第3話 黒に染まっていく白


 扉を通り抜けると、そこには6人の男たちがいた。1人の少女を囲い、椅子に腰掛けていた。少女は、ローズだった。必死に、ここまで来たが、僕は間に合うことができなかった。ローズの左目は陥没し、口が5センチほど左右切れ、血が混じった唾液が垂れ続けていた。服は着ておらず、大きな釘を手に刺されていた。左の下腹部から、大量の出血と一緒に、切り口からボコボコした物が見えていた。女性器からは、大量の血が混じった白い液が出ていた。

 ローズの体はわずかに痙攣していたが、その右目に光は無く、睨むように僕を見つめている。


 「よっしゃ〜ようやくイケたぜ〜!!」


 「お前、遅すぎんだよ。早くここから逃げるぞ」


 「こいつどうするよ、ボス」


 「ほっとけ、最後に気持ちよく死ねるなら、本望だろ!」


 「「「その通りだ!ガハハ」」」


 こいつら見たことがある、チャオにいた強姦魔たちだ。なぜかここに来て、怒りがわかない。いや違う、あまりにも絶望的な光景に、わからなくなっている。こいつらは、一体何でこんなことができるんだ……ダメだ、心が壊れていく音がする。少しずつ心が、引き裂かれていく感覚がする。胸の中から、心だけが逃げようとしている。出るはずのない涙が、止まらない。僕は、どうしたらいいの?誰か僕に、教えてくれよ……


 「ボス、とりあえず、こいつらの遺体を燃やさないと、足がついてしまいますよ」


 「それも、そうだな。お前、偉く上機嫌だな、写真は撮ったのか?」


 「もちろんですよ!これを現像して商品にすれば、良い値がつきますよ」


 「なるほどな、そりゃいい!さっさと、こいつらを燃やして、儲けに行くか!ガハハ」


 な、何を言っているんだ、こいつら。殺しておいて、その亡骸を辱めに合わせるだと。アハハ、笑えてくるよ。これを、神は裁かず。天使たちは、傍観するだけか……なんて腐った世界だよ!壊してやる、こんな世界……俺が、全て壊してやる!!まずは、こいつらからだ。俺が、壊してやる姿を表せモンストレイン



 姿を表せーーモンストレイン  この魔法は、天使のみ使うことができ、主に、人々を救済するときに、自らの姿を、人間に見えるようにする魔法である。天使は基本的に、エネルギー体である為、物体に触れることができない。しかし、この魔法を使うことにより、物体に触れることができる。



 「な!ボス、こいつ誰ですか。急に、目の前に現れましたよ!このままだと、協会に通報されるかもしれませんよ」


 「ん〜何だ、こいつ。おい、顔見せろや、下の方ばっか向いとらんと。もしかして、家族でもおったか?ガハハ」


 なんて、ふざけた奴らだ。そろそろ魔法が、効いてくる頃だな。


 「ん〜?お前の背中の羽は、なんだ〜?天使でも、気取っているのか?ガハハ。お前、頭おかしいだろ、そんな半身、見えた服に、背中には羽か……そうか、お前も俺たちと、一緒にやりたかったんだろ!だが済まんな、もう死んじまったよ!!ガハハ。だがお前、結構いい顔しているな。金色の綺麗な髪に、金色の瞳。なぁお前ら、こいつを使えば簡単に女を、引っ掛けられるんじゃないか」


