第4話 壊れた先にあるもの

 

 僕は、5人の亡骸を指を咥え眺めていた。一体どうすれば、こいつらにさらなる絶望を与えられるのか。もうすでに心は壊れ、頭の中はぐちゃぐちゃと異音がしている気がする。


 「はぁはぁ……この悪魔が、早く殺せよ!死んだら俺達は、地獄へ行くだけだ。だが、俺らが犯した女どもは、天国に行っても救われねーがな!!ガハハハ、さぁ!殺せ!殺せよ!!」


 あぁ、ゴミが。今すぐ殺してやりたい……あぁ、体が勝手にあいつを、殺しに行こうと動いている。でもダメだ、まだ殺しちゃいけない。さらなる絶望を、アタえてヤル。


 「はぁ……はぁ……どこに行く気だ悪魔、俺はここだぞ!逃げるのか!はぁはぁ、仲間の体に何する気だ、悪いがそんなもんに何をしようと、俺は恐怖なんか感じないぞ!ガハハ」


 「死んだらどこに行くと思う、天国か?地獄か?まぁ、お前の言う通り地獄に行くんだよ、普通はな。でも、オレガソレヲユルサナイ」


 「あ?悪いな耳が壊れていてな、何を言っているかわかんないんだよ。お前の脅しも聞こえなきゃ、怖くないんだよ」


 あぁ、分かっているよ。だから見せてやる……

 僕は、亡骸の上半身の胸に手を当てた。血が溢れて生暖かい、手が血に染まっていく。


 「魂の導きアニマ・ドクスさぁ、出てこい、醜い魂よ」




 魂の導きーーアニマ・ドクス  この魔法は、死者の魂を肉体から取り出す魔法である。主に、道者の天使達が清らかな魂を天国に導くときに使う。魔法にかかった魂は、自然と天国へ導かれていく。



 「な、何だ、その光は……た、魂ってやつか!!一体、何をする気なんだ」


 「アハハ!!こんな奴らの魂でも、こんなに綺麗なのか。必死に光り輝いてるよ。聞こえているかゴミどもよ。お前らは、このまま勝手に天国へいけるぞ。ん?そんなに光り輝いて、嬉しいのか?でもな、俺が許さない。この世の理が、なんだって言うんだ。魂は不滅だ?笑わせるな、俺が壊してやるよ、この世の理も、魂もな!!!」


 僕は、男から取り出した魂を捕まえ、力を加えていく……ただ、破壊することだけを考え、必死に力を加えていく。しかし、魂はそんな簡単には壊れない。どんなけ力を入れても、びくともしない。それでも、ただひたすら破壊することだけを考え、力を加えていく……


 「ガハハ、な、何だお前、出すことはできても、壊すことはできないいんだな!安心したよ。俺らの仲間も、笑っているだろうよ。俺も、お前が破壊できず苦しんでいる姿を、目に焼き付けておくよ。ガハハ」


 あぁ、ダメだ。力が、どんどん抜けている感覚がする。目の奥が熱い、煮えたっている。背中の羽が、焼けているほど熱い。心が、高鳴りをあげている。あぁ、心地いい。この先に見える闇に、堕ちて逝ってしまいたい……もう無理だ、堕ちていく感覚がするよ。

 






 あぁ、一瞬意識が飛んできた気が……この匂いはなんだ、生き物が焼ける匂いがする。あぁ、僕が焼けているのか……


 「はぁ……はぁ……くるな、こっちに来ないでくれ。殺してくれ、お願いだからこれ以上はもうやめてくれ。もう何も見たくない、お願いだ殺してくれ!魂ごと俺を殺してくれ、もうお願いだから殺してくれ……」


 何を言っているんだこいつは。来るなと言ったり、殺してくれと言ったり。こいつ壊れてしまったのか。僕は何をしたんだ、闇に堕ちていったことしか覚えていない……。こいつらの魂がなくなっている。何をしたのか思い出せない。まぁいいや、後はこいつだけだ。


 「お前の魂は壊さないよ。その記憶と共に地獄へ落ちるがいい。いいか、天国は、幸福な記憶しか残さないが、地獄は絶望や苦しみしか残らないらしいよ。事実であることを願っているよ……」


 「何を言っているか聞こえない、何も聞こえないんだ。お願いだ殺してく……」


 「……0」


 僕は、散弾銃の引き金を、男を見ずに適当に引き最後の男を殺した。


 







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