第86話 騎士団長の息子はメンバーを集める
「というわけで、彼女が新しく仲間になるタリアンです」
「おい、ちょっと待て」
メンバーを集めて紹介すると、何故か突っかかってくるタリアン。
「その冴えない男と子供が三人てふざけるのか?」
ファンと子供達、ガリバー、マナカ、ライアを見てからそう言ってくるので俺はため息をついて言った。
「見た目で判断するとはなんと嘆かわしきことか。安心しろ。少なくとも子供達は強いから」
「なんで俺は除外されてるんだよ!」
「ファンが強いわけねーじゃん。ねー先生」
「あんだと糞ガキ!」
「やめい」
ぺしっと殴ってからファンを止めて俺はタリアンに簡単に説明することにする。
「この子達はお前と同じように魔法が使える。だから少なくともお前の部下よりは強いだろう」
「こんな子達を戦わせるなんてお前は鬼なのか?」
「姉ちゃんだって子供じゃん」
「アタイは大人だよ!」
ギロっとガリバーを睨むタリアン。どうやら子供体型がコンプレックスなのだろう。
「ところで姉ちゃん年はいくつなんだ?」
「アタイか?20歳だけど……」
「えー嘘だー」
俺も少しだけ驚く。これで20歳ってなかなか貴重な気がするやっぱりロリコン貴族に高値で売るかと思っていると、マナカがクッキーを持ってきて言った。
「あ、あの……よかったらこれどうぞ」
「くれるのかい?」
「は、はい……先生に教わったので上手に出来てればいいのですが……」
そう言われてからタリアンはクッキーを食べてから鼻を鳴らして言った。
「まあまあだね」
「あ、ありがとうございます……」
「ところでさっきから先生って言ってるけど、まさかアンタ達あの化け物の教え子なのか?」
「は、はい」
「そうですよー」
「先生は俺らの先生だ!」
その言葉にタリアンはしばらくなにかを考えてからファンを見て聞いた。
「んで?アンタはなんでこんなところにいるんだい?見たとこいいところの坊っちゃんだろ?弱味でも握られてるのかい?」
「まあ、近いが、俺は俺の望みの代償にここいるだけだ」
「ふーん。まあ、いいや。それで?アタイはこれからどうすればいいんだい?」
その言葉に俺は頷いて言った。
「文字通り手足となって動いてもらう。これまではあまり出来なかった手段もお前を使えればできるからな。何せお前の魔法と容姿は便利だからか」
「ちょっ、まさかアンタ、やっぱりアタイの身体目当てだったのかい!?」
「だからそんなツルペタには興味はない。いや、断崖絶壁かな?」
「誰の胸が断崖絶壁だー!」
ポコポコと殴ってくるタリアン。そもそもアリス以外の女の胸なんてただの脂肪の塊だろ?そんなものに微塵も興味は湧かない。無論俺にだって人並みの性的な興味はあるけど、そもそも対象がアリスに限定されているので、それ以外はゴミでしかない。
あのアリスの少しだけ大きめだけど、柔らかそうな胸にしか興味はない。いや、それ以外にもアリスの何気ない仕草にぐっときたりもするけど、まあ、そんな欲望は決してアリスには見せない。というか、欲求なんてものはアリスを愛でる手段の一つでしかないのだ。
好きだからこそその人の全てを掌握したい。好きなのだから仕方ないだろう。まあ、もちろんアリスが嫌がることはしないが。
「ま、簡単に言えば諜報とかがメインの仕事になる」
「諜報?」
「お前は色んな毒を造れる。麻痺毒とかそういう系統もできるだろ?」
「な、なんでそれを……」
「この前の戦いと俺のレベルアップにより知ってる事実だ」
あの女……『プレデター』から得た力の中には魔法の種類を見るだけで把握することができるものがある。まあ、こいつと戦った時にもある程度わかっていたが、確信が持てるのは便利だ。この眼であの女は標的の魔法を使える人間を絞っていたのだろう。事実ガリバー達の魔法もきちんと把握することができているし、見える範囲ではかなら便利な眼のようだ。
「ま、本当ならお前から魔法を奪えば楽なんだけどな」
「あ、アンタそんなことも出来るのかい?」
「正確には出来るようになったかな?」
手元に水を出して浮かべると唖然とする周囲。
「お、おい。それって魔法か?」
「ああ。こないだ魔法を奪う魔法を持つ相手を倒して得てしまった力だよ」
「せ、先生スゲー!そんなこともできるの!」
「本当に凄いねー」
「は、はい……流石です」
なんだか持ち上げられるの恥ずかしいな。子供から純粋な憧れの視線を貰うとどうしていいかわからなくなる。他人からの評価などどうでも良くても無邪気にそう言われるのは少しばかり照れる。まあ、アリスの言葉に比べれば些細なものたけどね。アリスの言葉なら全てが幸せな音に変わっていく。アリスさえいれば全てうまくいく。アリスこそ人生。生涯変わらぬ想いを抱きながら愛でることができる。
まあ、なんだ……ツンデレとかではなく、普通に嬉しいには嬉しいが、アリスより優先はされないということだ。アリスのことが大好きすぎるのも考えものかもしれない。いや、それはないな。うん。大好きだからこそ頑張れるのだ。
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