第63話 カツオ、ついに覚醒!?もっと早く覚醒しとけよって話。
『カツオ、大丈夫?』『うん。会えて良かった。』『必ず、また来てあげてね。』『これからは来るよ。頻繁に。それから…』
「俺、ちゃんと就職するよ。美香の為にも。」
佐野さんが1番聞きたかった言葉だろう。
カツオは母親を見て変わった。変わってくれた。
「親は偉大」。
それはいつになっても変わらない。いつの時代になっても…。
『何処に就職したいんだ?』『いや、俺ちゃん介護の資格持ってるからここで働くわ。』
「…は?」
こうして…こうして?どうして?
いや、とにかくカツオはこの施設に入所…じゃなくて就職決定。
他のフロアではあったが佐野さん情報によるとかなりの働き者らしい。
よく動き、利用者様への対応も丁寧。おまけにあの性格だから老人との相性も抜群…。介護士からも「面白い」と大人気。
まさに「眠っていた才能」。
安易にカツオと呼び捨てしていいのかすら疑問に思えて来る程。
もっと早くこうしていればいいものを…何故18禁コーナー!?
とにかく、これで佐野さんはカツオを認めざるを得ない。
『やっほー!!美桜っ!!』『え、何!?』『休憩だから遊びに来たの!!』『基本、他のフロアは出入り禁止なんだよ!?』『美桜も休憩でしょ!?ランチ行こーーー!!』
ゆき主任の目がキラキラとしている。
これは……マズイ。
『いやぁ、あたし彼氏に怒られるから!』『え?煌太に!?』『え!?阿部さんって佐野さんとそういう関係なの!?』『いや、ゆき主任!!ち、違います!!』『違くないじゃん!?俺、義理の弟になるんだからさっ!!』『えっ!?どーゆう事っ!?』『違うんですーーーーーっ!!!!』
カツオが入社してから、精神的に疲れる頻度が一気に増した。
でも、毎日が楽しい。
そして、そんな日が過ぎ4月も終わりの時を迎えていた。
『佐野さん!!』『なんだ?』『来ました!!』『誰が!?』『レディースデー!!』『マジで!?…良かったぁ。』
念のため、仕事終わりに妊娠検査薬も使った。
勿論陰性。
良かったーーー…。
これでずっと不安だった悩みが消えた。
あの日の恐怖は思い出す度震え上がるけど、それは時間を掛けて傷を癒して行くしかない。
『そういえば、阿部。今夜、4人で集まりたいんだ。』『カツオは夜勤とかじゃないんですか?』『あいつはまだ見習いだから夜勤はない。大丈夫か?』『はい!大丈夫です!!』
「阿部の仕事終わるの、待ってるから。」
そう言って佐野さんは事務所へと降りて行った。
あたしの今日の勤務は遅番。
そして…『美桜ーっ!!イエーイ!!』『あのさ、日本語分かる?』『休憩時間だから、ランチ行こー!!』
これはデジャブか!?
それともあたしの頭が混乱してるのか!?
…違う。カツオの頭が狂ってるんだ。
『佐野さんから聞いた?今日集まるからね!!』『わかりー!!ランチ行こー!!』『だから、ダメだってば!!』『…今の何かやらしいね(笑)』『はよ消えろ。』
なんやかんやで遅番が終わり、あたしは佐野さんが待つ車へと向かう。
『遅くなってすみません。』『本当だよ。待たせんなよ。』『御前…何様?』『お殿様ーっ!!』『言い合いは後でやれ(笑)行くぞ。』『あ、すみません…。』
カツオとのいがみ合い。
歳がこんなにも離れているのに、どうして精神年齢が一緒!?
『阿部、今から美香を迎えに行くから。』『只野さん真似しないで下さい。』『はーい。』『へっ、怒られてやんの(笑)』『むーかーつーくー。』『だから、お前らやめろっ(笑)』
この後、あたし達は美香さんを迎えに行き、そして佐野さんのマンションに到着した。
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