ーーアシエル 闇に堕ちた天使の物語

いっちー。

第1話 見下ろすもの達

 

 全ての物語はある孤児院から始まる。


 孤児院はーーファトムと呼ばれ、ここには赤ん坊から13歳までの親と離れてしまった子供たちが住んでいる。最年長であるーーローズは、孤児たちの母親がわりであり、茶色のおさげが似合う大人びた顔立ちの少女だ。その姿をふわふわとした金色の髪を靡かせ、金色の瞳で見下ろす青年がいた。彼の名前はーーアシエル、下界を監視する下級の天使でこの物語の主人公であり、後にこの世界を破滅させていくことになる……




 「ふぁ〜あ……今日も彼女は美しい。君がいるから、こんなつまらない世界でも光り輝いて見えるよ」

 

 僕のもとに、1人の天使が降りてきた。


 「またサボっているのかアシエルよ。お前の今日の担当はーーチャオだろいつまで隣の街をのぞいているんだ」


 「またあそこですか......あそこに住む人間たちは好きになれません」


 「人間を好きになる必要はない。いいか、お前の仕事は観察し、報告をすることだ!わかっているだろうな?またどこぞやらの孤児院に、子供が増えたなど馬鹿げた報告はしてくるではないぞ」


 はぁ〜また始まったよ。この天使は僕の上官、上級天使のザフキエル。見た目はそこそこ良いジェントルメンだが、性格は厳格な父親そのもの。とにかく口うるさいおじさん天使なんだよ。


 「おい!聞いているのかアシエル!何を惚けた顔をしているんだ」


 「なんでもないですよ、チャオの監視に行ってきます〜」


 「良いか!決してサボるではないぞ!私がお前のことを監視しているからな!」


 


 はぁこの街は嫌いだ。みんないつも何かに飢え、持っている人から奪うことしかしな出来ない人間で溢れている。

こんな街で何を監視すれば良いんだよ。ん?あの6人何しているんだむさい男たちが集まって……あいつら強姦魔か!何でこんな世界を監視しなくてはいけないんだ!急いで報告を。


 「ラグエル様!監視者のアシエルです、至急チャオに救済を女性が強姦に巻き込まれそうになっています!」

 

 「またお前かアシエルよ、今度は強姦魔か。良いかそんな小さいことで一々報告をしてくるではない、もっと大きなことがあれば報告をしてくるんだ。救済は認められぬ」


 「なぜですかラグエル様!今救済がなければ犯され殺されてしまうんですよ!こいつらは一体いつ裁かれるんですか!」


 「それは我々が決めることではない、何度も言わせるではない。もっと大きなことが起きたら報告するんだ」


 「し、しかし!」


 「何度も言わせるな、アシエルよ。たかが下級天使の分際で楯突く気か」


 「くっ申し訳ありません、引き続き監視を行います」


 「わかれば良い、二度とこんなことで報告するではないぞ」




 何が天使だ、何が救済だ。何をしているんだ僕はただ監視するだけが天使の仕事なのか……

 下をむき歩いている僕のもとに、ザフキエルが来た。


 「アシエルよ何をしているんだ、さっきも言ったがお前はチャオの監視だぞ」


 「ザフキエル様、すみません今は監視をしたくありません」


 「はぁまたかお前は。良いか我々の仕事は監視をすることだ。どんなに残酷なことが起きようと、ただ傍観することしかできんのだ。この世の理なのだ、それを破ればルシファーのように堕落し落ちてしまうからな」


 「わかっています、何度も言わないでください。仕事に戻ります、あとラグエル様に楯突いたので先に謝っておきます、申し訳ありませんでした」

 

 「な!?ラグエル様にだと!お、お前は本当に何をしてきたんだ!ばかたれ!」



 

 あぁ申し訳ないザフキエル様、救済があることを祈っていますね。またこんな醜い世界を監視しなくてはいけないのか、そういえばさっきの女性は……




 「ガハハ!みたか、あの女の叫び顔最高だったな!泣き叫びながらイキグルっていたな!」


 「本当に、素晴らしかったですね〜写真に撮っておくべきでした」


 「ボス、次はどの街に行きますか?お勧めはここに住んでいるこの子、なんていかがでしょうか?」


 「おぉいいじゃねーか!なら今すぐいくぞ、神の御心のままにってな!ガハハ」


 クソあいつらまだやるつもりなのか……なぜこいつらが裁かれないんだ。なぜ彼女が殺されなければいけないんだ。この世界は間違っている、こんな世界……。




 「さぁ!今日はようやく彼女の住んでいる街ーーインティウムだ!」


 上機嫌な僕のもとに、ザフキエルがきた。


 「アシエルよ今日はやる気に満ちておるな、そんなにその街が好きなのか。まぁいい、よいかくれぐれも昨日のようなことをするではないぞ!お前のせいで私は散々な目にあったんだからな!」


 ザフキエル様、顔が真っ赤になっている。噂だと罰として全裸で踊らされるとか……だめだ笑いがこみ上げてくる。


 「グフッ、だから先に謝ったじゃないですか』


 「お前とゆうやつは本当に……まぁもういい仕事に戻れ。良いかくれぐれもサボるではないぞ」

 

 

 全くうるさいんだから、そんなことより今日は、彼女は何をしているのかな。この時間だと朝食を作っているかな?届くはずないけど彼女が作る食事は、天界にも匂いが届いてくるんじゃないかと思うほど、美味しそうな食事を作るんだよね。まぁ天使は食事を取る必要がないから雰囲気だけだけどね。

 ん〜それにしてもおかしい、いつもだともう食事の時間なのに誰もいない珍しく寝坊でもしたのかな。


 「た…け……」


 何だ今のかすれるような声は、何か嫌な予感がする。とりあえず家の中を覗いてみるか覗く者インスピチア


インスピチアーー覗く者 この魔法は、天使の中でも監視者のみが使える魔法であり、ありとあらゆる建物を見とうすことができる、しかし、地下室などはみることができない。人間の男性ならば、人生で一回は欲しいと願う魔法である。



な!何だこれ!何で廊下に子供たちが倒れているんだ、しかもこれは……クソ!何でこんなことが。は、早く報告を……

 (僕は急いでラグエル様に救済を求めにいくが、まさかこれが天界での最後の仕事になるとは思ってもいなかった)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る