小鳥は今日も籠の中でビールを飲んでいる
若干22歳で執筆した『公平な堕落』が芥川賞を取り、一躍有名になった小説家の鱒乃澄義は、2年経った今も一応小説家を続けているが、世間の期待など無視して自由気ままに、そして堕落しながら生きている。そんな彼と同居するのは、年齢は大人であるのに精神が追いついていない小鳥という女性だ。鱒乃と小鳥は神保町にある1LDKのマンションの中で、冷えたビールを片手に緩慢な人生を送っている。
編集者の松本や同じ小説家の影堀など、二人の周りに現れる人間たちと交錯しながらも、鱒乃はマイペースに人間観察しながら小説を執筆し、小鳥はその周りを歩いている。