5-23 新キャラ登場。多すぎる。

5-23 新キャラ登場。多すぎる。



 最近登場人物多すぎないか?

 憶えきれないだろう?


「彼女がロットル伯爵家のミルアちゃん。こちらがルーシアちゃん。コート子爵家のリリセアちゃんです。

 でですね、こちらが私の兄弟子にあたるディア・ナガンさま。

 ルトナ姉様の弟さんですね」


「「「初めまして」」」

「おーっ、ルトナ様の…」

「ふん」


 おっ、一人フンとか言ってる。

 ルーシアちゃんは平民らしい。紹介に身分とか関係なくやるのがサリアクオリティーだ。脳筋は筋肉で序列を決める。

 戦闘力が高い方がえらいのだ。


 さて、ミルアちゃんは普通に育ちの良さそうな女の子だな。ただ貴族らしい教育を受けているせいか、毅然としている。

 ルーシアちゃんは気の強そうな女の子で、さっきからこちらをにらんでる。

 リリセアちゃんは育ちが良さそうだが背が高くておとなしい感じの子だ。


 この学園の生徒なので全員が一応魔法戦士ということになる。

 ミルアちゃんは補助魔法。ルーシアちゃんは攻撃魔法。リリセアちゃんは回復魔法が得意。ミルアちゃんルーシアちゃんは肉弾戦も得意。


 大丈夫かなあこの学校…


 取りあえず問題はルーシアちゃんのようだ。どうも彼女。かなりサリアに心酔しているようだ。

 他の二人もかなりサリア大好きッ子な感じだが、この子はちょっと度が過ぎているかな。


 俺がクスリと笑ったのが気に触ったのかかなり攻撃的な気配が漏れている。

 俺が知らん顔して他を見ると、その瞬間ルーシアちゃんが動いた。


 結構よい動きで俺の後ろに回り、飛び上がりざまに俺に蹴りをたたき込む。どうやら彼女はサリアの弟子というか、彼女に戦い方を教わっているらしい。

 死角に潜り込む素早さや、跳躍力、そして空中で揺らぐことなく繰り出される蹴り、なかなか筋が良い。


 だが蹴られてやる必要は感じない。

 そして魔力視の力で俺には死角がない。


 側頭部を狙って飛んできた蹴りを、下からちょんと突き上げてずらしてやる。

 蹴りの角度が変わって俺の頭の上を過ぎる軌道に変わる訳だがそれだけじゃない。回転軸を狂わされたルーシアちゃんはそのままバランスを大きく崩して尻餅をついて転がる。


 学園の女の子の制服はいくつか種類があって、スリットの大きく入ったスカート。キュロットスカート。ローブ状の服。とこんな感じだ。

 サリアはキュロットを穿いているがルーシアちゃんはスカート。ロングで清楚な感じの服なのだが転んだりすると生足がスリットから出てしまったりする。

 うん、なかなか健康的。


 よいものを見たので少しアドバイスをしよう。


「まず、つつかれただけでバランスを崩すのは体幹の鍛え方が足りないからだ。

 さらに不用意に空中に飛んだのもいけない。

 奇襲のつもりだったのかも知れないが、であれば確実に攻撃を当てられる様にしないといけないから、少し油断が過ぎる。

 最初の一当てで乾坤一擲というのはダメだね」


「さすがサリア様の兄弟子様ですの」

「はい、私はぜったいにあたるタイミングだと思いました。まだまだ未熟です…」


「えへん、兄様はすごいんですよ」


「あう~っ」


 その後、不承不承ではあるがルーシアちゃんは『仕方ないから認めてあげます』といって手を差し出した。一応仲直りの握手のつもりだろう。


 その後も軽く学園内を見学し、学園を辞去してしばらくしてから『いきなり攻撃を掛けてきた』事を完全にスルーしてしまったことに気が付いた。

 と言うか誰も悪いと思ってなかったなあの場所では。


「これが脳筋の呪いか…」


 まあおそらくそんな感じだろう。


 ◆・◆・◆


 この後は小神殿の改修の続きだ。工房も早く作らないといけない。

 そう思ってぽてぽてと帰ったらまたたくさん人がいた。

 女の人ばかり五人ほど。


「あっ、ディアちゃーん。こっちこっち」


「はいはいちょっと待ってねー」


 慌てることなくゆったりと近づいていくと我慢しきれなくなったルトナが走ってきて俺の手をとって引っ張り出す。


