ」

 

 「ん〜、相変わらず君は不思議なことをゆうね。ま、ご飯を食べたことだし本題に入ろう。実は、君を出すために、ハンターになってもらうことになったんだよ。勝手に決めて申し訳ないけど、身分がわからない以上こうするしかなかったんだ」


 ハンターか……ハンターになれば少しは情報が集められるかもしれないな…… 


 「もちろん良いですよ。今は、何をすればいいかわかんなくなっていたので」


 「いいね〜即答じゃないか。ならまずは、君の力をみよう。ケルベロスの時は、魔法を使おうとしていたけど発動しなかったね。君は魔法が使えるのかい?」


 「はい、使えるような気がしたんですけど」


 「ん〜、君が唱えた魔法は、聞いたことがないからな〜。まず君が使える属性を調べてみようか」

 

 「属性?僕は光だと思うけど」


 「光だって?アハハ、それは人間に扱える属性ではないよ。僕らが使うことができるのは、火・水・風の三種類のうちの1つだけで、基本的にはその力を武器に宿して戦うんだよ。」


 そおゆうことか、だからあの時魔法を使うことができなかったのか。


 「ま!そおゆうことだから、まずは君が使える属性を調べようじゃないか!」


 食事を終え、連れてこられた場所は古びた倉庫だった。結構広くて100人ぐらいは入れる大きさだ。そこには、同じ形をした剣が何十本か並んでいた。刃は丸みをおび、柄の先には丸い瓶のようなものがついていた。


 「これで調べることができるのですか?」


 「うん、そうだよ。昔、モンスターと戦っていた兵士達が、使っていた武器なんだけど。見ての通り、刃こぼれして使えなくなったから訓練用として今は使用してるんだ。さぁ君、剣をとってみて!何の属性なのか調べようじゃないか!」


 僕が剣を構えると瓶の中には白い渦のようなものができた。とても綺麗でハリケーンのように見える。


 「こ、これは何の属性ですか」


 「ん〜、こんな属性僕は見たことない。ネウスは何だと思う」


 「すみません、私も。ただ3種類の光源色が混ざると白になると聞いたことがあります。もしかしてアシエル殿は、3種類全ての属性が使えるという事じゃないでしょうか」


 「ん〜……君〜本当に人間なのかい?最初も天使って言ってたし、まぁ怖くないから違うとは思うけど」


 「アハハ〜本当に僕は何者だろうね。記憶が戻れば分かるんだけど」


 こうして僕は、光でもない白の属性を身につけている事を知る。何故こうなったか分からないが、ローズの魂が影響してるような気がした。

 





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