20年次
奇跡的にわたしは結婚して子供までできた。
わたしの子供は男の子で、今10歳。
朝が待ちきれなくてワクワクしながら目を覚まし、夜はきょうも一日楽しかったと形にならない感謝の気持ちを胸に眠る毎日。
ああ。
しあわせだ。
でも。
「あーっ!」
「え」
「なになになに、アンタだよね?ウチらに唾かけられてた!」
「あー、ほんとだ。わたしらが毎日つばかけてたあんただね」
「あ、あの・・・・・・」
「はっは!それ、もしかして、アンタの子供?」
やめて。
「へー、アンタの子供とは思えないぐらいキモくもないじゃない」
「な、なんなんですかあなたたちは。僕のお母さんになんでそんなこと言うんですか!」
「ははは!お母さんはねー、いじめられっ子だったんだよ!奴隷よ!奴隷!」
「そうそう!毎日毎日クラスの全員から唾かけられて、キモくて暗くて。なに?アンタも学校でいじめられてんの?お母さんみたいにさ!」
「ぼ、僕は・・・」
「はいはい!今いじめられてなくてもコイツの息子であることが発覚したから今日からアンタも晴れていじめられっ子だな!アンタ、どこの小学校行ってんの!?」
「や、やめてください・・・」
「はははは!やめるわけねえだろ、こんな面白えこと!」
あ!
「か、カナちゃん」
同じマンションに住んでるカナちゃん。
幼稚園の頃からずっとウチの子と仲良くしてくれてる・・・・
「なんだぁ?アンタの彼女?おーい、カナちゃん?コイツ、いじめられっ子のキモ女の息子だから、遊んでるとカナちゃんもいじめられるよ?」
「ほんとほんと!すぐに縁切りな!」
「僕、僕・・・・・・・」
カナちゃんは、走って行ってしまった。
「キモ子の子はやっぱりキモ男かぁ!」
やめてええええええええ!
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