仙境にて その二
一九一四年 チベット ツァンポ大峡谷内部 仙境の寺院
◇
岡田が仙境での生活に慣れた頃、彼は〈エメラルド・ラマ〉から寺院の地下へと案内される。
そこにあったモノは、岡田だけではなく誰が見ても目を疑う光景であった……。
岡田とラマ、そしてラマ側近の僧二人が寺院最深部を目指し階段を下る。
壁面には一定の間隔で
描かれている
寺院内外に施された彫刻や壁面とほぼ同じなのだが、どうも様式が異なる。
アジア美術と云うよりも
又、描かれている題材の中では幻獣の割合が多く、寺院の装飾では見られなかったものも確認出来る。
ある程度階段を降るとそこからは回廊になっていた。
前方へ歩くと不意に明かりが灯る。
壁面の
現在の最先端技術で造られた物ではなく、明らかに超古代文明の遺物だと岡田には感じられる。
前方に歩き続けると扉に行き当たったが、その扉は一行に反応して自動的に開いた。
岡田は滑らかな扉の開閉に少し驚いたが、ラマ達は構わずに歩みを進め扉へと辿り着く。
ラマが壁面に
物理
現代では非接触型
一行は
扉が又もや自動で開くとその室内中央には円形台座があり、四人の僧が左右、手前、奥と、それぞれに一人づつ座っている。
室内の僧達がラマ一行を認め一礼した。
彼らが受け持ちの
投影されている画像は仙境付近の地図に始まり、ここ最近の天候、気温、湿度を示した折れ線
中には未来の天気さえ表示しているものすらあった。
現代人がここの光景を見たならば
仙境内の天候を操作している中枢に入室を許された岡田は、感激に
投影されている画像や数値の意味は彼にもある程度推察出来ていたが、九頭竜会の気象操作技術とは技術水準の差が歴然である。
仙境の洗練された技術に感動すら覚えていた岡田に、ラマからの思念が放射された。
『
これで、アトランティスの者共にも遅れはとるまい……』
『ラマの御力添え、有り難く
一行は気象操作室を後にし、再び
到着した一行は
この扉は自動では開かない物の様だが、ラマが扉側面にある
⦅文字と云うよりも図形、旧カタカムナか……⦆
ラマは
直ぐに扉は開き、目に飛び込んで来た光景に岡田は思わず息を呑む。
自動で明かりが灯ったり扉が開いたぐらいで驚いていたのが情けなくなる程の絶景である。
扉内部は広大な空間になっていた。
広大な空間の左右には円筒が
円筒上部と下部以外は透明な素材で内部が透けて見えていた。
その低部には
⦅
この部屋の光景を観て岡田は疑問に思った様だが、大抵の現代人は
正解は勿論、
岡田が
『三千年程前までは稼働しておった……。
破壊されてはおらぬが、停止しておる……。
アトランティスの者どもが此処を狙っておる……。
阻止せよ……。
此処を動かす事が出来れば勝利は目前ぞ……。
後は言わずとも察せられよう……』
ラマからの
『ラマの
遂に仙境寺院最深部へと入室する一行。
その室内は先程の
但し全ての
内部の骨格群はその巨大さもさる事乍ら、どの現生動物とも違う特徴を有していた。
⦅多椀、多脚、上半身は獣類の特徴が見られるが、下半身は魚類の物。
岡田は気密容器の中身を検分し乍らラマ達に続く。
それと同時に、日本で出会ったある男の事を回想していた……。
◇
仙境にて その二 了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます