たそがれのいろ

作者 早瀬翠風

27

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★★★ Excellent!!!

心の声を淡い色彩で表現した叙情詩のような恋物語。
表現しがたい、明らかでない少女の心情が、黄昏の曖昧な色彩と共に美しくキャンバスに描かれて行きます。

いやはや、この素晴らしさは、ストーリーの面白さを掻き立てる見事な構成力に裏付けされていると私は感じておりまして。どなた様にも、御作品を御一読されたあと、その素晴らしさに着眼してもう一度ご覧いただきたいと思うのです。

ネタバレにならぬよう曖昧になってしまいますが。
昼と夜。白と黒のはっきりとした少女の答え。その狭間に存在する夕という時間の淡い曖昧な色彩と感情。揺れるように振られる絵筆が描く黄昏は、次第に白と黒とをしっかりと繋いで、読み手の心に一枚の巨大な夕景を浮かび上がらせるのです。

御作者様の短編。どれを取っても素敵なのですが。
テーマと着眼点。それを表現しきるに足る筆力と構成力。
心から、御作品を拝読させていただいて感謝したく思う次第でございます。

いやはや、実に良い夜になりました! ありがとうございました!

★★★ Excellent!!!

 ジャンルとしては恋愛、です。
 女の子同士というのも、最近ではそう珍しい題材ではないでしょう。
 繊細な話はお手の物という慣れた筆致ですので、恋愛物好きだけではなく、青春物や若い葛藤を読みたい人にもオススメです。



 はっきりと色づけることが難しい年代の、割り切れない感情。
 黄昏の感傷的な雰囲気が、綺麗にラストを締めくくってくれます。
 読後感は爽やかです。

 若い恋愛なんてもう遠い過去になったという方にも、ノスタルジックな味わいが心地よいお話かもしれません。

★★★ Excellent!!!

瑞希さんと加奈さん、二人は黄昏時に心を交差させます。

パレットから様々に流し込んだような黄昏の色合いが溢れています。

その温度や刻々と変化する時計の針も感じられました。

誰が操っている訳でもない魔法のような世界がそこにあります。

二人は、ただ甘い関係に堕ちて行きません。

しかし、気持ちはいつでもお互いに染められています。

その色は、暮れなずむとき、勇気を与えられることもあります。

美しいだけで終わっていいのか。

ここまでの関係がいいのか。

その距離感がモビールのように、バランスを微妙にとっております。

黄昏まで――。

二人の気持ちは、カンバスに何を残すのでしょうか。

ラストまで、見逃せない展開です。

是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

昼でも夜でもない時間だから、あなたの手を握り返した。
大人でも子供でもない今だから。
けれどやがて夜になり、そして朝が来る。
卒業すれば嫌でも大人の仲間入りだ。
大人になった私は……

青春っていいね。甘いのも苦いのも全部混ぜこぜ。
素敵な短編でした。