第7話

 俺は『遣い』を選んだ。


  ― 命 とうときこと ―


 俺はその時理解した。


 後から聞いた話だと、『遣い』の数はずっと減少傾向とのこと。どんどん少なくなっているらしい。

 

 『遣い』を選んで良かったと、素直に思う俺がいた。尖っても曲がってもいない性格の俺だが、素直過ぎる俺は俺らしくなく変な気もした。しかし少しだけ、気分が良いと思ったのをはっきり覚えている。


 人生は“長さ”ではない。どれだけ“生き”たかだ。俺は“生き”ることが薄かったように思う。


 天国へ行き、いつか生まれ変わることができるなら。俺の輪廻転生は途絶える。俺が輪廻の鎖を断つことになる。前世の俺、来世でなったであろう俺、全ての俺に対して心底申し訳ないと思った。


 でも俺は、俺を選んだ。今の俺を。

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Reincarnation 凪 景子 @keiko012504

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