第2話 闇へ吸い込まれていく光


 僕は急いでラグエル様の元へ行き、救済を求めに行った。


 「ラグエル様ご報告があります!インティウムで子供たちが、複数襲われていると思われます!急いで救済を!」


 「お前、昨日私が言ったことを忘れたのか?そんな些細なことで、救済は認められぬと言ったであろう」


 「しかし、まだ生まれたばかりの子供たちが、襲われているんですよ!これのどこが些細なことなのか、僕にはわかりません!」


 「……わかった、救済を認めよう。しかしこの一回のみだ、今後同じことが起きても救済は認めぬ。今回は、お前の熱意に免じて特別に送るだけだ、わかったな?』


 「あ、はい!わかりました!本当にありがとうございます!いつ、救済者は子供たちを助けに行かれますか、もう時間がありません』


 「心配するな、もうすでに向かっておるわ」


 「本当ですか!?ありがとうございます。これで子供たちは救われます」


 「でわ、仕事に戻るがよいアシエルよ」


 


 よかった、救済者さえ来れば、亡くなった子供たちも、まだ魂が肉体に入っているはずだから救われるはずだ。とにかく、子供たちと彼女を見守らなければ。

 (そして僕は天使と言う生き物がいかに残酷なのかを知ることになる)


 「アシエルよ、いったいどこに行っておったのだ!」


 「ザフキエル様、申し訳ありません。ラグエル様に、救済を求めに行っていました」


 「な!お前は、何度同じことをすればいいと思っているのだ、いい加減諦めるんだ!こんなことは言いたくないが、お前は人間に情が入りすぎているぞ!良いか、人間を愛せばルシファーのように、破滅の道を辿ることになるんだぞ。我々天使は、神の作りし万物を見守り、世界を破滅しかねるときに姿を現し、それを防ぐのが仕事なのだぞ」


 「しかし、なぜ神を愛す我々が、人間を愛してはいけないんですか!?天使も人間も愛すべき神が、作った万物に変わりはないじゃないですか!」


 「よいか、人を愛せば必ず闇に落ちることになるんだぞ。彼らは神の失敗作だ、弱く醜く残酷だ。お前も見たであろう、チャオにいた男たちを!あやつらだけではない、この世界にはもっとひどい事が、そこら中で起きておるわ!」


 「なら、我々天使は、もっと残酷じゃないですか!それをただ傍観するだけで、必死に助けを求める人たちを、些細なことだと言い見離しているんですよ!」


 「な!アシエルよ、よいか二度とそんなことをゆうではないぞ、今の発言は聞かなかったことにしてやる。そんなことを大天使たちに聞かれ、逆鱗に触れてみろ、お前だけでなく下界の人間にまで、その怒りが届くことになるんだぞ!』


 「何なんですかそれ……もういいですよ、わかりました。僕は子供たちを、見守ります。もう救済者の天使たちが、いると思うので」


 「いい加減、理解するのだアシエルよ、このままだと辛いのは、お前なんだ。頼むから私の言うことを聞いてくれ。お前は、私の大事な部下なんだから」


 「できるか、わからないですが。ザフキエル様を、信じています」


 「そうか……早く仕事に戻るがよい、何かあれば私に、報告をしにくるんだぞ」



 本当にごめんね、ザフキエル様。あなたは、好きだけど、それ以上にこの天界世界が嫌いなんだよ……

 とりあえず、子供たちを見つけなくては、救済者が、もういるはずなんだが気配がない。地下室にいるのか、探すことができない。子供たちは、無事だろうか……こんな時に、見守ることしかできない天使なんて、必要があるのか。


 僕のもとに、1人の天使が降りてきた。


 「アシエルじゃないか、どうしたんだ。そんな血相な顔をして、なにかあったのか?」


 彼は、救済者の下級天使ーーゼルク。彼は、唯一この世界の友人でもあり、理解者でもある。いつも僕を助けてくれ、この世界に生まれたときに、いろいろなことを教えてくれた、兄でもある。


 「ゼルク、実は子供たちを救いに行った、救済者たちが見えないんだよ」


 「救済?そんな指令は、出ていないぞ。ただ、ラグエル様に君が、間違いを犯さないように見守れ、としか」


 「な、何を言っているんだよ、そんなことないよ。ラグエル様は、すでに向かっていると言っていたんだよ」


 「だから、僕がここに来たんだよ、君を見守れと。聞いているか、アシエルよ、一体何が起きているんだ」




 嘘だろ。そんなんことが、あっていいのか。助けてくれるって、言ったじゃないか、僕を見守るだって?

そんなくだらない事の為に来て、子供たちの命は、それ以下って事なのか。ふざけるなよ……だめだ、怒りでゼルクの声が聞き取れない。僕は、どうすればいいんだ、子供たちや彼女は救われないのか……


 (誰かお願い助けて!!)


 「な、今の声は!ゼルク今の声は!!」


 「どうしたんだ、そんな慌てて。多分、あの孤児院だと思うけど、それがどうしたんだ。おい!アシエル、どこにいくきだ!戻れ!一体何をしようと、しているんだ!!下界に降りれば、罰だけでは済まないんだぞ!!」


 「ゼルクごめん、僕行かなくちゃ……」




 早く、彼女のもとに!お願いだ間に合ってくれ。きっと僕は、戻れば処罰されるかもしれない、それでも、君さえ救うことができるなら、こんな命いくらでも差し出す。だからお願いだ、間に合ってくれ!


 僕は、天界から飛び立ち、彼女がいる孤児院へ降り立った。玄関を通り抜けると、そこには子供の大きさではない6人ほどの足跡が、綺麗な廊下を汚していた。その足跡を辿ると、子供たちの頭部と、四肢が切られた状態の亡骸が、無造作に落ちていた。僕にないはずの心臓が、強く鼓動している感じがする、無いはずの肺が、強く途切れることなく息をしている。

 そして、その足跡は地下室に向かっていた。地下室の扉から、何を言っているかわからないが、低い声がする。

手が、震えている。見なくても、この先で起こっていることが、わかってしまったからだ。

 そして、扉を通り抜けると、そこには絶望しかなかった……


 


 




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