 「確かに、それはいいアイデアですね。背中の羽をつけていれば、本当に天使だと思って、処女が寄ってくるかもしれませんね〜」


 「もういい……お前ら、それ以上喋るな。お前らは、俺がさばいてやるからよ」


 「はぁ〜?半身裸で、何言ってんだよお前、おいリブ、こいつにしつけが必要なようだぞ」


 「ぶひひ。俺は、男もいけるんだよ。しかも、お前の顔は好みだ。楽しませて、ぐぎゃ!!』


 あぁ、気持ちが悪い。手に、醜男の首の骨が、折れる感覚が伝わってくる。こいつの、油と血で、手にオイルをつけたみたいだ。


 「な!?おいリブ!!何なんだ、こいつ。一瞬でリブの頭部を、取りやがった。お前、生きてここから、出れると思うなよ。おいお前ら、昨日買った散弾銃、持ってこい!こいつは、すごいぞ〜。内臓どころか、骨までぶっ飛ぶぞ。ガハハ、使ってみたかったんだよ、後悔すんなよ」


 醜男は、僕に向けた散弾銃の引き金を引いた。

 くっ!?何だ、この爆音は。部屋の中を、音が反響し続けている。耳が、どうにかなりそうだ。これが、人間どもの武器か。クソ、油断しすぎてた。


 「な、な、お前、一体何なんだ。何で、弾が当たってないんだ!ふ、ふ、ふざけるなよ!早く弾、持ってこいや!」


 「は、はい!!」


 クソ!何を言っているか聞こえないが、また撃つ気だな。お前らも、同じ痛みを味わえ 光射キュア・ルクス



 光射ーーキュア・ルクス  この魔法は、天使が得意とする、光魔法の一番ランクが低い魔法である。生まれた瞬間から、どの天使も使える為、精密な操作が必要なときに使うことが多い。


 

 「な、あいつ、指先が光ってやがる。何する気だ!ぐぁっ、いてて。あ?耳が、少し痛いだけだぞ。ガハハ、何だそれ!!お前らも大丈夫か!?」


 「はい、我々も耳が少し痛いだけでした。しかし、こいつは、一体何なんですか」


 「さぁな、本当に、天使だったりしてな!!ガハハ、もう一発くらいやがれ!!」


 あぁ、なんて馬鹿な人間たちだ。せいぜい、後悔するがいい馬鹿どもが。あぁ、こいつらの苦痛に歪む顔に、心が踊っているよ。ようやく、こいつらを裁くことができる。


 醜男は、また散弾銃の引き金を引いた。


 「ぐぁ!!耳が、耳がぁぁ!!こいつ、俺らの耳栓を壊しやがったんだ!くそったれが!!」


 「どうだ、少しは痛みが分かったか。ま、話しかけたところで、聞こえてないか。お前が、ボスだったよな。いいか、まずお前らの武器で、仲間を殺していくから、目の前で見てろ……まぶたは、いらないよな」


 「な、どっか行け、こっちにくるんじゃね!は、は、離せ!何するき……ギャァァ目が目がぁぁ!!!」


 はぁ……はぁ……これで、引き金を引くんだな。何してるんだこいつら、あ?祈ってやがるよ。こいつら散々殺しておいて、自分らは助けてくれと?救えないクズどもが。


 「お願いだ、助けてくれ!!何を言っているのか、聞こえないんだ!もう二度と、こんなことはしないから慈悲を……」


 慈悲、と言う言葉に吐き気がした。引き金を引くと、爆音と共に、男の体は祈っていたであろう体勢の、下半身のみが残っていた。残りは、後方へ弾け飛んで行った。残りの男どもは、何が起こったかわからず、痙攣している残った下半身を見て、惚けている。

 あぁ、壊れていく。僕の心が、イキぐるっている。揺れていないはずなのに、目の前が揺れている。あぁ、引き金を止められないよ……



 「く、くそが悪魔が!!のろ……」


 「……3」


 「わるか……」


 「……2」


 「お願いだ。私だけは、助けてください。彼女の写真も、渡しま……」


 「……1」


 僕は、目の前に広がる、上下に分かれた体を見て、早く殺しすぎたと後悔してしまった。こんなんじゃ、彼女達の魂は浮かばれない。これだけじゃ、軽すぎる……彼女達の苦しみは、こんなもんじゃなかったはずだ。

 そして、僕の怒りは、この世の理をも破壊することになる……

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