「やっとみんな着いたよ~、私の仲間たちだよ」


 やはりか。『闘滅の剣』と言うパーテイーだ。

 一番背が高い人は頭に大きい角の生えた牛系の獣人さんだ。かなりスタイルが良い。と言うかオッパイがでかい。しかも全身に張りがあってかなり強そうに見える。


「初めましてだ。ルーの弟君、私が闘滅の剣のリーダーをやっているミルトカという、よろしく頼むよ」


「こちらこそ、ルトナと商会がお世話になっているようで感謝しています」


 彼女の身長は俺と同じぐらい、一八〇cm弱だろう。

 握手してても力強く不適な笑顔も感じが良い。

 持っている武器はバトルアックスで、しかも装備はビキニアーマーだ。

 額に鉢金。腕には革のリストバンド。足は腰に吊す太ももの外側をカバーする革のズボンのような物を穿いている 。


 他に四人いて順繰りに挨拶してくれる。


 魔法使いのソニアさん。人族。

 弓兵のサーシアさん。人族。

 片手剣を持ったキュミアさん。犬系の獣人。

 杖を持ったシエラさん。クスリと回復魔法で癒しを担当。人族。


「なかなかバランスの取れたパーティーですね」


「ああ、ルトナが入ればもう一段階攻撃力が上がる。かなり強いと思う。そのルトナが抜けるというのは…かなりきついね…」


「あれ? ルトナ抜けるの?」


 俺は変な話を聞いたという風にルトナを見た。


「抜けるもなにも、私は一緒に戦える雇い主だよ…パーティーメンバーじゃないよ?」


 それを聞いた闘滅の剣のみんなは顎が落ちている。

 だが、ウチの商会のために雇っている冒険者だ。確かにそういう物ではある。


「それにやめるつもりもないよ、これからはディアちゃんといっしょに活動することも多くなるから頻度は落ちるけど、タイミングが合えば一緒に行くよ。

 ディアちゃんもいっしょに行くよね?」


「えー…」


 さてどうかな? 女六人のパーティーに男が一人混じるのはいかがな物かと言う気がするが…

 ただこれからも雇用契約を継続してくれるならば…


「もちろんそのつもりだよ」


 ならば…


「普段はウチの依頼で迷宮に挑んでもらってるわけだから、ルトナが同行できるときは同行すればいい。ただ私はそちらに同行というのは難しいかも知れないから、私の方で人手が欲しいときに参加してもらうような感じかな?

 ルトナも自分の仕事をちゃんとしないとダメよ」


「え? なに仕事って?」


 おい。


「マチルダさんの処でサリアの護衛とか、学生のサポートとか頼まれたよ。こちらはルトナや俺でやるしかないから、そういったときは闘滅の剣の皆さんは独自に潜ってもらわないと…素材は際限なく必要だしね」


「そういう事なら大歓迎だ。あー、すまなかった。ルトナの男が来るって聞いて、一緒に暮らすって聞いたからてっきりルトナは外れるのだと思ってた。早とちりだ」


「なに、商会の専属冒険者をやってもらっているんだからサポートもできる限りしますよ。私もこの迷宮は実質初めてなので、ガイドは欲しいですし。一緒に行くこともあるでしょう。

 それに今まではルトナが戦闘のことしか考えてなかったから迷宮ばかりだったみたいだけど、女だけのパーティーで実力者となれば学園のお嬢さんがたの護衛も…ひょっとしたらありかも知れない。

 うん、存外良い考えた。

 まあ、マチルダさんに聞いてからだけど、それが無くとも仕事の種類が増えると思って下さい。

 もちろん仕事に見合った報酬は出します」


『おう』


 と返事を返されて固い握手。


 ウチは今一流の商会だ。その程度問題なくいける。

 それに専属で素材厚めに走ってくれるパーティーはありがたい。逃がすなど論外だ。


 雇用形態も合わせて少しじっくり話をしないといけないな。


 そう思ったときに入り口のドアが乱暴に叩かれた。


「そこにいる娘ども、この地区の町長から訴えがあった。町長に対する暴力行為で話を聞きたい同行してもらおう」


 官憲登場か?

 まあ、問題ないな。

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